受験直前なのですが、中1生中2生の定期テスト期間でもあります。この数日で中1生・中2生の勉強の仕方をずっと観察しているのですが、受験生である中3生と比べると月とスッポンもいいところです。特に入塾して間もない子、成績が芳しくない子を見ていると、勉強の基本が分かっていません。
そこで、今日は勉強のやり方が分からない人に向けて、出来る限り勉強の仕方を分かりやすく順序だてて書いてみたいと思います。
教科書を読み込みましょう
定期テストは教科書の内容がどれだけ理解できているかを確かめるテストです。であれば、教科書を読み込んで理解することから勉強は始まります。塾生の勉強の様子を見ていると、点数がとれていない子ほど教科書を軽視しています。教科書の内容が全く分かっていないのにもかかわらず、いきなり問題集を解こうとしたり、教科書を読まないで学校で配られたプリントだけでノートまとめをしようとします。内容が頭に入っていないにもかかわらずいきなりアウトプットをしようとするから、非常に効率が悪くなるのです。
特に英語や理科社会などの科目は、教科書を穴があくほど読み込むべきです。「読む」のではなく「読み込む」のです。流れを掴みながら、書いてあることを理解しながら読むのが「読み込む」ということです。1度だけサラッと読んでも、ほとんど頭に入りません。東大主席だって教科書を7回も読んでいるそうです。何回読めばいいのかは人によりますが、何が重要なのか、要点は何かを教科書を見なくても言えるようになるまで、また教科書のどの辺にどのような図や資料が載っているかがパッと思いつくようになるまで読みましょう。
覚えましょう
暗記することをバカにしてはいけません。勉強の基本は暗記です。「丸暗記はいけない」とか「考える力が大切だ」とか、暗記の悪い点を散々言われていますが、頭の中に知識が何もなければ、一万年考えたって正しい答えにはたどり着けません。
教科書を読み込んでだいたいのポイントが頭に入ったあとは、教科書の内容を覚えましょう。教科書を読んだだけで全てを覚えた気になっている人がいるのですが、ハッキリ言ってそれは「気のせい」です。覚えたつもりになっているだけです。人は、意識的に覚えるための作業をしない限り、なかなか正確に覚えられないのです。
ではどうやって覚えるのがよいのか。覚え方は人それぞれですが、一番良いのが一問一答集を自作することだと思います。うちの塾でも歴代の成績優秀者は一問一答集を自作して覚えています。しかも、勉強を重ねていくにつれ、一問一答集の作り方がだんだん上手くなっていきます。そのまま問題集として書店に売り出せるレベルの子もいます。
一問一答集の上手な作り方
一問一答集とは、一問ごとに質問と答えを用意する勉強法です。
たとえば理科なら、
質問「コイルの中の磁界を変化させると、コイルに電流を流そうとする電圧が生じる現象を何というか。」
答え「電磁誘導」
などというのが一般的な一問一答集ですが、成績の良い子はこの質問と答えを逆にします。
質問「電磁誘導とは何か」
答え「コイルの中の磁界を変化させると起こる、コイルに電流を流そうとする電圧が生じる現象。」
このように説明させるような一問一答集を作って覚えると、言葉そのものだけでなく、その言葉の意味を理解し、端的に説明できるようになるので、本質を掴みやすくなります。
全ての科目で一問一答集を作る必要はありませんが、特に暗記系の理科や社会では非常に有効的です。
問題を解きましょう
問題を解くのには2つの意味があります。
まず1つ目は、アウトプットのためです。
問題を解くというのは、覚えたことをアウトプットする練習です。勉強をしているのに成績が上がらないという人は、間違いなくアウトプットの量が足りません。人は、インプットしたものよりもアウトプットしたものの方を覚えようとします。いくら一生懸命インプットをしても、アウトプットの機会がなかなかないものは、「アレ、何だっけ。覚えたはずなのに思い出せない。」という状態になってしまいます。
2つ目は、できる問題とできない問題の仕分けです。
問題を解かないと、自分が何ができて、何ができていないかを知ることができません。問題を解いてもいないのに全部できる気になっている人もいますが、もう一度いいます。それは気のせいです。勉強の本質というのは非常にシンプルで、できないものをできるようにすることです。そのために、何ができて何ができないのかを仕分け、できないものにフォーカスしてできるようにするために問題集を解くのです。
やり直しをしましょう
問題集を解いて、できる問題とできない問題を仕分けました。そのあとは、必ずやり直しをしましょう。「やり直し」とは、何なぜできなかったのかを明確にし、知識が足りなかったのなら覚え直し、やり方が間違っていたなら修正し、次は自分で解けるようにするということです。間違えた問題の答えを赤ペンでササッと書いただけでは、やり直したことにはなりません。
特に暗記系ではない数学や理科、国語などの理解が必要な問題は、自分でその問題の解説なりプロセスを書いてみるつもりでやり直すと効果的です。一度やってみると分かりますが、理解があやふやな状態では、しっかりとした解説は書けません。書くことにより、何が分かっていて何が分かっていないかがより明確になります。
答えまでのプロセスを辿りながら、自分が身についていない知識や考え方を再確認し、頭の中整理する。これがやり直しで一番大切なことです。
繰り返しましょう
人は必ず忘れていく生き物です。どれだけ頑張って覚えたことでも、無情なほど簡単に忘れていってしまいます。だからこそ、繰り返すことが大切です。
優秀な生徒は、もともと頭が良いのではなく、繰り返してやっています。受験直前で忙しい中3生すら、空間図形の克服に同じ問題を2度3度解いています。何度も繰り返せば繰り返すほど、記憶が強固になっていくということを知っているからです。
同じ問題集を2度3度繰り返しましょう。また、自分で作った一問一答集を2度3度繰り返して覚えましょう。教科書も繰り返して読みましょう。飽きるほど繰り返すのです。「もういいよ!もう分かったよ!飽きたよ!」と嫌気がさすくらいになったときが、本当の意味で実力がついたときです。
記録しよう
記録するだけでやせるという「レコーディングダイエット」というものがあります。毎日何をどれくらい食べたのかを細かく記録するダイエットで、毎日記録することでカロリー制限への意識が持続でき、成功率が高まるそうです。プロのスポーツ選手の多くは練習内容を記録しているそうです。
毎日自分が取り組んだことを記録していくと、着実に目標に向かって進んでいるという実感が生まれます。ダイエットでもスポーツでも勉強でも、この実感こそがめちゃくちゃ大切です。
なぜなら、ダイエットや筋トレや勉強というのは、今日一生懸命やったから明日は凄く痩せているとか、凄く強くなっている、頭がよくなっているというわけではありません。つまり、日々の成長が見えにくいのです。でも、記録するとこれが見えます。見えることで成長しているという実感が湧いてくるのです。
この実感が、また頑張ろうというモチベーションにつながったり、継続するためのペースメーカーになったりします。そういう意味で、うちの塾では定期テスト・受験勉強の記録を必ずつけさせています。
とにかく実行しましょう
「勉強って何をすれば分からない」という人のために書いてみました。あとは実行することです。勉強で何が一番難しいのかというと、「実行」です。どんな難しい問題よりも、実行すること、もっと言うと実行し続けることが一番難しいのです。だいたいの人が、やってもいない前から「どうせできない」というワケの分からない言い訳をして実行することを避けます。もしくは、「やり方が分からない」と嘆いていたくせに、やり方を教えてあげると「でもそれは自分に向いていない」となぜか教えてもらったやり方を否定し、結局実行することを避けます。
ということは、実行するだけで人よりも一歩進んだことになります。実行し続けることができれば、一番難しいことをやり遂げられたのだから、大概のことはクリアできるでしょう。
とにかく、実行あるのみです。