子どもの教育にかかるお金は元が取れるのか?

2012年9月13日

教育にかかる費用は高い。小学校から大学までオール公立で進んだ場合でも、一人当たりの教育費は1000万近くかかるという。ということは、私立に進んだ場合は1000万以上ですか・・・。子どもがいない自分が言うことでもないが、本当に子育てにはお金がかかる。「教育にかけた分だけ元を取ってやろう」と考えて子育てしている親御さんは非常に稀だと思うが、今日はあえて教育費は元が取れるのかということを考えてみることにする。

学歴別生涯賃金(2009年資料)
学歴別生涯賃金(2009年資料)

早速、学歴別の生涯賃金の差を見てみよう。右表は、新卒から定年まで同じ会社で勤務し続けた場合に稼ぐ生涯賃金で、退職金や年金等は含まれていない(参照:ユースフル労働統計2012より)。これによると、学歴の高さと生涯賃金は比例していることが分かる。男子だけで見ると、高卒と大卒の生涯賃金の差は4000万円。だいたい郊外の家一軒分の価格くらいを、大卒の方が多く稼ぐことができるというわけだ。

しかし大卒には高卒より教育費が余計にかかっている。大学の4年間の学費の平均は、私大文系の場合で約360万円、私大理系で約500万円かかるそうだ(参照:Benesse学ビジョン)。大学に入るために多くの人が塾なり予備校なりに通うわけだから、これに予備校や塾代等もプラスされる。大学受験のための予備校の費用は科目数や場所によって違うから何とも言えないけれど、高3の1年間で100万円としよう。純粋に教育費だけで見ると、大卒は高卒よりもだいたい460万円~600万円くらいの教育費が余計にかかるということになる。

つまり、単純に考えると、460万円~600万円の教育費の違いが4000万円の生涯賃金の違いになってリターンするということになる。大学まで行かせた場合にかかる教育費と、高校までの教育費の差が4000万円以内であれば、教育にかかるお金は「元が取れる」というわけだ。

ただしこれは「一般論」にしか過ぎない。斉藤一人さんみたいに、中卒でも12年連続で高額納税者番付の1位だった人もいるし、大学院を卒業してもニートになる人もいる。スポーツや芸術の世界は成功すれば億万長者。それこそ学歴なんてものは関係ない。しかし、これもまたほんの一握りの才能あふれる人間の「例外」に過ぎない。やはり今の時代もまだまだ学歴社会であることは間違いなく、高学歴を身に付けておいて得をすることはあれども、損になることは少ないだろう。