勉強には理解と定着の2段階があることを理解しているだろうか。

よく言われることではあるが、勉強には「理解」と「定着」の2つの段階がある。

まずはじめに理解する段階があり、その後に理解した内容を定着させる段階がある。

この2つの手順をきちんと踏んで勉強すれば成績は上がる。「勉強しているのにできない」「問題集一冊やったのに全く入試問題が解けない」という状態は、この2つのフェーズの手順をきちんと踏んでいない。

理解なしでは定着しない

理解していないものは、いくら繰り返し演習しても定着はできない。定期テストくらいの短期記憶では理解なしでもどうにかやり過ごすことはできるかもしれないけれど、長期記憶が必要な受験勉強となると理解なしでは定着しない。

まずはインプット時に理解することをサボらない。分からないけれど覚えておけ、あやふやだけれど問題を解いてみようではダメだ。なぜそうなるのか原理原則を理解しようと努める。理解なしの暗記にばかり頼ってはいけない。

インプット時に十分に理解した上で問題を解きアウトプットの練習をする。その際に間違った問題についてどの部分の理解が不足していたからできなかったのかに重点を置いて解き直し、層を重ねるようにさらに理解を深めていく。

毎年、問題集は解いてきたのに成績がなかなか上がらないと悩む受験生がいる。そういう人は、問題を解くことばかりに必死になって、問題を解く前と解いた後の理解の部分を疎かにしてしまっている。

受験勉強においては、理解を伴わない上での問題演習は、分からない問題、もしくは分かったつもりの問題の山が積み上がるだけでほとんど意味がないことを覚えておこう。

理解だけでは定着しない

多くの受験生は塾や予備校の授業で一生懸命解説を聞き、ノートにメモしているだろう。もしくは分からない問題について講師に質問し、丁寧に解き方を教えてもらっていることだろうと思う。

しかし、理解することと問題が解けることはイコールではない。理解したことを自分で再現する(=問題が解ける)ためには、ある程度の問題演習の量をこなすことは必要不可欠だ。

クロールの泳ぎ方についてレクチャーを受け、やり方やポイントが理解できたとしても、実際に水の中に飛び込んで泳いでみないことには泳げるようにならない。しかも1度や2度ではうまく泳げるようにならず、頭で理解したことを確実に再現できるようになるためには、かなりの練習量をこなす必要がある。

勉強もこれと同じだ。頭で理解したことを確実に定着させ、自分で再現できるようになって初めて得点になる。

人は、忘れてしまう

ただここにも落とし穴がある。

よく理解をし、十分に問題演習を繰り返し、その分野のテストでも良い点数を取れていたはずなのに、時間が経てばできなくなってしまったという経験は誰にでもあるだろう。

たとえ短期間で十分な演習を繰り返しても、長期的に記憶を保持することは難しい。どんなに理解したことでも、時間が経てば人はどんどん忘れていく生き物なのだ。悲しいけれど。

受験勉強のような長期間の記憶の保持が必要な場合、定期的な復習が必要だ。

集中学習と分散学習

習ったことは理解をしながら出来るまで問題演習する。これを集中学習と呼ぶ。集中学習は短期間で定着はするが、長くは持続しない。定着を持続させるためには、定期的に思い出す機会を作ることが必要となる。それが分散学習だ。分散学習とは、忘れかけたタイミングで反復して学ぶ学習法で、これをすることで記憶や技術が安定して定着する。

https://twitter.com/keishinkan/status/1131196331379216386

しかしながら実際は、問題集で一度解いた問題を全て忘れかけたタイミングで定期的に反復するなんてことは至難の業だ。これじゃあ時間がいくらあっても足りない。しかも世の中には分散学習にちょうど良い教材はあまり存在しない(だから弊塾はそれを作っているのだが)。ただ、受験生には分散学習の教材としてとっておきのものがある。

それが、模試であり過去問だ。

過去問や模試で分散学習を

過去問や模試は、基本的にほぼ全ての単元をカバーしている。しかもそれがたった50分やそこらで解くことができてしまう。

過去問や模試は、実践演習や力試しとしてはもちろん、分散学習用の教材としてもうってつけの超万能教材なのだ。

分散学習として、1週間に1度くらいのタイミングで過去問や模試を制限時間内で解いてみよう。過去問や模試は新しいものが都度手に入るのならベターだけど、手に入らない場合は以前に解いたものでもOK。ちなみに志望する学校と異なる学校の過去問でもOKだ。分散学習の教材として使用するだけなので、傾向にあまり拘らなくても大丈夫。

ちなみに弊塾では理科社会に「全国高校入試問題正解」と教材を使用している。これは単元ごとに解くことで集中学習として、また都道府県別に解くことで分散学習としても使える便利なヤツだ。

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まとめ

どの教科においても成績を上げるためには、「理解」と「定着」の2つのフェーズがあること。理解はインプット時とアウトプットの後に理解の層を重ねるようにして深めていくこと。そして定着のフェーズには、集中学習による短期定着と分散学習による長期定着があること。受験生の分散学習としては、模試や過去問が最も適した教材であること。

是非このことを意識しながら受験勉強を進めて欲しい。そうすることで「問題集をやったけど全く結果が出ない」「授業をしっかり受けているのに結果に現れない」という悩みは払拭されるはずだ。