これから本格的に始まる受験勉強の参考として、小田原近辺の公立上位校の、2015年度入試合格者教科別平均点をまとめてみます。
これらの数値は各高校から正式に発表されたものではなく、全県模試でおなじみの伸学工房さんが独自に調査したものなので、実際の平均点と多少なりとも誤差があると思われます。全て鵜呑みにするのではなく、あくまでも参考程度としてご利用ください。
なお、各高校の横の人数は、それぞれの平均点の母数を表したものです。
内申点や特色検査の平均点や各高校ボーダーラインに関しては、以下の過去記事を参考にしてください。
2015年度 小田原近辺上位高校合格者教科別平均点一覧
高校名 | 人数 | 英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 合計 |
湘南 | 80人 | 91.7 | 89.0 | 92.3 | 75.2 | 93.4 | 441.6 |
厚木 | 104人 | 88.1 | 80.5 | 89.1 | 61.8 | 83.4 | 403.0 |
小田原 | 100人 | 86.2 | 78.7 | 86.5 | 61.9 | 82.3 | 395.8 |
平塚江南 | 88人 | 82.1 | 76.5 | 82.5 | 57.0 | 78.2 | 376.3 |
海老名 | 93人 | 73.4 | 70.0 | 76.3 | 55.0 | 71.1 | 345.8 |
秦野 | 99人 | 73.6 | 67.9 | 76.7 | 52.0 | 68.4 | 338.9 | 西湘 | 70人 | 66.8 | 63.4 | 69.0 | 43.7 | 61.0 | 304.1 |
県平均 | ー | 51.8 | 52.6 | 64.4 | 37.4 | 50.2 | ー |
上位校になるほど文系科目の平均点が高くなる
このように各科目の合格者平均点を高校別に算出してみると、偏差値の高い上位校ほど、英語・国語・社会の文系科目の平均点が他の高校よりも軒並み高くなっていることがハッキリと見てとれます。文系の中でも特に点数が高いのは英語と国語の2科目です。
教育委員会が発表した県全体の平均点は、上の表の一番下にもあるように、国語が64.4点と最も高く、国語の次に平均点が高いのが数学の52.6点です。しかし、表に示した全ての高校で、国語の次に英語の平均点が高くなっており、県全体の平均点と英語と数学で逆転するという現象が起こっています。この表に掲載していない他の全ての公立旧トップ校でも同様です。一方で、偏差値が低い高校になるほど、逆に英語の平均点が数学の平均点より下回るようになります。
偏差値別各教科平均点
以前も記事にしました(偏差値別入試得点から見る、トップ校合格のための勝ちパターン)が、ここに興味深いデータがあります。伸学工房が2015年の入試の直後に発表した、偏差値別各教科平均点の中間発表です。
偏差値帯 | 英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 合計 |
偏差値65 | 84.6 | 76.5 | 84.9 | 58.9 | 78.7 | 381.5 |
偏差値60 | 74.1 | 70.7 | 79.3 | 51.2 | 70.1 | 342.8 |
偏差値55 | 63.8 | 64.3 | 73.5 | 44.1 | 61.5 | 304.4 |
偏差値50 | 53.7 | 57.3 | 67.6 | 37.7 | 53.1 | 266.4 |
偏差値45 | 43.7 | 49.6 | 61.6 | 32.1 | 44.8 | 228.6 |
偏差値40 | 34.0 | 41.3 | 55.4 | 27.1 | 36.6 | 191.1 |
この表によると、偏差値60以上の層では、国語の次に英語の平均点が高くなっているのに対し、偏差値55以下の層になると、国語の次に数学の平均点が高くなっています。さらに偏差値50の層で英語と社会の平均点がほぼ横並びになり、それ未満の層では英語の平均点は理科の次に低くなっています。
これが英語の特徴です。英語は5教科の中で最も偏差値による点差が激しく、たとえ県全体の英語の平均点がそれほど高くなくても、偏差値が高い学校の受検者は英語で高得点が当たり前なのです。
英国社で点数をできるだけ稼ぐのがトップ校合格への近道
つまり、英国社でできるだけ高得点を稼ぐのがトップ校合格への近道といえます。入試は合計点の勝負であり、各科目のそれぞれの勝負ではありません。トップ校受験生にとって得点を稼ぎやすい文系科目で得点をできるだけ稼ぎ、トップ校受験生でも高得点をとるのがなかなか難しい数学・理科の分を補うのが、理想の勝ちパターンなのです。
トップ校受験生は英国の勉強にあまり時間をかけない
これほど平均点が高くなる英国ですが、平均点の高さと反比例するように、トップ校受験生は実は英語と国語の勉強にあまり時間をかけていないのが現実です。嫌味な言い方になりますが、ほとんどのトップ校受験生にとって、英語と国語は「あまり時間をかけなくても得点を取れるのが当たり前」なのです。
なぜか。英語・国語は積み重ねの科目なので、長い年月をかけてじっくりと学力を高めていきます。逆に言うと、今までさんざん国語と英語を放置していて、入試直前になって短期間でどうにかしようとしてもほぼどうにもならない科目なのです。このブログでも何度も「英語は中3夏までが勝負」と言ってきたのもこういうことです。
英語・国語はこれまでの積み重ねがあるので、あまり勉強時間をかけなくても高得点が取れる。そこで生まれた時間の余裕を、理科社会や数学の勉強に充てるのです。
得意不得意に関わらず社会をやる
今の神奈川の入試の理科は、上位層でもなかなか点数が取りにくくなっています。よって、理科で得点をとりにくい分、確実に社会で点数を取れる状態にしておかなければいけません。
よく理系が得意な生徒で、「理科と社会だったら理科の方が得意だから、自分は理科を頑張ろう」と考える人がいますが、この考え方は危険です。いくら理科が得意でも、今の入試では理科で80点90点を取れる人は全体の1%もいません。理科が得意に越したことはないけれども、だからと言って社会を疎かにして理科ばかりやるのは賢い戦略とは言えません。
社会が苦手な人でも、徹底的に勉強すれば80点は取れます。理科で少しくらいコケてもいいように、まずは社会で高得点を取れる勉強をすることが大切です。
まとめ
このように各高校の平均点を知った上で、自分の得意不得意を考慮して、これからの受験勉強の戦略を立てましょう。たまに、「入試の目標点数は全科目80点以上です!」と何も考慮せずに適当に目標点数を決めてしまう人がいますが、そういう人は入試で失敗する確率が高くなります。理科の80点と、英語の80点では得点の取りやすさとアプローチがまるで違ってくるからです。
繰り返しますが、上位校狙いほど、文系科目でいかに点数を落とさないかが重要になります。各科目の勉強方法に関しては、過去記事を参考にしてください。