2年ほど前に「実はこんなにも違う・・・中学別の内申点の割合」という記事の中で、中学の内申点の付け方が公平ではないということを書いた。その後の追跡調査をしていなかったが、久しぶりに教育委員会のウェブサイトを覗いてみたら「H24年度公立中学校の学習評価に関する調査の結果」が公表されていたので、今回もしっかりと調査させてもらうことにする。
参考:平成24年度公立中学校第3学年の学習評価に関する調査(前期)←2期制の中学校はコチラ
平成24年度公立中学校第3学年の学習評価に関する調査(1学期)←3期制の中学校はコチラ
新しい入試になって3年目となる今年。合否選考に内申点を5割〜6割も考慮する高校もある中で、入試において内申点が占める割合はやはり大きい。多くの学校で採用されている「3:5:2」「4:4:2」「5:3:2」での内申の重みをまとめると、
・「3:5:2」→内申1点分=入試得点約2.2点分に相当
・「4:4:2」→内申1点分=入試得点約3.75点分に相当
・「5:3:2」→内申1点分=入試得点約6.1点分に相当
(こちらも参考にどうぞ:「超ざっくりと、新入試制度における内申の重みの考え方を解説してみる」)
となり、内申点の割合が比較的低い「3:5:2」の学校でも、内申1点分は入試得点の2.2点分、つまり問題1問分程度に相当することになる。さらに3年生の成績は2倍されるわけだから、学校成績1点分は入試得点の4.4点分〜12.2点分ということになり、3年生の学校成績はかなり重要であるといえる。
内申点が入試の合否に大きく関わるのなら、学校間で内申点の格差があるべきではない。「○○中は内申が付きやすいから入試に有利だが、その隣の△△中は内申が付きにくいから不利だ。」という話はここら辺でもよく聞くが、出身中学によって合否が左右されるなんて話、本来ならば絶対にあってはいけない。入試が多様化している大学入試ならともかく、公立高校の入試で公平性を欠いてしまっては、入試制度の信頼性が根本から崩れてしまうことになる。
しかしだ。おそろしいことに、2年前に同じ内容の記事を書いたときよりもH24年度の調査結果の方が酷いことになっているじゃないか。
平塚市のある2期制の中学校では、体育での「5」の評定の割合が0%。横浜市のある2期制の中学校では、技術家庭での「5」の評定の割合が0%。ゼロですよ、ゼロ。5段階評価で「5」の生徒が全くいないということですよ。
そんなあほな。
これは何ですか?一種のイジメみたいなものですか?
また、川崎市のある2期制の中学校では、国語での「5」の評定の割合が43.6%と大インフレを起こしている一方で、横浜市のある2期制の中学校では同じ国語での「5」の割合がわずか1.1%と大デフレ。100人の生徒がいたら、一方の学校は43人以上が「5」を取っているのに、もう一方の学校ではたった1人しか「5」を取っていないという現実。
そんなアホな。
川崎市のある2期制の中学校では、社会の「4」の評定の割合が全体の67%!「オレ社会4!」「私も4!」「アイツも4!」「みんな4!!」みたいな。
そんなAHOな。
これはもうアカンレベルですよ、さすがに。
公立中学校の成績がますます信用されなくなるだけでなく、入試の公平性も疑われることになる。前回も言ったが、相対評価に戻すか、戻せないのならせめて5段階の割合を定めておくことはできないのだろうか。