弊塾はテストがたくさんあります。
英単語テストや漢字テスト、語彙テスト、数学の10問テスト、理社の復習テストなど日常的に実施するテストから、単元ごとの単元テスト、定期テスト前の確認テスト、英語の教科書の本文を英訳する本文テスト、学力模試や入試模試などの不定期で実施するテストまで、テストテストのオンパレードです。
どんなテストでも模範解答を渡さない
学力模試や入試模試のような外部業者に委託するテスト以外、塾内で作成するテストで全て共通しているルールがあります。それは、どのような種類のテストでも、模範解答を生徒に渡さないということです。
なので、弊塾の塾生にとってはテストよりもテストを受けてからの方が大変です。テストが何点であっても、その後にすべて正解するまで自力でやり直しをしなければならないからです。
例えばこのブログで何度も書いている数学・算数の10問テストは、授業後に生徒それぞれが間違ったところをできるまでやり直しをするというシステム。どうしてもわからない場合は質問してもいいし、テキストやノートを見て復習しても良いのですが、答えだけ教えてもらうということはできません。
10問テスト以外にも、単元ごとの単元テストや確認テストなども基本的には同じです。やり直しをする最終期限をあらかじめ設けた上で、その期限までにきちんとやり直しを終わらせるというのがルールです。
このように、弊塾が模範解答を渡さずにやり直しをさせる理由はたった一つ。それは、答えをお手軽に知らせないためです。
分からないことに向き合い続けられる力
学力を伸ばすためには、大前提として、分からないことをたくさん抱え続けられること、分からないことに対してきちんと向き合い続けられることが何よりも大事だと思っています。
私のような塾の講師の仕事は、分かりにくいことを分かりやすく教えてあげることです。授業でいかにわかりやすく伝えるか、どう説明すると抵抗なく理解できるのかを毎日考えているし、できるだけわかりやすい授業を心がけています。
でもその一方で、何事も分かりやすく伝えるということは、子どもにずっと流動食や咀嚼した食べ物を与え続けているのと同じです。わかりやすい授業をすればするほど、皮肉にも、生徒から自分の頭で咀嚼する機会を奪ってしまいます。そしてそのうち、生徒は自分で咀嚼できなくなってしまうか、咀嚼が必要なハードなものを嫌うようになってしまいます。
柔らかいものばかり食べてきた子が固いものを食べなくなるように、そもそも固いものを食べる力も無くなってしまうように、何でもわかりやすく誰かが教えてくれる環境にどっぷり浸かった子どもは、わかりにくいものを粘り強く考えることを避けるようになってしまうのです。
だから、テストのやり直しくらいは、安易に模範解答を配りません。頼まれてもいないのに解説もしません。本当に分からない質問には付き合いますが、手っ取り早く答えを知りたいだけの安易な質問ならば突き返し、徹底的に自分で考えさせます。忘れているなら自分で復習してもらい、1日考えても分からないのなら2日考えてもらいます。
分からないをたくさん抱えて生きていけ
ブログだとこんなに簡単に書いているけれど、実際は生徒も講師もこれがかなり大変です。
特に、勉強が苦手な生徒は、分からない状態を嫌います。分からないことに向き合おうとすることを避けようとします。だから、やり直しをギリギリまで放置し、その結果最終期限まで終わらないことも日常茶飯事です。それでも、生徒を甘やかさず、たとえ期限が過ぎてもきちんと終わるまでやらせます。それが小学生であっても中学生であっても。
そうやって根気強く指導しているうちに、分からないことを粘り強く考え続けられる思考力、分からないことを常日頃抱えていられる耐性、分からないことに対してきちんと向き合える向上心が少しずつ養われます。時間と労力はめちゃくちゃかかるけれど、それが弊塾のやり方です。
勉強なんて、下手したら一生考えても答えの出ない問題を、分からない分からないと一生かけて考えなければいけないこともあるだろう。学問だけでなく実社会で生きることだってそうだ。これだけネットが発達しても、実際に生きていると分からないことなんてたくさんある。正しい正解が何のか、そもそも正しい正解があるのかどうかも分からないことを、考え続けなければいけない。
自分の生徒たちには、分からないことが何もない状態でいるよりも、分からないことをたくさん抱えて生きていけと思う。それができることが、これからの時代に求められる力だとも思うから。