今からだって遅くはない!数学の苦手を克服する方法と受験数学攻略法。

2014年12月11日

12月1週目〜3週目までは塾内での学習相談期間だ。小学生から中3までの塾生の面談が連日のように続く。なかなかブログを書く暇がないので更新がやや不定期になるが、それでも合間を縫って書いていこうと思う。

今週の面談の中で、2人の数学の苦手な塾生にアドバイスをした。せっかくなので、数学が苦手な子の勉強法から受験数学の攻略までを書いてみる。以前書いたエントリー「数学はヒラメキ力じゃない。数学が苦手な人に贈る勉強法。」も合わせて読んで欲しい。
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数学が苦手になる原因

数学が苦手になってしまう原因は主に2つ。

  • 計算力不足
  • 解法パターンの暗記不足
  • 数学ができる人は、頭が柔らかいとかパッと解法が突然ひらめくからではなく、小学算数の四則計算や分数・小数の計算、中学数学の方程式や平方根の計算といった基本的な計算が滞りなくできて、なおかつ典型的な問題の解法パターンをいくつも暗記しているからに他ならない。

    計算力を鍛える

    中学生で数学を苦手とする人は、ほぼ間違いなく小学算数の計算からつまづいている。うちの塾では、「10問テスト」というオリジナルプリントを通して小学生のときに徹底的に計算力を鍛えるので、小学生から入塾している子はほぼ計算力に問題がないが、中学生から入塾した子はやはり計算力が弱い子が多い。計算力が弱い子でも、四則計算や分数・小数の計算の「やり方」は分かっている。分かっているはいるのだが、たとえば約分になかなか気が付かなかったり、わり算の商を立てるときにトンチンカンな値の商を立ててしまったりと、速く正確に計算することができないのだ。

    計算力が弱い原因は、練習不足だと断言できる。計算は頭の良し悪しは全く関係なく、スポーツや楽器のように、どれだけの練習量を幼い頃から積んできたかによる。中学生で数学が苦手な人は、思い切って小学算数の計算練習からやり直すといい。その場合、オススメは『小河式プリント中学数学基礎篇(未来を切り開く学力シリーズ)』を反復することだ。この小河式プリントは、小学算数〜中1数学の1次方程式までの内容のみに特化した計算プリントで、中1生や中2生で数学が苦手な子が計算力の土台を築くのに最適な内容になっている。1ヶ月で解き終わる内容なので、基礎的な計算力に悩む受験生にも良いかもしれない。

    先ほども述べたように、計算力に頭の良し悪しは必要ない。基礎的なトレーニングを何度も反復すれば誰でも計算力はつく。ポイントは、毎日10分でもいいから継続してトレーニングすること。1週間に1日だけのようなペースでチンタラやっても計算力はつかない。

    模範解答の解法パターンを暗記する

    模範解答を理解して解き方を暗記

    数学が苦手な子のもう一つの特徴は、解法パターンのストックが少ないということ。たとえば食塩水の方程式の文章問題ならこう解く、速さに関する方程式の文章問題ならこう解くなどの、基本的な例題の解き方が頭に入っていない。文章問題や応用問題などの計算以外の問題は、「ヒラメキ」や「センス」に頼ろうとしているから、数学ができなくなる。

    まずは、教科書や問題集の例題を解いてみる。スラスラ自力で解ければ問題ないが、5分くらい一生懸命考えたけれどサッパリ解けないときは、それ以上考えるのをやめて模範解答を見てみよう。そしてここからが大切。模範解答に書いてある式の立て方や求め方の意味をしっかりと理解すること。数学は暗記だと言っても、理解を伴わずにただ解答を暗記しても全く意味がない。

    模範解答の意味が分からなかったら人に聞け

    模範解答を見てもその式の意味がきちんと理解できない場合は、必ず学校や塾の先生に聞くことが大切。数学が苦手な子は、数式の意味をきちんと理解できないままとにかく「数打てばあたる」と問題を解こうとするが、そんな状態でいくら類題演習を繰り返しても力はつかない。

    自力で解いたのではなく、模範解答を見て意味を理解した問題は、2〜3日後にもう一度今度は自力で解いてみよう。きちんと数式の意味が理解できていれば解けるはずだ。これを繰り返していくと、解法パターンのストックが増えていく。

    もしも2回目も自力で解けないのなら、確実に模範解答の理解が足りていない。その場合は、速攻で模範解答を持って先生に質問しに行こう。数学が苦手な人は、できるだけ人の力を頼った方が良い。数学が苦手な子に限って人に聞かずに一人でどうにかしようとするが、一人でどうにかできるような力があるなら、そもそも数学が苦手になっていない。できないなら、できる人の考え方や解き方を盗む。これが一番伸びる。盗むために、人に聞くのだ。

    公立入試の数学の攻略法

    公立高校入試の数学は、パターン暗記で全て解ける。数学のセンスやヒラメキは全く必要ない。去年の神奈川県の入試数学が難しくなったとか言われているけれど、実際のところは難しくなったのではなく、「過去に出題されなかったパターン問題が出題されただけ」である。

    たとえば昨年出題された連立方程式の速さの文章題。神奈川県の入試では、これまで連立方程式の速さの文章題が出題されたことがなかったので、多くの受験生が戸惑った。ただ、蓋を開けてみれば、この連立方程式の速さの問題は、中2の連立方程式の文章題のパターン暗記で十分解けるレベル。数学のセンスも高度なテクニックも何もいらない。

    神奈川の公立入試数学で言うと、関数・図形の証明・方程式・空間図形は基本的なパターン暗記のみで十分だ。確率の問題もパターン暗記でいけるのだが、年によってはルールをきちんと理解するという読解力が必要になったりする。

    関数は最も楽勝に満点を目指せる単元

    なかでも関数は暗記しなければいけない解法が極めて少ない。一次関数の式や座標の求め方を知っているのなら、あとは「面積比」「線分の比」「等積変形」「方程式」のたった4つの解法パターンを暗記しておけば全ての問題は解ける。やる気になれば、2〜3日で2次関数は楽々攻略できる。

    空間図形こそパターン暗記

    皆が難しく感じる空間図形だって、パターン暗記のみで楽々攻略できる。「自分は空間を見るセンスがない」とか言っている人は、センスがないのではなく、解法パターンを全て暗記していないからである。しかも、空間図形を解くのに必要な解法パターンは関数の次に少ない。空間図形が苦手な人は、過去に出題された空間図形の解法パターンを全て暗記してみよう。もちろん理解をしながら暗記するのが大切。そうすると、今までの苦労は何だったんだと思うほど空間図形が簡単に思えてくる。

    方程式はそれぞれのタイプの問題の基本パターンの練習をする

    方程式も同じ。一次・連立・二次方程式の文章題の、「数量関係」「図形問題」「速さ(一次・連立)」「割合(一次・連立)※公立入試に2次方程式の割合までは必要ない」「動点」の基本パターンの解き方が分かれば、問題を解きながら実戦するといい。方程式はパターン暗記も大切だが、もっと大切なのはそのパターンの運用。いろいろな問題を解きながら、基本パターンをどのように運用するか確かめる練習を積むこと。

    証明問題は模範解答をテンプレート化する

    証明問題が解けない場合、模範解答を丸暗記しよう。一言一句、改行の仕方までマネして覚え、「テンプレート化」するといい。うちの塾生には、「証明問題はテンプレートをきちんと身につけることが重要」だと教えている。テンプレートはつまり「型」だ。入試の証明問題は、自分だけのオリジナリティ溢れる解法を披露する場所ではないし、「型」がないと部分点すらもらえない。

    証明問題は、暗記している「テンプレート」の多さに比例してできるようになる。証明問題ができなくて悩んでいる人は、できなかった問題の模範解答を全て暗記し、テンプレート化していこう。

    まとめ

    数学ができる人って、「解法を暗記しよう」と意識していなくても自然と頭に入る人のことだと思う。でも、数学が苦手な人は、自然と頭に入らない。だから、数学ができない人ほど意識的に解法を暗記することが大切になるというワケ。

    公立高校入試レベルだったら、計算力とパターン暗記で数学は十分克服できる。そういう意味では、社会や理科と同じく今からだって十分伸びていく科目。ぜひ、最後まで諦めずに数学を伸ばしてもらいたい。