国語力アップに効く!小学生新聞の効果と取り組み方

2015年5月29日

今週参加した塾の先生同士の集まりの中で、朝日新聞の方による「朝日小学生新聞を使った国語の取組み」のプレゼンテーションを聞きました。実は、以前から小学生新聞には興味があり、うちの塾でも国語が苦手な小学生に対しては、小学生新聞の購読を勧めていました。
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プロの塾講師が選ぶ、マジで子どもに通わせたいおすすめ個人経営塾7選」でも紹介したGゼミナール(神奈川県秦野市)さんも同じ会議に出席していて、実際に国語の授業で朝日小学生新聞を活用しているとのことだったので、早速Gゼミさんにお邪魔して、塾長の浜田先生にお話をうかがってきました。

Gゼミさんの取組みをザッとまとめてみます。

1.日々のニュースを小学生にも分かりやすく、コンパクトにまとめた「ニュースあれこれ」の中から、興味のあるニュースを自分でピックアップし、それを「活用ノート」に貼る。

2.活用ノートに貼った記事を書き写す。そのとき、知らなかった言葉の意味調べをし、意味を書き留めておく。

3.記事の感想を短くまとめる(3行程度)。

4.活用ノートに書いた記事を、お父さんやお母さんの前で音読する。

5.最後に、お父さんやお母さんから記事について一言書いてもらったり、時間のない時(面倒くさいとき笑)はサインをもらう。

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浜田塾長によると、この一連の流れを、早い子だとだいたい15分くらい、時間のかかる子でも30分くらいでできるそうです。Gゼミさんでは、すべての小学生(小5〜小6)に、「最低でも週2回やってくる」というルールを課しているそうですが、ほとんどの子は週2回よりも多くやってくるとのこと。中には毎日の日課にしているツワモノもいるのだとか。

活用ノート記入例サンプル(Gゼミさんの生徒)

やっていることは、ただ新聞記事の気になった部分を書き写し、それを音読するという大変シンプルなことですが、この一連の流れの中には、子どもの学力向上のためのとても大切な要素がたくさん含まれています。

参考:朝日小学生新聞サンプル記事

小学生新聞を読むことで期待できる効果

毎日活字に触れる

小学生新聞を購読することの一番のメリットは、なんといっても毎日良質な活字に触れることだと思います。

小学生に限らず中高生でも、今の子どもって活字に触れる機会が圧倒的に減っています。その結果、今の子どもの国語力はもう悲惨なことになってきているわけです。いろいろな塾や学校の先生とお話すると、「今の子どもの国語力は、一昔前と比べると相当落ちてきている」と皆さん口を揃えて仰るほど、活字離れによる子どもの国語力は、本当に危機的状況です。

小学生新聞と言っても、プロの新聞記者が記事を書いています。もちろん子どもにも分かりやすいような表現に工夫されてはいますが、文章としての質はやはり高いです。そのような文章に毎日触れる機会があるのとないのでは、国語力に差が付くことは言うまでもないでしょう。

知識が増える

うちの塾の小6国語で、最近「具体と抽象」というテーマの授業をしました。「法隆寺・姫路城・厳島神社・原爆ドーム」を抽象化すると何になる?という質問で、しっかりと「世界遺産」と答えられたのはたった1人です。唯一正解できた生徒は、国語力強化の目的として、小5の時から小学生新聞を購読しています。日頃から色々なニュースに触れていると、社会の流れが掴めるようになるのはもちろんのこと、語彙や知識も増えてくるのです。

Gゼミさんの取組みのように、知らない言葉の意味調べをすると、語彙が増えることはもちろんですが、「知らない言葉があれば辞書を引いて調べる」という良い習慣も付くようになるでしょう。

書写することで文章力が身につく

Gゼミさんでは、ただ新聞を読ませるだけでなく、気になった記事を丸ごと書き写し、さらには音読までさせています。書写や音読の学習効果は色々ありますが、新聞記事の書写や音読は、特に文章力の面で効果があります。

文章が上手に書ける子と書けない子の違いは、「型」を身につけているかどうかです。空手でも水泳でも、まずは基本となる「型」を繰り返し反復し、体にしみ込ませることから始まりますが、文章も同じです。良質な文章の書写や音読を繰り返すことで、文章構成や表現の仕方といった「型」が身につきます。「型」が何もない子に、「さあ、自由に文章を書いてみろ」と言っても書けるはずがありません。

内容を理解する

子どもに小学生新聞を読ませて心配なことの一つは、はたして内容を理解しているかどうかが分かりづらいということでしょう。Gゼミさんでは書写の後にニュースについての感想を3行くらいで書かせていますが、感想を書かせることで、ある程度理解度を図ることができます。ただ書写しただけで、全く内容を理解していない場合、たった3行の感想でも書けないはずですからね。

さらに、子どもの感想をもとに、親子でそのニュースについて話をする機会を設けることができます。子どもがどう思うのか、お母さんお父さんはどう思ったのかと感想を言い合うことで、さらに理解が深まったり、もっと調べてみようと興味が湧くこともあるでしょう。

うちの塾でも夏休みに試験的にやってみます

うちの塾でも全小学生を対象に、まずは夏休みの期間中だけ試験的に導入してみようと思っています。塾生の反応や学習効果などを見て、その後本格的に導入するかどうかを決めようと考えています。

難関私立や公立中高一貫などの中学受験生だと、「受験に役に立つから」「時事問題に強くなるから」などの理由で小学生新聞を購読している人が多いと聞きます。確かに、小学生新聞を読み続けていると、中学受験だけでなく、その先の高校受験にも役立つ知識が身についていくでしょう。しかし、ここから得られるものは、決して「受験に役立つ知識」だけではないと思います。

小学生新聞で勉強できる内容は、教科書の中の出来事ではなく、今自分が生きている社会で現実に起こっている、「生きた」社会の勉強です。小学生新聞を何年も継続して読んでいると、「そういえばアベノミクスって成功したの?あれから景気はどうなったの?」なんて言い出すかもしれません。これこそ、受験だけでなくて社会に出てからも役に立つ力でしょう。

毎月1,769円の購読料がかかりますが、その値段でこれだけの効果が期待できると考えれば、安いものだと思います。

※注 断っておきますが、私は朝日新聞の回し者でも何でもありません。家で新聞を取っていますが、朝日新聞ではなく東京新聞です(以前は朝日新聞だったのですが、いろいろあって購読を打ち切りました)。塾生が朝日小学生新聞を購読したからといって、こちらにインセンティブは一切入りません。