「分かる」と「できる」は違う。「できる」と「使える」は、もっと違う。

2018年6月29日

「10問テストを毎日やりなさい。」

最近中3に毎日のように言っています。どれだけ言っても結局毎日やる子は一握りなんだけれど、それを分かった上でそれでも「毎日10問テストをやれ」と毎日言っています。毎日言うことで、こちらの真剣さとことの重大さが分かる子がたった一人でも増えたなら。そんな思いで毎日言っています。それでもやらない子はやらないだろうけど。

なぜ「10問テストを毎日やりなさい」と言っているのか。決して根性論でやれと言っているわけではありません。今日はその理由について、もう少し論理的に話をしてみたいと思います。

昨日の中3生10問テスト

「わかる」と「できる」は違う

よく言われることですが、「分かる」と「できる」は違います。授業を受けて原理原則や問題の解き方が頭で分かったとしても、それはイコール「できる」ということではありません。「できる」というのは、自分の力で問題を解けるようになることです。そして「分かる」から「できる」状態にするには当然反復練習が必要になります。

中3生であれば、こんな話の一度や二度は聞いたことがあるでしょうし、「分かる」と「できる」の違いはさすがに理解しているでしょう。しかし、受験を乗り越えるためには、しかもただ乗り越えるのではなく、トップ校に合格するための得点力を鍛えるためには、「できる」状態でもまだ不十分なのです。

必要なのは、「できる」を「使える」に昇華させること

では「できる」の次に必要なのは何か。

それは「使える」ということです。受験生は「できる」を「使える」にまで昇華させないと、勉強しているのに実力が付かない、模試の点数が上がらないという状態に陥ってしまいます。

10問テストに話を戻します。うちの塾の10問テストは、まず制限時間10分〜15分でテストを解き、間違った問題はできるようなるまでやり直しをしますね。塾生が取り組む10問テストのサイクルはこんな感じです。

制限時間10分でテストを解く。→制限時間以内に全部解けなかっただけでなく、解けたつもりの問題でもミスがあった→テキストやノートで復習してやり直しをする。解けなかった問題はもう一度じっくりと考えてみる。→自力でできた。→満足!

なるほど、復習するとできない問題ができるようになったでしょう。10分で解けなかった問題も、じっくり考えれば解けるかもしれません。

このように、テキストやノートで復習してやり直しをすることは大切です。解けなかった問題はもう一度じっくり考えることも当然必要です。その結果、1時間かけて復習とやり直しをして分かったとしましょう。「1問をいろいろな方向から考えろ」と日頃言っていますからね。1時間かかることもあるでしょう。しかし、矛盾するようですが、最終的に全部自力で解けたとしても、それではダメなのです。それでは「できる」ようになったかもしれませんが、受験で「使える」状態には程遠いのです。

10問テストは10分〜15分という制限時間内で解くことを前提に作成しています。もっと言うと、10問テストを10分〜15分で解き切る力がついてはじめて、受験で「使える」力として定着するように作っています。「全部解けたけど1時間かかった」「復習したからできた」ではダメなのです。問題を見てすぐに解法が浮かび、あるいは工夫によって素早く正解まで導くことができ、そしてそのスピードに耐え得る計算力を身に付けてはじめて10分で解けるのです。そしてその力が、受験で「使える」力なのです。

だから毎日10問テストを繰り返しなさいと言っています。
1時間かけてやり直しをしたものを、今度はきちんと10分で解き切る力を付けるためです。「できる」状態から「使える」状態へと昇華させるためです。10分でできるようになったら、今度は8分を目指しなさい。そうやって毎日訓練していくと、どんどん「使える」力が蓄積されていきます。

あらゆる勉強やテストでも同じことが言える

これはなにもうちの塾の10問テストだけではなく、ほかのいろいろな勉強やテストでも同じことが言えます。

分かりやすい例で例えると、小学校で習う九九と同じです。九九で最も重要なのは、正確さと速さです。たとえ「できる」状態だとしても、「ろくは、えーっとなんだっけ…えーっと6が8こ分だから、42…いや違うな、あ、48だ!ろくは48!」という具合ではダメなのです。「ろくは48!」と、反射的瞬間的に反応できるようにならないと、全く使いものになりません。

模試や定期テストを受けて、間違ったところをきちんとやり直しする。多くの人はそれで満足してしまいます。でも、受験で「使える」力にまで昇華させるにはそれだけではダメで、もう一歩先の、制限時間内に全て解き切る練習が必要不可欠なのです。

模試やテストだけでなく、普段の勉強でも同じです。問題集を解いていて、最終的には自力できたけれど、ものすごく時間がかかってしまったのなら、それは「できた」けれど「使えない」状態です。使える状態に昇華するためには、短時間で解くにはこのアプローチで良かったのか、ほかの方法はないのか、自分の計算が遅いのかなど、短時間で解く方法を分析し、実際に短時間で解けるように何度も練習をする必要があるのです。そこまでして、ようやく「使える」力として蓄積されていくのです。

まとめ

「わかる」から「できる」にするためには、反復練習が必要です。そして「できる」から「使える」にするためには、それこそさらに気の遠くなるような反復練習が必要なのです。

だから毎日10問テストをやりなさいと言っています。同じテストを何度も繰り返しなさいと言っています。「使える」状態まで落とし込むことは、一朝一夕でできることではないのです。

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