2018年全国高校入試100校分の国語出典本を調査してみた結果

2018年9月5日

さて、毎年恒例の入試国語出典本調査の季節がやってまいりました。ということで、今年も公立47都道府県(自校作成校含)、国立高校、旺文社全国高校入試問題正解に掲載されている私立校合わせてのべ100校分の出典本を調査してみました。

<過去の調査結果はコチラ>
2017年度→2017年全国高校入試国語出典本を調査してみた件
2016年度→2016年高校入試国語出典本を調査してみた結果。この本は読んでおけ!
2015年度→2015年高校入試国語出典本を調査しました。読んでおくべき本はコレ!

2018年度高校入試で最も多く出題された小説

原田マハ「リーチ先生」

2018年度最も多く出題された小説は、原田マハの「リーチ先生」で、北海道・埼玉・富山・徳島・愛媛・福岡の6つの道県での出題となりました。

私はこの本は読んだことがありませんが、原田マハさんは大好きな小説家の一人です。原田さんは早稲田大学で美術史を専攻され、小説家になる前は美術館に勤務されていたこともあり、彼女の小説のほとんどが美術やアートが題材になっています。

美術に全く興味がなかった私ですが、原田マハの小説に触発され、一時は美術館めぐりをしたこともありました。

ちなみに、中学生にオススメの原田マハ作品は「生きるぼくら」です。一度過去記事でも紹介しているので、そちらも是非参考にしてください。マジでオススメです。塾生は図書コーナーにあるから是非読んでみてねー!

小嶋陽太郎「ぼくのとなりにきみ」

2018年度の出題数2位は、小嶋陽太郎の「ぼくのとなりにきみ」で、都立西・岡山・香川・佐賀・鹿児島と、5つの都県で出題されていました。

小嶋陽太郎という作家さんは今まで聞いたことがなかったので調べてみたところ、まだ20代後半の若い作家さんなんですね。この「ぼくのとなりにきみ」という作品は、朝日中高生新聞で連載されていたものとのことです。

2018年度高校入試で最も多く出題された論説文

好井裕明「『今、ここ』から考える社会学」

論説文第1位は、好井裕明著の「『今、ここ』から考える社会学」で、鳥取・宮崎・お茶の水女子大学附属・愛光と4つの県と学校で出題されていました。

またしてもちくまプリマー新書が論説文第1位獲得です。2016年・2017年・2018年とこれで3年連続ちくまプリマー新書が第1位です。

やっぱりちくまプリマー新書はチェックしておいた方が良いですね。うちの図書コーナーでも結構揃えているんですが、やはりどうも小説の方が人気があって、あまり借りていく人が少ないですが、新書も読み慣れてくると知識が広がって楽しいですよ。知的好奇心が満たされる喜びがあります。

亀田達也「モラルの起源ー実験社会科学からの問い」

論説文第2位は、亀田達也著の「モラルの起源ー実験社会科学からの問い」で、徳島・東京都立産業技術・国立高専の3つで出題されていました。ちなみにこれは岩波新書の本でした。

高校入試によく出題される作家

出典本を調査すると、本こそ違えどよく出題される作家さんというのも見えてきます。

2018年度入試だと、小説は宮下奈都さんが多かったです。群馬で「つぼみ」、都立日比谷高校で、最近映画にもなったあの「羊と鋼の森」、栃木で「窓の向こうのガーシュウィン」が出題されていました。

論説だと、池上彰、齋藤孝、池内了、外山滋比古、苫野一徳、福岡伸一あたりは鉄板ですね。2018年度も、岩手と明大中野で池上彰さんが、都立隅田川と佐賀で齋藤孝さんが、大阪教育大池田と岩手で池内了さんが、明大明治と慶應義塾で外山滋比古さんが、奈良と神奈川で苫野一徳さんが、そして慶應義塾と都立中高一貫で福岡伸一さんが出題されていました。

論説の中でも私のオススメは福岡伸一さんです。理科好きなら、「生物と無生物のあいだ」や「動的平衡」あたりはめちゃくちゃ面白く読めると思います。小・中学生なら「ルリボシカミキリの青」がオススメです。

まとめ

毎年書いていますが、入試問題の出典本は中学生の読書の指南役です。「出題されそうだから読む」という感覚ではなく、入試問題に出題されているレベルと同程度の読書を普段からしていれば、入試レベルの言語能力は身についていきます。

読書に良い季節になりました。出典本やよく出典される作家の本から読書してみてはいかがですか。