長時間勉強しているわりに、結果が出ない残念な人に共通する特徴。

2018年9月6日

定期テスト勉強会期間の真っ只中です。生徒の勉強の様子を一定期間じーっと観察していると、その生徒の勉強に対するありとあらゆることが見えてきます。勉強の理解度はもちろんのこと、集中力、勉強に対するモチベーション、意識など、勉強に向かう姿勢は口よりも多くを語ります。

特に最近は、長い時間勉強しているわりに、なかなか結果が出ない残念な生徒をじーっと観察するようにしています。そうすると、それらの生徒に共通する3つの顕著な特徴が見えてきたので、今日はそれについて書いてみたいと思います。

頭を使っている時間が短い

勉強と一言で言っても、勉強にはいろいろな動作が含まれます。

例えば1時間机に向かって勉強したからと言って、1時間ずっと頭を使って何かを考えた、もしくは何か新しい知識を習得したということではありません。その1時間の中には、本やノートを探して目的のページを開くまでの時間、シャーペンの芯を入れ替える時間、消しゴムで消す時間、そしてその消しゴムのカスを集める時間、ペンケースからお目当てのペンを探す時間などなど、一つ一つはちょっとしたことですが、勉強以外のことに費やしている時間があります。

そして勉強できない子、もしくは勉強をしているわりには伸びない子は、勉強時間の中で、このような勉強以外の行為をしている時間がかなりの割合を占めているケースがほとんどです。

一例を書いてみます。

机の中をゴソゴソとしながら教科書やノートをずっと探している。やっとお目当てのものが見つかったと思ったら、今度はシャーペンの芯がないのか、ずっとカチカチとやっている。手を真っ黒にしながらシャー芯を入れ替えて、ようやく勉強し始めたと思ったら、豪快に消しゴムでゴシゴシし始める。そして消しカスが気になるのか、ご丁寧にも消しカスを一粒ずつつまみながら一カ所に集めだす。集まったところで、なぜか消しカスを丸めだす。ようやく消しカス問題が決着し、また勉強に戻ったと思ったら、今度はペンケースをガチャガチャしてペンを探す。ペンが見つかったのに、インクが出ない!ノートにクルクルと書いてみるが、やはりインクが出る気配がない。ペンを分解してインクが残っているかどうかをチェック。やはりインクの残量がなかったので、別のペンに取りかえる。そしてまた勉強に戻る…

漫画みたいな話と思われるかもしれませんが、大げさに書いているわけではありません。うちの塾でも、決して少なくない数の中学生が、多かれ少なかれ上記のような行動をとっています。

つまり、勉強時間内のほとんどを、勉強とは関係のない行為に費やしてしまっていて、頭を使って何かを考えたり、問題を解いたり、知識を習得したりという勉強本来の実質時間がほとんどありません。1時間勉強しても、実質勉強時間はその半分くらいということも珍しくはありません。これでは、いくら勉強に時間をかけても結果が出なくて当然です。

思考時間が継続しない

思考時間が継続しない子も、時間のわりに結果を出すことができません。

数学の応用問題や国語や英語の読解問題を解く場合や、教科書や問題の解説等のある程度まとまった文章を読む場合、ある程度のまとまった時間思考し続けることが必要となります。

ところが、思考の持久力がない子は、継続した思考ができないため、思考がぶつ切りになってしまいます。

例えば国語の読解問題を読んでいても、持久力が切れてしまうと、そこで一度思考がストップし、ストップした状態がしばらく続きます。そしてまた我に帰り、思考を読解問題へと戻すのですが、前に読んだ内容を忘れてしまっていることもしばしば。だからまた始めから読み直し、またストップし…と無限ループにはまります。

数学の応用問題もそうです。思考時間がぶつ切りになってしまうと、一貫性を持った考え方ができなくなり、「アレ、どこまで考えていたっけ?」とまた一から考え直すという無駄な時間が多くなります。

こういう子のことを世間は「集中力がない」と一括りにしたりしますが、集中力と持久力はちょっと違います。短距離であれば走れるけれど、長距離を走りきる体力がないのと似た感じです。少しの間なら集中できるけれど、それを持続する思考の持久力がないのです。

解く・考えるという行為を避ける

勉強が苦手な子ほど、「解く」「考える」という行為を避ける傾向にあります。頭を使うことや、自分が理解できているか確認することをとにかく嫌います。

こういう子は、テスト前になると、問題集を解くよりも、教科書のノートまとめや漢字や英単語の書き取り練習等を喜んでやります。問題集であれば分からない問題に直面してしまいますが、教科書をまとめたり書き取り練習をしている間は、分からない問題に頭を悩ますことも覚え直すこともありません。また、自分が理解していないという現実にも直視することもありません。それに、たくさんまとめたノートやたくさん書き取り練習をした跡を見ると、非常に達成感もある。

うちの塾生を見ていても、勉強が苦手な子の机には、いつも教科書とノートが開かれていて、問題集を解いているのをほとんど見かけません。テストをしてみるとあまりにも出来が悪いので、問題集をチェックしてみると、ほとんど解いた跡すらなく真っ新といったことがよくあります。

意識的、もしくは無意識的に、「解く」「考える」「確認する」といった勉強には欠かせない行為を避けてしまっているので、いくら長勉強し、本人も周りも達成感でいっぱいだったとしても、思ったよりも結果が出ない、となるのです。

まとめ

勉強は、単に時間をかければ良いというわけではありません。長時間机に向かっていても、自分の頭で思考したり、知識を習得したりという学力向上に欠かせない本質的な時間が短いなら、結果が出るはずがないのは自明の理です。

勉強をしているはずなのに結果が出ないと悩んでいる人は、まずは自分が上記3つに当てはまっていないか、客観的に自分の勉強内容や行動を見つめ直してください。もし当てはまっているのなら、すぐに改善してください。

ちなみに、これら3つは意識次第でいくらでも改善可能です。2番目の思考の持久力はある程度の訓練と期間が必要ですが、それでも改善方法はいくらでもあります(これについてはいずれ書きます)。

過去にも似たような記事を書いているので、こちらもどうぞ。
なぜ長時間勉強しているのに成果が上がらない?やってしまいがちな5つの落とし穴
→勉強しているのに成績が上がらない人の5つの「していない」こと