塾の文庫コーナーを充実させる計画が進行中。+国語力アップに効果的な読書の方法など。

2015年6月25日

塾の文庫コーナーを少しずつ充実させる計画が現在進行中です。気が付いていない塾生の方が多いとは思いますが、1週間に2冊〜3冊は新しい本が追加されています。追加している本は、小中学生レベルでも読める難易度というよりも、少なくともトップ校を目指している小中学生ならば、読んでおいて欲しい難易度レベルや内容を、私がせっせと藤沢市にあるT-SITEに足しげく通ってセレクトしています。
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ちなみに藤沢のT-SITEのことは、湘南高校に通う卒塾生に教えてもらいました。それ以来、毎週通っているほどとにかくオススメです。本の種類と品揃えがそんじょそこらの書店よりも豊富で、大人でも子どもでも、本があまり好きではない人でも、夢中で何時間でもいられます。小田原から少し遠いのが難点ではありますが。

国語力アップに、ポップ作りはいいかも!

蔵書の中で特にオススメの本には、簡単なポップを付けていますが、このポップを作るのって結構難しいということに気が付きました。読んだ本の感想や簡単なあらすじを、だいたい200字前後にまとめて書いているのですが、100ページ以上ある本の内容をそれだけ短く端的にまとめるのはなかなか大変で、長々と自由に書ける読書感想文や書評の方がはるかに書きやすいです。

国語の記述問題でも同じことが言えます。2015年度の神奈川県の国語の入試で、100字以上110字以内というボリュームで、傍線部の理由を書く問題が出題されて話題になりました。100字以上の記述問題は、神奈川県の国語の入試問題史上最多であったことから、「これまで以上に書く力が求められる」などと、いろんな人がいろんなことを言ってしましたが、むしろ逆です。文章って、長くまとめるよりも短くまとめる方がはるかに難しい。字数が少ない記述問題の方が、余計なものを削ぎ落して問題の本質をズバリ突かなければいけない分、難易度は上がります。

そういう意味では、子どもにとっても、読んだ本の読書感想文を書くよりもポップを作らせてみた方が、要約力が身に付くと言えるかもしれないと思って、ちょっと調べてみたらやっぱりありました。

本でつなぐわたしたちの未来プロジェクト2015 中学生ポップコンテスト

鳥取県の取組みのようですが、夏休みの風物詩である読書感想文は少々ハードルが高いと考えた教育委員会が、気軽に取組みやすいポップに目をつけたそうです。この取組みは面白いです。確かに、ポップは読書感想文よりもとっかかりやすいと感じる子どもが多いだろうと思います。でも、一端初めて見ると、実はなかなか難しいことに気が付くでしょう。自分のポップは本の内容がきちんと伝わるだろうか、読んだことのない人に興味を持ってもらえるだろうかなど、読書感想文では決して意識しない『他者の目線』を考えなければいけません。他者目線が、伝える力や要約力、表現力を鍛えるのだろうと思います。

おうちでも、子どもが読んだ本のポップを書かせてみると良いかもしれません。文章だけではなく、イラストを入れてみたり、マッキーを使って色とりどりにしてみたり、楽しみながらポップ作りをさせる。そして、可愛らしいポップスタンドで、読んだ本の前に飾ってあげる。そうするとポップ作りが楽しくなって、意欲的に本を読むようになるかもしれません。

うちの塾でもやってみたいなぁ。生徒に読んだ本のポップ作りをさせて、そのなかで優秀なものを本と一緒に塾の文庫コーナーに置く。確実に楽しそうです。

感動した文章や気になった文章を書き写す

塾生向けの本をセレクトすることが目的で、週に4〜5冊程度の本を読んでいる私ですが、私なりの読書術を紹介してみます。本を読んでいるとき、気になった箇所や表現などがあれば、それらを一冊の手帳に書き写します。たとえば小説であれば、心に触れる表現や素晴らしい描写、小説以外の本であれば、ためになったことや後で深く考え直したいことなどを書き写しています。

ごくごくシンプルに、ただ気になった箇所を書き写すということ。これ、地味にジワジワ効きます。書き写しをやっていると、言葉の使い方や漢字の使い方、表現方法などが鮮明に記憶に残るようになります。普段は何気なく読み流している文字の羅列に、具体的な輪郭が生まれてくるわけです。

天声人語の書き写しが国語力のアップに効くということを一度は耳にしたことのある人は多いと思います。ただ書き写すだけで本当に国語力がアップするのかと疑心暗鬼にもなるでしょうが、書き写すということは、他者の言葉使いや表現方法を自分の言葉としてインプットすることでもあります。そうやってインプットを増やしていくことで、アウトプットの文章力も洗練されていくのでしょう。

気になった文章の書き写し、是非やってみてください。読書による効果がまるで違ってきます。

まとめ

最近、何かあれば「本を読め」「新聞を読め」と言っていますが、本を読むということは、たとえば小説であれば、深く感じる力を持った人の書いた作品を読むことによって、その感じ方を追体験し、自分の感じる力を鍛えるということです。小説以外であれば、特別な知識を持った人や優れた人から、考え方や世界の見方を学ぶということです。

本を多く読む人に賢い人が多いのは、よく考え抜かれて書かれた本を一行一行読みながら、著者の思考を追思考することによって、著者の思考法を自然に身に付けているからだと思います。

塾の文庫コーナーの本は全て貸出可能です。気になったものがあれば、どんどん読んでみてください。