「小学生こそたくさん国語を勉強してください」とお願いする理由とその方法。

2018年4月11日

最近、特に小学生の国語のレベルの低下が著しいと感じます。

国語が苦手な塾生に対しての面談で、保護者の方に「国語の勉強をしてください」とお願いすると、決まって「先生、国語の勉強ってどうすればいいか分かりません。」という答えが保護者の方から返ってきます。大人の保護者の方でさえ、どうやって国語を勉強するかがわからないので、当の小学生本人たちは言わずもがなです。

本人たちは「国語の勉強=漢字を覚えること」だと本気で思い込んでいるので、「国語をもっと頑張りなさい」と言うと、一生懸命漢字の書き取り練習を始めたりします。もちろん、それで国語の力が向上することはありません。

しかし、国語の勉強法が分からないから、また国語の勉強=漢字の書き取りだと思い込んだまま、小学生の時期に適切な国語の勉強をしないでいると、今後の学習活動において、非常に大きなハンデを背負うことになってしまいます(その理由はのちほど)。

今後の学習活動の基盤を作る小学生の時期だからこそ、どの教科よりも国語の勉強に力と時間をかける必要があります。そこで今日は、「国語の家庭学習法」について書いてみたいと思います。

まずはたくさん本を読む

まずは、様々なジャンルの本をたくさんを読みましょう。

小・中学生のうちは、国語ができる子どもの多くはよく読書をしています。逆に、ほとんど本を読んだ経験のない子どもで、国語ができる子を滅多に見かけません。

読書経験が豊かな子どもの方が国語ができる理由は、次の3つです。

論理構成や心情描写表現などの文章ルールに慣れている

文章には一定のルールがあります。論説文や説明文のような説明的文章であれば、著者の意見を主張するための論理構成があり、物語文のような文学的文章であれば、登場人物の心情をより的確に、深く表すための表現技法がたくさん使われています。

読書が好きな子どもは、いろんなジャンルの本を読んでいるうちに、これらの論理構成や表現技法に慣れてしまっています。そして、国語の文章問題の多くが、このような論理展開や表現技法が問われます。読書経験が豊富な子どもの場合、国語の勉強を全くしていないのに国語の成績が良いという子は珍しくはありませんが、このような子は、感覚的にこれらの文章のルールを体得してしまっているからです。

逆に読書経験がない子どもは、文章がどのように論理展開されているのか、この表現技法が何のために使われているのかを全く理解することができません。

語彙力が育つ

ある小学生の国語のテストを採点していると、難しい問題ではないのに全くトンチンカンな答えを書いていたことがありました。のちにその生徒に確認したところ、「□に入るふさわしい漢字一字を書いて答えなさい」という問題文の、「ふさわしい」という言葉の意味が分かっていなかったことが判明しました。

本や文章に触れる機会が極端に少なかった子どもは、会話以外で語彙や知識を習得することがありません。小学生の日常会話で「ふさわしい」ということばを使うことなんて場面はほとんどないので、この子は「ふさわしい」の意味が分からないままここまできたのでしょう。

読書経験が豊富な子どもは、日常会話では出てこない多くのことばを本から吸収します。文章を理解するには、まずことばの意味を知っていることが最低条件です。

活字に対する抵抗感がない

読書をする子どもは、国語の文章読解などの問題を解く時、活字を読むことに対してほとんど抵抗がありません。なので、「読む」という行為の先にある、「考える」「問題を解く」という行為にすんなりと移ることができます。

一方で、読書をしてこなかった子どもは、まずは問題文の長い活字を読むことに対して、相当なストレスと時間がかかります。そこで集中力と時間を消耗してしまい、そのあとの「考える」「問題を解く」という行為にまで至りません。

読書だけではダメ!論理的思考力をトレーニングせよ。

では、読書だけをしていればみるみる国語ができるようになるのかというと、答えはもちろん否です。

国語の本質は、ことばを使った論理的な思考力です。この論理的な思考力は、趣味程度の軽い読書では到底養うことができません。

小・中学生レベルであれば、高度な論理的な思考力が必要な国語の問題に出会う機会も少ないので、上に書いたような読書経験で培われる力で何とか解ける場合が多いのですが、少し高度な文章になったり、自分と親和性が低いジャンルの主張や文章になったりすると、論理的思考力が鍛えられていないと途端に解けなくなってしまいます。

論理的思考力を鍛えるには、きちんと論理的に考える勉強をしないといけません。たくさんの本を読んでも、漢字の書き取り練習をたくさんやっても、日記を毎日書いたとしても、音読の練習を欠かさずやったとしても、論理の勉強をしないかぎり、論理的思考力が鍛えられることはありません。

ちなみに、市販されている問題集の中で、小学生の論理的思考力を鍛えるためのオススメのもの次の2つです。

●ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集2


「本当の国語力」シリーズには、ベーシックと1と2がありますが、オススメは上のリンクの2です。ただ、初心者や国語が超苦手な小学生は、まずはベーシックから取り組まれることを強くオススメします。

●「はじめての論理」(小1〜小4)


このシリーズには小4までしかありませんが、国語に学年はあってないようなものなので、小5生や小6生でも、国語が苦手なら小4レベル、いや小3レベルからはじめてもいいと思います。

まとめ

勉強には、問題を読む、解説を読むなど、「読む」という行為がつきものです。また、どの科目であれ、「考える」ときに必要となるのが論理的思考です。国語は、論理的思考力をもって文章を読み解くことを勉強する科目です。これが、「国語がすべての科目の基盤」と呼ばれる所以です。

今後の学習活動の基盤を作る時期にいる小学生には、もっともっと国語を大切に勉強してほしいと思います。たくさんの読書から、語彙力を養い活字に慣れ、ことばに対する「センス」を磨く一方で、問題集等できちんと論理的思考法をトレーニングしていく。これが、小学生に必要な国語の勉強であり、この2つが噛み合ってはじめて、国語の力が伸びていきます。

そして、国語の力が伸びれば、間違いなく、総合的な学力は伸びていきます。ぜひ、家庭学習で「国語」を多く取り入れてください。

さて、いよいよ明日からうちの塾でも2018年度の小学生読書会が始まります。