入試まであと50日となりました。
塾生の勉強の様子を見ていると、講習の復習にプラスして、全国入試問題を使用してのアウトプット中心の勉強をしています。確かに、この時期にアウトプット中心の勉強をすることは間違ってはいません。ただし、アウトプットばかりでもまた、実力は伸びていかないのも事実です。
スポーツでたとえてみると分かりやすいと思います。試合が近いからと、実戦形式の練習試合ばかり毎日繰り返していても上達はしません。もちろん、基礎練習ばかりでもダメです。実戦形式の練習試合と基礎練習をバランス良く組み合せて練習していくことが上達のコツです。
受験直前でも、インプットは欠かせない。けれどもアウトプットの勉強の方が効果が高い。難しいのは、インプットとアウトプットのバランスです。
脳科学でも証明されているアウトプット中心の勉強効果
アウトプットを中心とした勉強の方が、インプット中心の勉強よりも効果が高いことは、脳科学的にきちんと証明されています。人間の脳は、情報を何度も入れ込む(=インプット)よりも、その情報を何度も使ってみる(=アウトプット)ことで、長期間安定して情報を保存することができるそうです。つまり、参考書を繰り返して丁寧に読むより、問題集を繰り返しやる方が、効果的な学習が期待できます。
しかし、当然のことながら、インプットがなければアウトプットはできません。たとえば社会。歴史の流れも正確に把握していない、また歴史上の出来事も説明できないでは、まず問題集が解けません。だからと言って、最初から参考書を読み込みながらノートにまとめようと、超インプット中心の勉強をしても、そんなチンタラとした勉強をしている暇もないし、最初にも述べたように、脳科学的にも効率が悪い。
じゃあどうするかというと、「アウトプットを前提として、インプットすること」が大切になってくるのです。
アウトプットを前提としたインプット
効率的に、かつ良質な情報を整理して頭にインプットするためには、最初からアウトプットを前提とするのです。たとえば、歴史の勉強をしているとき、最初からアウトプット、つまり入試問題を解くことを前提としてインプットするのです。これを意識すると、入試で使える情報だけが効率よくインプットできるようになります。
分かりにくいので詳しく説明します。たとえば、入試では歴史の並び替え問題がよく出ると分かっていたら、インプットするときもそれに対応できるように、年号をきちんと覚えようとします。また、日本史と世界史の融合問題に対応できるように、日本史を勉強しているとき、同じ時代に世界では何が起こっていたかをチェックするでしょう。
このように、アウトプットを目的として行うインプットと、インプットだけを目的として行うインプットでは、その質はかなり違ってきます。
アウトプット⇒インプット⇒アウトプットの流れ
ただ、このやり方の大前提として、入試に何がよく出るのか、どんな形式でどのような問題が出題されるのかを分かっていなければいけません。
出題形式や傾向を掴むために、まずは勉強したい単元の問題を入試問題を数問解いてみます。最初は全部できなくてもOKです。その後、徹底的なインプットに移りましょう。できなかった問題だけやり直すレベルではありません。もう一度参考書や基礎的な問題集でインプットするのです。ただし、目的は「アウトプットができるようになること=入試問題を解けるようになること」です。そうすると、何がポイントで、どういう事項を意識して勉強しなければいけないのかが分かるようになります。
これが、俗にいう「ポイントを掴んだ勉強」です。ポイントを掴んだ勉強ができていない人は、アウトプットを前提とした勉強をしていないのです。
このように徹底的にインプットをした後、そのインプットが通用するかどうかアウトプットで試してみます。つまり、また入試問題を解いてみます。今度は、最初のように全部できなくてもOKというスタンスではダメです。きちんと全問正解を目指します。それでもなお間違った問題や分からなかった問題があれば、それができるようになるためのインプットをする。特に数理社や国語の古文などは、それを単元ごとに繰り返していくことで入試で使える勉強ができるのです。
まとめ
去年書いた「冬休みに受験生がやるべきこととやってはいけないこと」の中でも触れていますが、この時期はまだまだ基礎と向き合う時間が残されています。決して、インプットを軽視してはいけません。どんな勉強でもそうですが、結局最後はインプットに帰結します。
まだまだ基礎と向き合う時間が残されている時期にインプットを軽視した勉強を繰り返すと、最後の最後で思うように偏差値が伸びていかなくなります。「あれだけ問題集を解いたのになぜ偏差値が上がらないんだ?」という状態になります。そうならないように注意して、残りの冬休みを過ごしましょう。