非効率勉強のすすめ。

2018年6月9日

来週の定期テストに向けて勉強会カンヅメもいよいよ佳境を迎えているが、それにしても今日はよく生徒を叱った。

一番の原因は、昨日実施した英語の教科書本文テストのできが非常に悪いこと。特に1年生が酷すぎる。

これまでカンヅメのたびに、定期テストの勉強で一番気を付けなければいけないことは、「自分はできるという思い込み」だと何度も話してきた。それを排除するためには、必ずアウトプットをして解けることを確認することだよと話してきた。

本文テストの前の木曜日、中2や中3は必死になって日本語訳→教科書英文の練習をひたすらやっているのに、中1は涼しい顔をしながら教科書を眺めているだけ。ほとんどの生徒は手を動かしてもいない。これはまずいなと思ったが、「明日の本文テストに向けて、きちんと勉強するように」とだけ釘を刺すと、中1は無邪気な顔をしてウンウンと頷いていた。

絶対に分かっちゃいないだろうとは思ったが、結果は案の定散々たるもの。今回の英語の目標点を満点にしている子でも、教科書の単語すらまともに書けるように練習していない。

「きちんと勉強する」の「きちんと」とはどのような状態なのか。「きちんと」した状態にするには、どう勉強しなければいけないのか。実際に英語の教科書の勉強を目の前でさせながら、「きちんと」勉強するということはどういうことなのかを体感してもらった。

中1生は毎年ここからなのだ。

今は自分で「きちんと」勉強できるようになった中2生だって、つい1年前の最初のカンヅメでは、今の中1と同じような状態だった。この1年間、「勉強のやり方が甘すぎる」と散々注意を受けながら、「まずは言われた通りにやりなさい」と散々叱られながら、ようやく「きちんと勉強する」ための勉強の強度、負荷のかけ具合を覚えた。

今日は中1に散々怒ったが、それで良い。いくら勉強の仕方を教えたって、いくらマニュアルを書いたって、最初から上手くできる子なんてほとんどいない。1年生のうちは、失敗をしながら、その度に先生から叱られながらたくさん学んでいけばいい。

うちの塾はこんなスタイルで勉強会をやっているもんだから、最初のうちは生徒も講師も正直とてもしんどい。他の大手塾のように、定期テスト対策授業を組んで徹底的に教え込み、過去問を何年分もやらせた方が、お互いにとってどれだけ効率的だろうと思う。同じ先生が作る同じ単元の定期テストの過去問は、やはり毎年傾向が似通っている。学校ワークにプラスして塾用ワークをやらなくても、単元テストや本文テストなんてなくても、一問一答なんて作らなくても、過去問さえ徹底的にやり込めば、誰でもある程度良い点数が取れてしまう。

しかし、簡単に身につけたことは、簡単に忘れてしまう。そういうやり方で良い点数をとったとしても、定期テストが終わってしばらくすれば、ほとんど忘れてしまっていることだろうと思う。過去問があれば、テストに出題されるところだけ効率的に勉強できる。しかし、自分で勉強するとなると、10問勉強したうちの、たった1問程度しか出題されない。いや、もっと効率が悪いかもしれない。自分で勉強するということは、過去問をやることに比べて圧倒的に非効率だ。しかし、非効率だからこそ、1問の出題のために10問以上解くからこそ、より脳に深く刻み込まれるのも確かだ。

勉強は効率的にするべきだと思う。しかし、何でも最初から効率ばかりを追い求めてもいけない。数学1問に何時間もかけて悩んだり、勉強の仕方を工夫してみたり、「きちんと勉強すること」を体感したり、自分で一問一答や暗記カードを作成してみたりという、側から見るととんでもなく非効率な勉強の中で、暗記力を伸ばし、「きちんと」学ぶ方法を身につけ、高校入試に通ずる学力や自学の土台を作る。

だから、うちの塾は、どれだけ大変でもまずは非効率な勉強をさせる。まずは非効率な勉強のなかで、効率的な方法を模索していって欲しい。それが一番子どもの頭を強くするから。