2016年高校入試国語出典本を調査してみた結果。この本は読んでおけ!

2016年9月3日

去年に引き続き、今年も2016年度高校入試国語で出題された出典本を調査してみました。

参考:2015年高校入試国語出典本を調査しました。読んでおくべき本はコレ!

では早速いきます。

2016年度高校入試に最も多く出題された小説

森谷明子「春や春」


秋田、千葉(前期)、神奈川、愛知(Aグループ)、徳島が出題

我が神奈川県を含む5つもの県で、「春や春」が出題されました。「春や春」は、2015年の5月に単行本の新刊で発売されました。昨年度の出典本調査の記事(「2015年高校入試国語出典本を調査しました。読んでおくべき本はコレ!」)でも触れましたが、入試問題の原案はだいたい夏前までに作成されるので、その年の6月より前に出る新刊は出典としてかぶりやすいという傾向があります。

春や春は、6人の女子高校生達が「俳句の甲子園」を目指す爽やか青春小説です。ちなみに2015年度は森絵都さんの「クラスメイツ 〈前期〉」が、2014年度は平田オリザの「幕が上がる (講談社文庫)」がよく出題されました。どうやら公立高校入試は、中学生や高校生が(しかも女子であることが多い)、何かを目指して奮闘する爽やか青春小説が好物なようですね。

2016年度高校入試に最も多く出題された論説

2016年度の高校入試国語論説文は、ちくまプリマー新書の「中学生からの大学講義」シリーズからの出典のオンパレードでした。

「中学生からの大学講義」シリーズは全部で5巻。

5巻合わせて、11もの高校入試で出典されています。ここまでくると、2016年度論説は「中学生からの大学講義」祭りだったと言っても過言ではありません。
それもそのはず、この「中学生からの大学講義」シリーズ、文章の長さも質も内容も、論説文の題材としてピッタリなんですよね。作問者の立場で考えると、これ以上使いやすい題材はないはずです。2017年度も、この祭りは暫く続くことが考えられます。

また、高校入試の論説文としてよく扱われる学問・哲学・科学・現代社会・言語といったジャンルがそれぞれの巻で扱われていて、福岡伸一や外山滋比古、茂木健一郎など、それぞれの道で著名な人が書いた文章が掲載されています。入試に出題されるからという理由ではなく、中学生のうちに是非読んでおきたい良質な論説文ばかりです。

学年問わず、中学生なら是非是非読んでみましょう。強くオススメします。

ちなみに、このシリーズだけでなく、高校入試にはちくまプリマー新書の論説文がよく扱われます。小説以外にも新書の類いを読んでみたいと思っている中学生は、ちくまプリマーの新書から選んでみるといいでしょう。2016年度の神奈川県で出題された論説文「〈自分らしさ〉って何だろう?: 自分と向き合う心理学」もちくまプリマー新書からの出ています。