『夏前』から受験勉強を始めた者が受験を征する!夏前からやるべき理由とやっておきたいこと。

2015年6月26日

定期テストが終わったばかりですが、中3生にとっては休憩している暇はありません。定期テスト1日目に、定期テスト後から本格的に始める社会の入試対策復習、1回目の特色検査対策テキストと練習模試セットを中3生に渡して、定期テストが終わったらすぐに入試対策を始めるように指示しました。

「夏は受験の天王山」と言いますが、夏が来てから受験勉強をしようでは遅すぎます。昔は夏からでも良かったのかもしれませんが、夏が来る前から本格的に受験勉強を始めないと、今の入試には対応できません。

今日は、今の入試ではなぜ早くから受験勉強を始める必要があるのかという理由と、これから夏までの間にやっておくべきことを書いてみたいと思います。

なぜ夏前から受験勉強を始める必要があるのか

早く受験対策を始めなければならない理由は、神奈川の公立入試が難しくなったからです。何がどのように難しくなったのかは、さんざんこのブログでも書いてきましたが、一言で表すと、「基礎が身に付いているだけでは対応できなくなった」ことに尽きます。

活用重視の入試は、直前の追い込みが効かない

難しくなる前の共通入試であれば、基礎のみで解ける問題ばかりでした。たとえば英語や数学なら、毎年同じパターンの問題しか出題されず、またそれも異様に簡単であるために、入試によく出る問題パターンの類題演習を2〜3ヶ月も繰り返せば、確実に本番でも点数をとることができました。今の入試では平均点が100点満点中30点台の理科も、昔は異様に簡単で、教科書に載っている基礎事項が暗記できていて、基本的な計算ができるだけで、50点満点中40点を切ることがなかったでしょう。社会も同様です。昔の入試はほぼ暗記のみ、一問一答形式で十分対応できた問題ばかりだったので、入試直前でも十分追い込みが効きました。

しかし、今の難しくなった入試は、昔のやり方は一切通用しません。なぜなら、『基礎の向こう側』の問題が中心となっているからです。『基礎の向こう側』とは、「身に付けた基礎をどう活用するか」が問われる問題です。応用問題と言えばイメージしやすいとは思いますが、今の入試の問題は昔の応用問題とは少し質が違います。昔のように、難しい問題をやたらめったら解いておけば対応できるような応用問題ではなく、身に付けた基礎を使って思考を組み立てる、または資料など与えられた情報と知識を上手くリンクさせて解くという類いの難しさなのです。つまり、たくさん知識を持っているか、たくさん難しい解法を知っているかという知識の量が問われているのではなく、最低限の知識を使って論理的に考えられるか、情報と組み合せて考えられるかという頭の使い方が問われているのです。

知識の量が問われているのなら、知識を詰め込めば良いだけの話です。記憶力の差には左右されますが、知識を習得するのにそんなに時間はかかりません。しかし、「頭の使い方」となると話は違ってくる。論理的に考える思考法や、情報と組み合せて考える頭の使い方の習得には、知識を習得するよりも多くの時間がかかります。受験勉強の後半でその「頭の使い方」を習得する時間を捻出するために、基礎的な知識の習得を早期に終わらせておく必要があるのです。

「頭の使い方」の訓練にいかに時間を割けるかどうかが合否の分かれ道

高校入試問題で「頭の使い方」が重視されるようになったのは、ごく最近のことです。そのため、多くの受験生、いや、受験生だけではなくて学校や学習塾の先生だって、「頭の使い方」は「天性のもの」と勘違いしていて、十分な頭の使い方を訓練しないまま入試本番に臨みます。それで問題が解けないと、「頭が悪いから解けない」「天才しか解けない」となるのですが、頭が悪いから解けないのではなく、頭の使い方を訓練しなかったから解けなかっただけです。

今の入試に問われるような頭の使い方は、訓練次第で確実に身に付きます。ただし、先ほども述べたように、習得するには時間がかかる。つまり、今の入試では、必要最低限の知識や解法パターンを早期に習得し、いかに「頭の使い方」の訓練に時間を割くことができるかどうかが、トップ校に合格するか不合格になるかの分かれ道になっているのです。

知識重視ではなくなったからこそ、今まで以上に強固な知識が必要

勘違いしている人が多いことのひとつに、「今の入試では、知識はほとんど問われないのだから、一生懸命暗記してもしょうがない。」ということがありますが、これは大間違いも良いところなので、皆さんは絶対に真に受けないように。以前、とある塾関係者と話をしているときに、「今は歴史の年号暗記なんてやっても意味がないからやらない」と大真面目に話されているのを聞いて、本気で言っているのかと耳を疑いたくなりました。

確かに知識自体をストレートに問われることはほとんどなくなりました。「この事件は西暦何年に起こりましたか?」なんて聞かれる問題はまず出題されません。しかし、だからと言って知識を全く知らない、暗記しないで良いということではありません。知識ゼロで「頭の使い方」だけを問うなんてものは、ただのIQテストです。そんなもの、もはや入試問題ではありません。繰り返しますが、今の入試は「身に付けた知識をいかに活用するか」が問われています。つまり、知識を身につけておくことは、「頭の使い方」を問う大前提とされているのです。年号を覚えていなければ、時代の細かな出来事の移り変わりはわからないし、日本の歴史と世界の歴史を上手に融合させることもできません。

今の入試は、「知識があるだけではだめだよ」ということであり、決して知識を身につけること自体を否定しているわけではないということを覚えておきましょう。むしろ、身に付けた知識を活用しなければいけない分、さらに知識があやふやなままではいけないのです。活用すること前提の問題を前にして、あやふやな知識ほど役に立たないものはありません。必要な知識が完璧に身に付いていることで初めて、その知識を活用することができるのです。

夏の終わりまでにやるべきこと

これまでの話で、いかに早くから入試対策に取組むべきか、十分理解できたと思います。ここからは、じゃあ何をやれば良いのかの話をしていきます(うちの中3生に向けてのアドバイスがメインなので、うちの塾生以外には当てはまらないこともあります)。

最初にも述べたように、夏から受験勉強を始めようでは遅すぎます。夏が来るのを待つ必要はどこにもありません。今すぐ始めるのです。ちょうど一年前にも似たような記事を書いたので、参考にしてください。

参照:)夏から受験勉強始めようでは遅すぎる。受験生が夏前にやるべきこと。

中1中2の理社の基礎を完璧に

これから夏の終わりまでにやるべきことは、ズバリ中1中2の理社の復習です。早速来週から社会の入試対策復習テストが始まります。定期テストの間中断していた理科の復習テストも復活します。それらを完璧にこなしていくことで、入試問題を解くために必要な基礎は十分身に付きます。

ここで理社の復習を疎かにすると、「頭の使い方」を練習するための知識が身に付かず、受験勉強後半での「頭の使い方」の訓練の時間が減ってしまいます。そうなるともう致命的です。絶対に手を抜かないように。

参照:)2015年度の入試が難化したとか騒がれていますが、そんなに難しいですか?<理科編>(←理科の入試勉強の仕方を紹介した記事です。参考に。)

英語の文法特訓復習+リスニング対策

英語は、毎回の文法特訓の復習を完璧にこなしてください。文法特訓は夏期講習中も毎回の授業で続けていきます。特に英語が苦手な人は、3月からの文法特訓をもう一度全て復習してみること。先生が解説授業でいつも言っていることを思い出しながら、自分で解説ができるようになればしめたものです。

授業中に何度も言っていますが、夏に英語を苦手のまま放置しておくと、受験直前でなかなか伸びていきません。英語は夏までが勝負の教科です。夏までにしっかりと文法の基礎を築き上げた人だけが、秋以降に条件英作文や長文読解をやることで効果が出るのです。文法が全くできていない人が、いくら条件作文や長文読解をやったとしてもサッパリわかりません。

あとは、リスニング。基礎英語3をきちんと毎日聞いている人はどれだけいるでしょうか。聴く力は短期間では身に付きません。毎日聞き続けても、実際にハッキリと効果が現れるまで最低6ヶ月はかかります。これは私自身の留学経験からもはっきりしていることです。もし、今までサボっていた人がいるのなら、今日から始めましょう。今日から始めても、まだ入試までには間に合います。今年、小田原高校に首席合格した卒塾生は、約8ヶ月間基礎英語3を聴き続けることで、最初苦手だったリスニングを見事克服しました。基礎英語3は、半年以上継続すれば必ず効果があります。

参照:)デキル子はきちんとやっている!高校入試リスニング対策。

数学+国語

数学と国語に関しては、通常授業や夏期講習にしっかりとついてきてくれれば、今のところ十分です。それなりのレベルのものをやっているので、わざわざプラスアルファで勉強するよりも、塾の復習をきちんとやり、深く理解してくれた方が力が付きます。

ただ、数学が苦手な人は、毎朝10分〜15分で、10問テストを1枚ずつ解き直しをしましょう。これも継続することが大事です。今年、小田原高校に合格した別の卒塾生も、毎朝10分の10問テスト解き直しを取り入れることで、超苦手だった数学を普通の小田高生レベルにまで持っていきました。うちの塾で使っている10問テストは、私自身が10年以上使用し、今の入試に合うように改良を重ねてきたものです。確実に力が付きます。

まとめ

新しい入試になってから3年が経ち、今の中3生の入試で4年目になります。しかし、世間が新しい入試に付いてきているとはまだまだ言えません。古い入試制度の時のままの勉強法、受験対策スケジュールを引き摺ったまま勉強している(または勉強させられている)受験生が多いのが現状です。30点代なかばの理科の平均点にも、それが如実に現れています。

だからこそ、皆さんに勝機があるのです。夏が来る前から、他の中3生がまだまだのん気に遊んでいる頃から基礎の習得を始め、後半に「頭の使い方」の訓練をする時間を確保することで、他の受験生をリードすることができるのです。

定期テストが終わった余韻に浸っている場合ではありません。今すぐ、勉強を始めましょう。