昨年激しく難化した神奈川県の理科。問題は難しくなったものの、実は新入試制度になってからも旧入試制度の頃と出題形式は変わっていない。そこで、神奈川県公立入試の理科の出題形式の特徴と各単元ごとにやっておきたい勉強内容をまとめてみる。
神奈川県入試の理科の出題形式
神奈川県の理科は、毎年大問1〜大問8までで構成されている。各大問ごとの出題内容は次の通り。
大問1:物理小問集合3問
大問2:化学小問集合3問
大問3:生物小問集合3問
大問4:地学小問集合3問
大問5:物理大問
大問6:化学大問
大問7:生物大問
大問8:地学大問
このように、前半部分に物理・化学・生物・地学の小問が登場する。小問は、後半の大問で出題されている内容以外の中1〜中3までの問題が1問ずつ単発で出題される。それに対して後半の大問は、それぞれの分野でテーマを一つに絞ったものについての出題になる。
前半の単発で出題される小問集合は、1問分からなくても残りの2問にあまり影響はないが、後半の各大問は、自分にとって苦手だったり勉強不足だったりする分野が出題されたら大きな失点に繋がる。神奈川の理科は、後半の各大問をどれくらい攻略できるかが鍵になる。
過去10年の後半の大問出題範囲
そこで、過去10年間の神奈川の理科の大問5〜大問8までの出題範囲を表にまとめてみた。
年度 | 物理分野 | 化学分野 | 生物分野 | 地学分野 |
2005年度 | 中2電流 | 中3酸化還元 | 中3細胞生殖 | 中3天体 |
2006年度 | 中3運動 | 中2質量保存 | 中2刺激と反応 | 中2天気 |
2007年度 | 中1光 | 中2化合 | 中2だ液実験 | 中3天体 |
2008年度 | 中2電流 | 中3還元 | 中1植物 | 中2天気 |
2009年度 | 中3運動 | 中2酸化 | 中2動物 | 中1地層 |
2010年度 | 中1光 | 中3中和 | 中1植物 | 中3天体 |
2011年度 | 中2電流と磁界 | 中3イオン | 中3自然界 | 中1地層 |
2012年度 | 中3運動 | 中3イオン | 中3遺伝 | 中2天気 |
2013年度 | 中2電流 | 中2質量保存 | 中1植物 | 中3天体 |
2014年度 | 中1力+中3仕事 | 中3イオン | 中2だ液実験 | 中1地震 |
このように表にしてみると、各分野である程度のサイクルがあるのが見てとれる。
物理分野
物理分野は、中1〜中3内容が周期的に出題されている。ここ10年の主な出題範囲と言えば、中1光(凸レンズ)・中2電流と磁界・中3運動だったが、昨年度は中1の浮力と中3の仕事の分野が出題された。今までほとんど出題されてこなかった範囲が急に大問として出題されたもんだから、対策不足の受検生が多かったと思われる。これも、昨年度の理科の平均点が激しく低下した要因の一つだろう。ただ、中1の浮力と中3の仕事を絡めた問題は、全国的に見ればよく出題されるようなありふれた内容だ。対策さえしっかりとしていたなら、問題なく点数がとれたハズだ。
物理分野は、中1の凸レンズと力、中2電流、中3運動をまんべんなく勉強すること。暗記が少ない分、本気でやれば1単元につき2日程度で復習できる。余力があれば、中1光の屈折や反射の単元の、他の都道府県の入試問題に触れておくとよい。
化学分野
化学分野は、ほぼ中2の酸化還元や質量保存がらみの内容か、中3のイオンに絞られる。中2の酸化還元や質量保存がらみの内容は、必ずグラフや表からの計算問題が出題されるので、確実に練習しておきたい。中2化学の計算問題は、一見すると難しそうに思うので嫌う人が多いが、実は小学生の比の計算ができればなんてことはない。しかも、計算問題は出題のパターンがほぼ決まっているので、解き方を1つ1つ理解し練習していけば、誰でも習得は可能。
逆に中3イオンはほぼ暗記。昨年度のイオンの問題は「暗記に頼らない考える力を見る問題」とか言われているが、基本的なことを暗記していなければ考える力があっても正解にはたどり着かない。逆に、考える力がなくても内容や事象を確実に暗記していれば正解できたはずだ。
化学分野は、中2の酸化還元や質量保存がらみの内容、中3のイオンをまず完成させる。余力があれば、中1の溶解度曲線の内容も練習しておきたい。
生物分野
生物=暗記のみというイメージがあるが、大問の生物分野は重要用語の暗記のみじゃダメ。たとえば中1の植物なら蒸散の計算問題、中2の動物ならだ液の実験や刺激の計算問題、中3の生物なら遺伝の計算問題は必ずおさえておく。生物の計算問題なんて、数が少ない上に小学生の四則計算ができれば十分解ける。
あとは、生物の実験内容は「なぜこの実験をするのか」「どういう結果が得られるのか」というところに着眼して注意深く確認していこう。
地学分野
地学分野も物理分野同様、中1〜中3までの内容が周期的に出題されている。地学分野の中で一番簡単に攻略できるのは、中2の天気。ここは、飽和水蒸気量の計算さえクリアできたら、あとは数少ない暗記事項で全て解ける。
逆に、一番厄介なのは中1地学。地層・火山はとにかく重要用語のオンパレードで暗記事項が多い。まずは、暗記すべきことを確実に暗記すること。ただ、暗記だけで通用しないのが地学。地層の傾きや地震(去年出たから今年は大問にはならないと思うけれど)などは、解き方・計算方法を理解し、演習を積むと良い。
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