元新聞記者による作文添削があまりにもハイクオリティすぎた件。

2015年11月24日

ニュース作文コンクールにて最優秀賞を受賞!

今年の夏から、小学生を対象に小学生新聞を使った学習を取り入れてきました。10月には朝日新聞社主催の「第3回ニュース作文コンクール」にも作品を出品したところ、うちの小6生の塾生が小学生部門での最優秀賞を受賞しました。その他にも、同じく小学生部門の佳作に小6生と小4生の作品が選ばれ、お蔭様でうちの塾から3名の受賞者を出すことができました。

参考:

最優秀賞を受賞したのは、この記事の中で取り上げた「長寿の秘訣」という作品です。12月6日に朝日新聞本社のレセプションホールで表彰式が行われます。私も出席する予定ですので、また後日その様子をレポートしようと思います。

元新聞記者による添削講座が凄すぎる

当初の予定では、新聞を使った学習の取組みは今年の夏休みの間に限定するはずだったのですが、夏休み終了後、小学生や保護者の方から「是非継続したい」という声を頂き、現在も小学生の多くが新聞記事書写にコツコツと取り組んでいます。それに付け加え、作文を書く力の向上のため、10月からは元朝日新聞社会面の記者さんによるニュース作文添削講座を始めました。慧真館が所属する神奈川県私塾協同組合の会員塾限定のサービスなのですが、この添削、本当に驚いてしまうほど凄いです!作文講座を受講されている保護者の方は、今日返却する予定ですので、おうちで是非一度ご覧になってください。感動してしまうこと間違い無しです。

IMG_0443
1枚目の画像は、うちの塾生が提出した添削用のニュース作文の1つです。あらかじめ決められたお題(ニュース原稿)に対して、400字詰めの原稿用紙1枚程度にその作文を書きます。今回のお題は東京五輪のエンブレム盗用についてのニュースでした。決して上手な作文とは言えませんが、本人なりに一生懸命書いています。

この作文に対して、赤が入れられた添削が返ってきます。ここまでは普通です。よくある作文添削と同じです。しかし、この作文についての評価と改善点のアドバイスが、A4用紙2枚にわたってビッシリと書かれたものが添付されています。しかもA4用紙には上下2段使いなので、文字量としては相当です。それが2枚目の画像。

FullSizeRender

文字量も相当なのですが、中身も非常に濃い。さすが元新聞記者の社会面を経験されているだけあって、文章構成に関するアドバイスは、大人の私も読んでいて非常に参考になります。うちの塾も、今まで何度か小学生の作文添削講座を他社さんにお願いしたことがあるのですが、他と比べ物にならないほどの濃密さとアドバイスの正確さです。

添削の一部を紹介してみます。

「五輪エンブレムのデザイン盗用」問題はAとDが基本です(A,Dは最初の画像にあるように段落のこと)。二百字で書きなさいと言われると、AとDで完成です。
ここでは四百字なので、それではあまりにもそっけないし、行数も余ってしまいます。ではどうするかということになります。
五輪のエンブレムはこれから毎日のように使われて、日本人には馴染み深い、愛着のあるものになるでしょう。・・・(中略)このような話をBとCのところで書くことができます。東京五輪エンブレムの意味ですね。
あるいは、五輪には関係なくても、○○さんが大好きなエンブレムがあるかもしれません。それはなぜ好きなのでしょう。そこにきっと人々に愛されるエンブレムの理由があるのだと思います。そんな話を織り込んで、エンブレムが支持される一般的な理由を書いてもいいかもしれません。・・・(後略)

このように、段落の構成の仕方と、それぞれの段落に何を書くべきなのか、話の膨らませ方や書く内容のアイデアの考え方など、一人ひとりの作文に対して非常に細かく、具体的にアドバイスが書かれています。ちなみにこの段落構成に対してのアドバイスは、上で紹介した分の3倍くらいは続きます。

他にも、作文の「題」に対してこんなアドバイスもありました。

書くことを決めたら、題が重要になります。・・・(中略)題は全体のまとめというよりは、○○さんが言いたいこと、作文の中で一番大切なことからつけるようにしてください。・・・(中略)
今回の題は「エンブレムの盗作」となっていますが、・・・(中略)「エンブレムの盗作」だけだと「エンブレムの盗作問題を書いています」というお知らせにすぎないので、もう一歩踏み込んで、「自分で考えたエンブレムを」とか、「デザインは考えた人の宝」とか、「デザインのまねはどろぼうです」とか、楽しみながら書いてください。

学校の作文指導などで、「題」についてはほとんど指導されることはありません。しかし、私自身もこのブログを書くときに一番頭を悩ませるのが「題」です。読者にとって魅力的な題になっているかどうかで、ブログ記事のPV(閲覧数)が全く変わってくるからです。新聞記事も同様で、「見出し」の付け方次第で読者に読まれる記事になるかどうかが変わってきます。

作文は何のために書くのかというと、極論を言えば「読まれるため」です。読んでもらえるために、読者の側に立って題の付け方を考える。読みやすいように、段落構成の仕方を考える。自分の主義主張を分かってもらえるように、論理的に文章を展開していく。まさにこの講座は、新聞記者さんならではの「読者目線」を意識した作文の書き方を指導してもらえる添削になっています。

今後ますます「書く力」が重要視される時代に

今の小学生が大学受験生になる頃には、すでに大学入試センター試験は廃止され、新しい形の入試が導入されているでしょう。中央教育審議会によると、各大学の個別入試にも、筆記試験の点数だけでなく、小論文や集団討論などを活用して選抜する方向性で話は進んでいるようです。

そうなると、大学入試改革後に受験生となる今の小学生や中1生には、これまで以上に「書く力」が求められるようになることはまず間違いないでしょう。しかも、「今日あったこと」や「家族旅行に行ったこと」などのような主観的な日記を書く力ではなく、時事問題や社会的なテーマを題材に、しっかりと意見を論理的に構築していく力の方が求められるのは自明の理です。

元新聞記者による「読者目線」を意識した作文講座を続けていくことで、間違いなく文章構成力が養われます。高校入試後の大学入試までしっかりと見据えて、慧真館では作文に対しての取組みを継続していくつもりです。この添削講座を受けられる小学生は本当に幸せだと思います。大手の新聞記者を経験してこられた方による指導なんて、滅多に受けられるものではありません。できることなら私もお願いしたいくらいです。