拝啓、はじめて定期テストを迎える中1生へ

今年度初めての定期テストが近づいてきました。中学1年生にとって、今回が初めて経験する定期テストになりますね。テスト勉強の準備は順調に進んでいますか?

今回は、はじめて定期テストを迎える中1生に向けて、小学校のテストと中学校のテストの違いや、中学校の定期テストの勉強方法について分かって欲しいことを書いてみたいと思います。

中1生に向けて書いていますが、中2生や中3生の中にいる「実は定期テストの勉強ってよく分かっていない」という人も、こっそり読んでみてください。

小学校のテストは、100点満点が当たり前

小学校のテストは、最低限の基本ができているかどうかを見るためのテストです。なので、最低限の基本ができていれば、特にテスト勉強をしなくても100点満点やそれに近い高得点がとれます。

小学校のテストで100点満点をとったからといって、それが勉強ができるということではありません。

小学校のテストの100点満点は、「最低限の基本は理解できている」ことの証明に過ぎず(もちろんとても重要なことですが)、それはすごいというよりも当たり前の状態です。逆に、小学校のテストで70点くらいの状態は、「まあまあ」ということではなく最低限の基礎が7割程度しか身についていないというであり、かなりの危険信号であるということになります。

中学校に定期テストがある理由

一方、中学校の定期テストは、小学校のテストのように、最低限の基本を理解できているかどうかを確認するテストではありません。では、中学校で定期テストはなぜ存在し、なぜ重要視されているのでしょうか。

① 学力定着のため

1つ目の理由は学力定着のためです。知識はインプットするだけではなく、テストでアウトプットすることで初めて定着します。その名の通り定期的にテストをすることによって、学習内容を確実に定着させていく意味があります。

②成績をつけるため

中学校の定期テストの難易度は、小学校の定期テストのように誰でも簡単に100点満点がとれるレベルではありません。もしもそんなテストにしたら、100点満点を取る生徒が連発してしまい、評価を付けることができなくなります。

中学校の定期テストは、最低限の知識があるかどうかはもちろん、基本を応用できる思考力はあるか、文章として伝えることのできる表現力はあるかどうかなど、それぞれの細かな項目について評価できるように、基本から発展まで幅広い問題が出題されます。

他にも、普段から主体的にとり組んできたかを確認するため、授業中に先生が話した内容についての出題など、問題集にも載っていないような先生オリジナルの問題が出題されることもあります。

このように、小学生気分のままで定期テストを受けると、小学校の時は100点満点をとれていた人でも、中学校の定期テストで悲惨なことになってしまいます。

定期テストは『完璧主義』を目指す

ではどうすればいいかをお話しします。

まず、定期テスト勉強では『完璧主義』を目指してください。

教科書をただ読んだだけで、「もう大丈夫、理解した。」と教科書を閉じ、分かった気分になっていると、中学校の定期テストでは見事なくらい失敗します。『完璧主義』で勉強するということは、本当に全て理解したのか、覚えるべきことを全て暗記したのか、きちんとチェックしながら進めていくということです。

問題集を解く意味

勉強と言えば問題集を解く、とイメージしている人は多いと思いますが、問題集を解く意味をきちんと理解しましょう。定期テストにおいて、問題集を解く意味は、大きく次の3つのパターンに分けられます。

① 仕分けるために、解く

問題集を解く意味の1つは、「仕分け」です。

教科書を読んだだけでは、本当に自分が理解しているのかしていないのかが分かりません。自分の理解度を知るということは、実はとても難しいことなのです。

問題集を解いて答え合わせをすると、○が付く問題と×が付く問題の2つに分かれます。これが「仕分け」です。たくさん存在する重要事項を、この2つに仕分けるために問題集を解いているのです。

そして、本当に大切なのは「仕分け」をした後です。×が付いた問題は、もう一度基本に戻り、理解不足の箇所を確認し、○になるように覚え直したり、もう一度よく考え直します。この作業を繰り返していくと、どんどん×の問題が減り、○が増えていきます。これを繰り返すことで、少しずつ完璧に近づいていくのです。

逆に言うと、問題集を解いた後、×を○にするための確認作業をしないと、問題集をたくさん解いてもあまり効果は期待できません。

問題集の中で最も大切な問題は、自分が解いた後に×が付いた問題です。この×の問題を、完璧に理解できるように、大切に扱いましょう。

② 理解するために、解く

問題集を解く2つ目の理由は、理解するためです。

問題を解けば解くほど、理解がどんどん深まっていきます。問題集には1つの単元について、基本〜応用問題、一問一答形式から文章問題まで、レベルも形式も多岐にわたる問題が載っています。それらの色々な問題を解くことで、その単元の内容を色々なレベルから、また様々な視点から考えることができ、問題を解いていくうちに自然と理解も深まっていくのです。

また、教科書を読んだだけではよく分からなかった単元も、問題集を解くことで重要なポイントが見えてきます。問題集で出題される問題は、すべて重要なポイントです。重要だから問題になっているのです。特に理科や社会は、問題集を解くことで理解するべきポイントがクリアになります。

③ 向上させるために、解く

3つ目の理由は、向上させるためです。

頭では理解できていることでも、さらに学力を向上させるためには十分な練習が必要です。たとえば数学の計算問題は、練習を重ねることでどんどん正確さやスピードが身につきます。

十分な練習を重ね、さらに学力を向上させるために、問題集を解くのです。

このように、問題集を解く意味はたくさんあります。これからは、ただ何となく問題集を解くのではなく、なぜ問題集を解くのか、どのような目的で解くのかを意識しながら解いていくと、勉強の成果がまるで変わってきます。

仕上げは「学校の先生対策」を

ここまで、問題集を解く意味について書いてきました。ただ、一つ注意して欲しいことがあります。それは、学校の定期テストにおいて言えば、問題集は万能ではないということです。万能ではないということは、つまり「問題集を解いただけで完璧ではない」ということです。

学校の定期テストは、学校の先生が行った授業がきちんと理解できているかどうかをチェックするものです。学校の先生が行った授業の中には、一般的な問題集には載っていないこともたくさんあるでしょう。

なので、問題集を解いて理解した後は、学校の授業のノートやプリントを使って、授業の内容を復習しながら、先生が出しそうなポイントを考えてみます。初めての定期テストであれば先生の出題の癖は分かりませんが、2回目以降はだんだん先生の癖のパターンがわかってきます。このように、先生の出題の癖に合わせて「学校の先生対策」をするのが、最後の仕上げです。

勉強は、いくらやっても完璧にはならないもの

最後に、中1の皆さんに理解しておいて欲しいことがあります。

それは、勉強とはどれだけやっても完璧にならないということです。先ほど、中学校の定期テストでは『完璧主義』になりなさいと言いましたが、猛勉強したとしても『完璧』に仕上がることはありません。むしろ、勉強すればするほど分からないことはたくさん増えていきます。これだけ長く教えている私だって、「中学校の教科書の内容を完璧に理解していますか」と聞かれたら、「していません」と答えます。それほど、勉強とは奥深いものなのです。

これは定期テストだけでなく、近い将来経験する受験勉強や、普段の学習でも同じです。

『完璧』に近づこうと一生懸命勉強すればするほど、分からないことがたくさん出てきますが、それでいいのです。勉強を進めていくということは、表面的な部分からどんどん深い部分へ潜り込んでいくことと同じです。勉強すればするほど、知識の深みにはまっていきます。表面的な勉強では決して見ることのできない新しい世界がどんどん広がっていきます。それが、皆さんをより賢く、豊かにしていくのです。

逆に言えば、「完璧に勉強しました」と断言してしまう人は、とても浅い表面的な部分の勉強で終わってしまっているケースが少なくありません。「完璧に勉強した」と断言している人ほど、実は定期テストの点数も取れない場合が多いのです。

まとめ

神奈川県の場合、ラッキーなことに1年生の成績は高校入試の内申点には関わりません。1年生の間は、色々な勉強を試してみてください。たくさん失敗してみてください。そしてその失敗から多くを学び、次に繋げてください。中1生の間に試行錯誤しながら自分なりの勉強法を確立できた人は、中2以降も、受験期を迎えても強いです。

まずは、人生はじめての定期テストを、これまでの人生で一番勉強した上で臨んでみてください。自分の勉強法が中学校でどこまで通用するか、試してみましょう。