高校受験成功の鍵は、私立併願選びにある

弊塾は公立上位校受験専門塾なので、ほとんどの生徒が公立高校を第一志望にしています。なので、保護者の方も生徒も、学校の大体のレベルや特徴など、近隣の公立高校に関しては多少なりとも情報を持っています。

しかし、私立高校となると、近隣の私立高校であってもどんな学校なのか知らない人がほとんどです。

私立高校について話をしても、「うちは公立第一志望なので」「私立には行くつもりはないから」と、あまり興味関心を示しません。

しかし今の時代、たとえ公立第一志望だとしても、ほとんどの人が滑り止めとしてどこかの私立の併願校をおさえます。

そしてこの併願の私立高校選びこそ、高校受験成功の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

適当に併願私立を選んでしまった場合

先生、本当は私、併願先の私立高校に行きたくないんですよ。

公立入試間近になると、突然このようなカミングアウトをする生徒がいます。

ただそう言われても、神奈川県の場合、併願私立は中学校と私立高校との相談会が行われる12月頃にすでに決定しています。1月2月になって「やっぱりあの学校は嫌」と言われても、その頃に他の私立併願先を探すことはできません。

受験直前にこのような相談にくるのは、様々な選択肢の中から納得して併願私立校を選んだのではなく、「近いから」「偏差値が高いから」「確約基準の成績が取れたから」という安易な理由から選んでしまったケースがほとんどです。

「本当にこの学校に通いたいと思えるか」という視点がなく、どこか他人事だったのでしょう。

ところが、いざ公立高校の倍率が出たり、入試が近くなり第一志望の公立に不合格になるかもしれない現実に直面した途端、併願先の私立高校が他人事ではなくなります。自分ごととして捉えるようになって初めて「やっぱり嫌」という感情に気がつきますが、もうその頃にはどうすることもできません。

私立併願校は最終的な公立受験校選びに影響を及ぼす

併願私立が嫌な場合、第一志望の公立高校に合格するようにこれまで以上に受験勉強を頑張れば良いのですが、実際は私立が嫌という気持ちに支配され、多くの場合「やっぱり確実に公立高校に行くために志望校を下げる」という決断に至ります。

一方で、納得した併願私立がとれた受験生の場合、最終的な公立受験校を決めるとき、たとえ不合格になるリスクがあっても最後まで第一志望校に挑戦する方を選びます。もし公立がダメでも私立に行くことに抵抗はないので、公立高校の倍率に右往左往することもなく、最後まで集中して自分の行きたい高校を目指します。

このように、公立高校を第一志望にしているとしても、私立併願校に納得しているかどうかが、最終的な公立受験校選びに影響を及ぼしてしまうのです。

私立高校選びこそ慎重に

公立第一志望にしている人は、比較検討するために複数の高校の文化祭や説明会に熱心に足を運んだりして情報を得ようとしますが、同偏差値帯の公立高校であれば、そのカリキュラムや指導方針にあまり大きな違いはありません。

基本的に公立高校というのは、県内のどこに住んでいても不利にならないよう、同じような水準の教育を受けられるということを大前提に運営されています。つまり、高校ごとに大きな違いや差があってはいけないのです。

2024年における神奈川県の学力向上重点進学校が、横浜翠嵐、湘南、柏陽、厚木、川和、横浜緑ケ丘、多摩、小田原の8校あり、地域がバラバラなのもその大前提のためです。

一方で私立高校は教育理念や指導方針は学校ごとに異なります。

大学付属校、学力別で細かく分ける高校、最初から文理選択をして効率的に学習する高校、英語学習に力を入れている学校、部活動に力を入れている高校、講習が充実している高校、毎朝お経を読む高校、礼拝がある高校、校則が鬼のように厳しい高校、自主性を重んじる高校などなど。例を挙げていくと枚挙にいとまがありません。

同じ偏差値帯、同じような大学進学実績を出している高校であったとしても、その指導方針やカリキュラムは高校によって様々です。公立高校のようにどの学校でも大体同じというものではありません。

これが私立高校こそきちんと慎重に選ぶべき理由です。

併願私立だからと適当に選ぶのではなく、また偏差値のランキングや大学進学実績などの情報だけを見て選ぶのではなく、実際に足を運び、教育理念や方針に納得できる高校を選ぶべきなのです。

まとめ

ほとんどの場合、高校受験の受験校は私立の方が先です。公立高校は受験直前まで受験校を悩むことができますが、私立高校の場合、遅くても12月には決めなければいけません。

公立第一志望の場合、まずはターゲットとなる公立高校のレベルを決めましょう(公立高校の選び方については稿を改めます)。公立の志望校が絞り込めなくても、公立はギリギリまで判断を先送りにすることができるので慌てる必要はありません。

そのあとは私立高校に関する情報をできるだけ集めてください。県内に散らばる私立高校の情報を効率よく集めるために、合同説明会に参加してみるのも手です。ブースでパンフレットを貰うだけでなく、その学校の教育理念や指導方針を聞いてみてください。きっと違いが分かります。

合同説明会で気になった学校には、必ず実際に足を運んでみてください。比較検討するために複数校、できれば3校〜4校くらいが良いと思います。それくらい足を運べば、それぞれの私立高校の違いが見えてきます。

「ここに行きたい」と思える私立併願校を見つかったなら、公立高校に対して弱気になる必要はありません。どんどんチャレンジしていきましょう。

万が一公立高校が不合格になったとしても、高校受験に対しての後悔もほとんどありません。むしろ大学受験を経た後で「あのとき公立落ちたけど併願私立に行ってよかった」と振り返る卒塾生もたくさんいます。

このように、高校受験成功の鍵は併願私立高校選びが握っているのです。