小6生読書会の報告です。
ブックレビューを書くことは勉強になる
「西の魔女が死んだ」を2ヶ月かけて読み終わりまして、最終日に簡単なブックレビューを書いてもらいました。
今日の読書会にて。小6生による西の魔女が死んだのレビューが秀逸。
「すごく良い話だった。おばあちゃんのセリフから良いことを学べた気がする。まいが思っていることは共感することが多いし、おばあちゃんのやさしさにほんわかした。最後のページは何度読み返しても泣くと思う。」 pic.twitter.com/SSOW0TZx2Z
— りんごくん@慧真館 (@keishinkan) 2016年11月25日
読書感想文は学校で嫌ほど書いているだろうと思うので、そういうのは読書会では書きません。400字詰めの原稿用紙に何枚もダラダラと本の感想を書くよりも、レビューのように、短くても端的に人を惹き付ける文章を書くことの方が、よほど頭と国語力を要します。文章って実は長いほど書きやすいんですよね。私のブログがダラダラ長いのも、私の国語力が乏しいせいです。短く端的にまとめる方が余程難しいし頭を使います。
そういう意味で、個人的にはAmazonや読書メーターのレビューに、小中学生もどんどん読んだ本の感想を投稿するべきです。決まりきった内容しか書かない読書感想文をダラダラ書くよりも、よほど勉強になりますよ。
さて、12月1月の課題本は「エーミールと探偵たち」です。「西の魔女が死んだ」がどちらかと言うと女の子向けの話だったので、今回は男の子が好きそうなお話にしてみました。「西の魔女が死んだ」よりも易しい本です。読書に慣れている子なら小4生からでも十分読めるでしょう。
読書会で分かった「読める子」と「読めない子」の差
読書会の前に、まず生徒たちは同じ課題本の同じページを予め読んできます。そして読書会でその範囲のあらすじを確認するのですが、ここで読めている子と読めていない子の差がハッキリとします。
たとえば読書会で、「○○の出来事があったときに、主人公は何をした?」というような質問をすると、本を読み返さなくてもすぐに質問に答えられる生徒がいる一方、該当ページを読み返さないと答えられない生徒もいます。
これはつまり、読めていない子は、読んだ内容が頭に残っていないということです。読めている子は、内容が鮮明に頭に残っています。これはきっと、文章で読んだことを、きちんと頭の中で映像化できているからだでしょう。一方、読めていない子は、文章から映像化することができません。つまり絵が浮かばないのです。だから物語が頭に残らないし、入ってこないのです。
読む力がないと、他の勉強スキルが生きてこない
一度読んだだけでは理解しきれない、読んだ内容を映像化できないということは、読書だけでなく勉強において、致命的に不利になります。このブログでも繰り返し書いていますが、読む力というのは、全ての科目の土台になる最も大切な力だからです。
国語だけでなく数学であれ英語であれ理科であれ社会であれ、勉強という行為はすべて読むことから始まります。問題文を読み、何が問われているのか、何がポイントなのかを理解して初めて、その科目の知識を生かして問題を解けるのです。
よく、数学の文章問題を解くために図を書いて考えますが、文章を読んで映像化することが苦手な子は、数学の文章問題を読んでもそれを図にすることが極端に苦手です。なので、いくら計算をバリバリ鍛えていても、文章が読めなければ持ち前の計算力を発揮できずに終わってしまいます。
「文章を読みとる」ことは、英単語を覚えるよりも、英会話を習うよりも、計算を鍛えるよりも、理科実験教室に通うよりも、プログラミングを勉強するよりも、社会の歴史を覚えるよりも、まず優先しなければいけないスキルであり、読み取るスキルがないと、他の勉強のスキルも生きてこないということを、もうめちゃくちゃ分かって欲しいと心の底から思っています。
勉強できる子は例外なく「読む力」がある
小さい頃は、そんなに勉強しなくても良いから本だけはたくさん読んで欲しい。英会話を小さい頃から習っている子でも、英語をペラペラに話せる子はほとんどいませんが、小さい頃から本をたくさん読んできた子はきちんと「文章を読み取る」スキルを高いレベルで習得しています。
ちなみに、「塾講師が選ぶ、中学生になるまでに読んでおきたい名作10冊。」の記事を書いたときに、うちの卒塾生である現湘南生もオススメの10冊を紹介してくれました。
それがコチラ。
中学生になるまでに読みたい本の中に、カフカの変身を挙げる高校生がどれだけいるでしょう(笑)。やはり勉強できる子は、小さい頃からそれなりのレベルの本を読みこなしているのです。
勉強できる子は例外なく「読む力」があります。これはもう、疑いようもない事実です。
保護者の方にこれだけはお願いしたい。子どものためを思うのなら、本を読ませてください。本だけは惜しみなく買い与えてあげてください。できる限り、子どもに「読む楽しさ」を教えてあげてください。そのためには、本を読むことを強制するのではなく、一緒に本を読むことを楽しんであげてください。
小6生読書会は、英語の講座を潰して開いています。「英語はやらなくて大丈夫でしょうか?」と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、日本語の文章を読み取る力のない子が、英語で書かれた文章を読み取ることはできません。高い言語能力があれば、英語は中学生から始めても十分間に合います。中学受験生がよい例です。
ということで、これからも小6生読書会を続けていきます。