失敗のすすめ:最初の定期テストは失敗するくらいがちょうどいい。

2018年6月19日

先週初めての定期テストを迎えた中学校の結果がボチボチと返却され始めている。まだ全ての結果が揃っていないので総括はこれからだが、5教科全て返却された子達に結果を聞くと、中1生はなかなか苦戦を強いられている様子だ。

塾講師が言うべきことではないかもしれないが、私は内心では「よしよしそれでいい。おおいに失敗しろ。」と思っている。もっとありていに言うと、「あんな勉強で目標を達成されても困る」とも。

非効率勉強のすすめでも書いたように、今回の定期テスト前の中1生の勉強の様子は、お世辞にも合格点をあげられる内容ではなかった。定期テスト1週間前になっても、英語の本文は英訳できないどころか単語すら覚えていない、定期テスト前日になってもまだ学校のワークをやっている、塾の準拠ワークもほとんど手をつけずにやったことにする、できなかった問題の間違い直しもしないなどなど、細かいことをあげつらうとキリがない。

ただ、中1生の初回の定期テストは毎年こんなもんなのだ。特に今年の中1生は、まだまだ精神的に幼い男子が多い。しかも小学校のときは「できる子」に分類され、学校の勉強なんかに困ったことがほとんどない子たちばかりだ。ハッキリ言って、勉強をなめている。学校の勉強なんてそんなにやらなくても自分はできると思っている。

中1の最初の定期テストは、勉強をなめている中学生になりたての子どもに現実をしっかりと分からせ、勉強はなめてはいけないものだと分からせる絶好の機会なのだ。だから中途半端に目標を達成されては困る。おおいに失敗することで、自分の勉強への態度を内省し、合計9割以上を普通にとっている2年生や3年生に対して、どんな風に勉強すればそんな点がとれるのかと畏敬の念を抱くキッカケになってほしい。そして次のテストで、今回の反省を生かし、より良い勉強方法を模索していけばいい。

5月に実施した中1保護者会のときにも、「定期テストの点数は、自学力と実力を表していると思ってください」という話をした。うちの塾は何度も書いている通り、定期テストの対策授業や過去問配布は一切しない。ドーピング無しに、生徒の自学力と実力を高めるという正攻法でのみ結果を出すことにこだわっている。だから、自学力も実力もまだまだ乏しい1年生のうちは結果が出ないのは当然だしそれで良い。今はこんな状態でも、2年生3年生と学年が進んでいくと、必ず自立して勉強できるようになる。何度も失敗を重ねて、その度に悔しい思いをし、改善方法を模索するという過程をたどってきたからだ。

失敗した分だけ、子どもは強く、賢くなる。失敗させないようにするのが教育じゃない。失敗しないことを喜ぶのが教育じゃない。派手に失敗させて、悔しさと痛みを感じさせ、そこから改善点を模索させるのが教育だと思う。だから、中1の学校の定期テストくらい、おおいに失敗させたいというのが私の本音だ。