初めての定期テストを経験し、採点済みの答案用紙が返却された中1生に向けて、こんな話をしました。
「今回のテストで一番点数が良かった科目は、定期テスト直前に一番勉強した科目ではなく、一番実力が身についていて、一番余裕があった科目でしょう。定期テスト直前にたくさん勉強すること、正しく勉強することはもちろん大事です。でも、それ以上に大切なのは、テストのレベルよりも高い実力を身につけるために、普段から何をするかです。」
今日はこのことについて、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
定期テストで高得点をとる人はこういう人
弊塾にも定期テストで100点を連発している生徒や、5教科9割どころか500点満点中480点や490点くらいの点数をとるような生徒はいます。
そういう異次元の点数をとる生徒に対し、「いったい定期テストの何週間前から勉強を始めているのか」とか、「ワークを一体何周解いているんだ」と疑問に思う人もいるでしょう。
実はそういう生徒も、他の人と同じように大体2週間前からテスト勉強を始めているし、学校のワークを何周も回しているわけではありません。むしろワークにかける時間は他の人よりも短いくらいです。
こういう話をすると、「それはもともと頭が良いからだ」「才能があるから勉強しなくても点数がとれるんだ」という人もいますが、それもまた違います。
テストで高得点をとる生徒たちに共通することは、定期テストで点数をとるための、いわゆるテスト勉強というのはそんなにやっていないというのが私の認識です。
テスト勉強しなくても点数がとれる理由
高得点をとる生徒たちがそれほどテスト勉強をしなくても点数をとれてしまうのは、定期テスト勉強をする前からすでにある程度仕上がっている状態だからです。
もし、彼らが全くテスト勉強をせずに、いきなりテストを受けたとしても、おそらく主要5教科に関しては7〜8割以上、数学や英語に至っては9割以上の得点がおそらくとれてしまいます。
なぜか。答えは簡単で、普段から勉強しているからです。
「なんだ。普段から定期テストのための勉強をしているのなら、そりゃ高得点もとれるよな。」と思いましたか?
それもまた違います。このような生徒たちは、定期テストで点数を上げようと思って勉強しているのではないし、年がら年中定期テストのための勉強をしているのではありません。
定期テストのためではなく、例えば検定をとるためだとか、模試に挑戦するためだとか、または単純に学力を鍛えるために勉強をしています。定期テストという目的から離れ、定期テスト出題レベル以上の内容に普段から取り組むことで、語彙力、暗記力、計算力、思考力、洞察力、理解力のような実力を鍛えています。
だから、定期テストのような一般的なレベルであれば、直前にそんなに勉強しなくてもある程度できてしまうのです。さすがに技能科目のような普段勉強していない科目については直前に勉強する必要はありますが、それも5教科の勉強で鍛えた暗記力や理解力によって、短期間で高いクオリティまで仕上げることができてしまいます。
定期テストの勉強に終始する限り実力は身につかない
定期テスト前にテスト対策の勉強をするだけという姿勢だと、実力はなかなか身につきません。ましてや、その定期テスト対策自体を塾や過去問に完全に依存してしまっているのでは、そういう力を身につけることはほぼ不可能です。
定期テストの点数を上げるための勉強と、実力を鍛える勉強のプロセスは、必ずしも同じではありません。「どうせこんな問題はテストに出ないから」「定期テストではここまで問われないから」「ワークから問題が出るからワークを3周しよう」と、テストのみに照準を合わせた勉強をしている限り、実力を鍛えることはできません。
定期テストという目的から一旦離れ、普段から基礎トレーニングを繰り返して土台を築き、定期テストでは見られないような応用問題にも果敢に挑戦して思考力を鍛えることで、本当の実力が身につき、それが結果的に定期テストの点数に反映されていくのです。
まとめ
テスト直前の勉強方法ももちろん大切です。でもそれ以上に、あまり語られることはありませんが、普段から実力を身につけておくことのほうがはるかに大切です。
テストの点数が悪かったと反省している人は、直前のテスト勉強法は勉強時間ばかり振り返るのではなく、普段その科目に対して何をしていたのか、普段実力をつける勉強をしてきたのかに対しても注目してみましょう。
定期テストを超えた勉強から実力をつけることこそが、定期テストで高得点をとる鍵です。