今日は小5の読書会でした。
今月の課題本は灰谷健次郎氏著の「兎の眼」。
私自身も小学5年生のときに、小学校教師だった母親に勧められて(半ば強引に)「兔の眼」を読みました。大人になった今この本を読み返すと、これを初めて読んだ当時の記憶がよみがえってくるだけでなく、その時とはまた違った視点で捉えている自分に気が付きます。
なぜ教師だった母親が、小5の私にこの本を勧めてきたのか。あの時はさっぱり分からず嫌々ながら読んでいたけれど、今ならその理由が何となく理解できます。
とにかく読書会を経験してみよう
さて最近は、「うちの塾でも読書会を取り入れてみたいのですが」と、読書会について他塾の先生からよく聞かれるようになりました。読書会が広まっていって大変嬉しいのですが、正直に言ってしまうと、うちの塾でも今でもまだまだ手探り状態で読書会と向き合っています。
課題本を一つ選ぶにも、難易度はどれくらいがいいか、内容は適切か、レベルは塾生に合っているか、2週間で読ませる量は、読書会の内容は等々、これが正しいといった解は見つかっていませんし、そもそもそんな解なんてないのかもしれません。
ご質問いただいた先生方には、とりあえずうちで取り組んできたことや実際どんなことをやっているかなどをお伝えしていますが、一番はとにかくやってみることです。あとは、先生ご自身も色々な読書会に参加されると、読書会のイメージや運営のノウハウなど色々とヒントを掴めると思います。
私も小学生読書会を開く前、日本最大規模の読書会団体「猫町倶楽部」を始め、横浜の有名な「赤レンガ読書会」や「横浜読書会」、その他個人で開催されている小さな読書会など、大小いろいろな読書会にとにかく足を運びました。
読書会の醍醐味
本選びや事前の準備など大変なことも多い読書会ですが、読書会をやってきて良かったなと思うことはたくさんあります。と言うより読書会をやったことに対するデメリットは今のところ見つかりません。
それまでは1冊の本を自分の力で読み切ったことがない子が、読書会で初めて自力で読み切ることができたこと。本に興味がなかった子が読書会の課題本を気に入り、自発的にそのシリーズ物を読み始めたこと。読書会をきっかけに好きな作家さんができたこと。活字に対する抵抗感が以前よりもなくなってきたこと。読むスピードが速くなったことなど。例を挙げればキリがない。
小学生読書会をやって一番良かったことは、語彙力や読解力の向上とかそんなことよりも、休み時間の時に生徒同士が楽しそうに課題本についてワイワイ話していることなんだよね。これだけで、読書会やって良かったって心底思えるんだよね。
— りんごくん@慧真館 (@keishinkan) 2018年5月24日
しかし一番は、Twitterでも呟いたように、塾の休み時間や読書会が始まる前の時間に、生徒同士で課題本の内容を話題にワイワイと楽しそうにおしゃべりをしていることです。
今日も5年生が「兎の眼」について、
「これは誰が主人公なんだろうね、先生かな鉄三かな。」「鉄三じゃない?」
「ねぇ、どこまで読んだ?」「え、オレもう全部読んだよ!」「ウソー私今回はまだあんまり読めてない」(ちなみに課題ページ以上を自発的に読んできている)
といった具合に、違う小学校に通う塾生同士で、「兎の眼」という共通の話題に対してワイワイ話をしている。一冊の本を話題に、アレコレ話ができる環境。これこそがもうすでに立派な読書会ですよね。
「兎の眼」は今の小5には難しいかなとだいぶ躊躇したのですが、全然そんなことありません。人物像やストーリーの展開などがきちんと読み取れていたようで安心しました。
読書はどうしても孤独な作業になりがちです。読書を孤独にさせないのが、読書会の一番の役目かもしれません。一つの本に対して感想を言い合える。同じ感想を持っている人に出会うと嬉しくなるし、違った見方をする人に出会うと、なるほどそういう捉え方もあるのかと視野が広がる。そうやって人と話すことで、より本が面白いと感じ、続きを読んでみたくなる。それが読書会の醍醐味です。
みんな、読書会やろう!
お子さんに本を読んで欲しいのなら、「本を読め」とただ命令するよりも、親子で同じ本を読み、感想を共有し合う「親子読書会」をやる方がよほど効果的です。
塾の生徒にもっと読書をして欲しいなら、塾で読書会をするのです。読書が嫌いな子だからこそ、孤独にさせてはいけません。
余談ですが、「教育」をテーマにした読書会をやってみたいなぁとずっと考えています。対象は教育に興味関心がある方なら誰でもOK。保護者の方、塾の先生、学校の先生、将来教師を目指している学生、地方の議員さん、市の職員の方などなど、いろんな立場の人が、一冊の本をキッカケに教育を語り合う。
そういう読書会って、ものすごく素敵じゃないですか?