先日、厚木高校に学校訪問へ伺いました。
英語科の大塚先生、物理科の伊勢先生、そして石塚教頭先生からお話を伺う中で強く感じたのは、「理数教育」と「探究活動」を軸にした、厚木高校ならではの確かな学びの文化でした。

SSH3期目へ──県内唯一、3期連続の指定校
厚木高校は2025年から SSH(スーパーサイエンスハイスクール)3期目に突入しています。
神奈川の県立高校で3期目の指定を受けて取り組みを進めているのは厚木高校のみ。
H25から続く長い指定期間の中で、理数教育や探究活動のノウハウが蓄積され、専用設備・研究環境も大きく進化してきました。
その中心となる探究活動は 「ヴェリタス」 と名付けられており、厚木高校の探究を象徴する名称として校内で定着しています。
厚木高校の探究活動「ヴェリタス」とは?
ヴェリタスの探究は、1年生から体系的に積み上げる構造が特徴です。
- 1年生:研究倫理、データ分析の基礎、思考法など探究の土台づくり
- 2年生:1年間かけてテーマを探究し、全員が校内で成果を発表。そのうえで、一部の生徒は学会発表や大学主催のコンクールにも挑戦する
2024年には、「スカートの長さと風による脚の見え方の解析」というユニークな研究が成果発表会で披露され、メディアにも取り上げられ話題になりました。

さらに、
- 厚木市と協働した「学校前の交通渋滞緩和の研究」
- 東京農業大学と連携した「ソラニンを用いた環境負荷低減農薬の研究」
など、学校の枠を飛び越える高度な探究活動が日常的に行われています。
物理科の伊勢先生、英語科大塚先生、そして石塚教頭先生のお話の端々からも、探究を軸とした厚木高校の学びが確固たる文化として根付いていることが伝わってきました。
「3本の矢」で成長する厚高生
厚木高校の卒業生でもある広報担当・英語科の大塚先生(なんと、いきものがかり水野氏の同級生!)は、こんな印象的なお話を聞かせてくださいました。
「昔の厚木高校は、勉強と行事・部活の2本の矢を頑張る学校でした。今はそこに探究活動が加わり、3本の矢を全力で取り組む生徒が多いのが厚木の特徴です。」
多くの公立トップ校でも「三兎を追う」「三本の矢」という表現が使われますが、その多くは 勉強・学校行事・部活動 を指します。
しかし厚木高校の「3本の矢」は、ここが決定的に異なります。
厚高生にとっての3本の矢とは、勉強・学校行事や部活動、そして探究活動。
この「探究」が本気度の高い柱として位置づいている点が、厚木ならではの強みです。
大塚先生はさらにこう続けました。
「これだけ多くの軸を持ちながら、どれにも力を抜かず全部頑張る子が多いのが今の厚木高校です。高校生ながらこれだけのマルチタスクをこなせるのは、本当にすごいなと感じています。」
国公立大学への進学が強い理由
厚木高校は国公立大学志望者が非常に多い学校で、2025年度は3分の1以上が国公立大へ進学。
なかでも増えているのが、探究活動を評価されての国公立大への総合型選抜での合格です。
自分が探究してきたテーマを軸に、大学でやりたいことを語れる。ヴェリタスでの経験が、そのまま進路選択につながっているのです。
3年間のカリキュラムも国公立大志望に寄せて構成され、
- 文理分けは高3から
- 数学はⅡB・Cまで全員が履修
- 理科は化学必須+物理・生物から2科目必修
SSH指定校らしく理系色が濃い編成となっています。
また、1年生は厚木独自の学校設定科目として「サイエンスアイ(P・C・B)」を履修します。物理基礎・化学基礎・生物基礎に探究的な視点を加え、より深く学べる内容で、理科教育の厚みを支えていると、物理科の伊勢先生はおっしゃいました。
さらに2年生は学校指定科目として「サイエンスアイ(M)」を履修し、数学B・Cに相当する内容を発展的に学びます。
理科教員の数が学校内で最も多いという話からも、理科教育へのこだわりがよく分かります。
SSHの柱「グローバル教育」にも注力
理数系の探究だけでなく、グローバル教育にも力を入れているのが厚木高校の大きな特徴です。
海外研修の例としてはアメリカ研修とニュージーランド研修。たとえばアメリカ研修では、現地の学生たちと、科学・探究をテーマにした発表や交流を行っているなど、ここでも探究教育・SSH校の厚木高校ならではの特別な体験が用意されています。
探究を通して海外大学への進学に興味を持つ生徒も増えているとのことでした。
偏差値至上主義ではない進路指導
厚木高校は「とにかく偏差値が上の大学を目指す」タイプの学校ではありません。
むしろ、生徒自身が将来やりたいことを軸に進路を決めることを大切にしています。
これだけの上位校ながら、保護者面談や進路説明会、長期休業中の講習など、進路指導も手厚い印象です。
石塚教頭先生は最後にこう締めくくられました。
「探究活動を通して厚木高校で思う存分『自分探し』をしてほしい。ここは、自分ならではの経験や学びができる学校です。やりたいことを深く学び、それを面白いと思える生徒に是非来てほしい。」
訪問を終えて──探究を軸にした厚木高校の進化
SSH指定校として12年以上。
その間に積み上げられた探究活動「ヴェリタス」は、神奈川の公立校の中でも抜きん出た存在になっていると感じました。
先生方が繰り返し口にした「ここでは人と違う経験・学びができる」という言葉の意味が、校内の雰囲気からもはっきり伝わります。
自分だけの研究テーマを深く追究し、未来の学びにつなげていく。
厚木高校は、まさに「現代の最先端の学びの形」を体現している学校だと感じました。
