昨日の塾の保護者面談で、小学生の保護者と新聞の社説の書き写しの話題になった。小学生のご子息の字の汚さを心配されていたお母さんが、昨年の夏休みの期間、朝日新聞の天声人語の書き写しをご子息に取り組ませていたという。字の汚さの問題の解消には残念ながら繋がらなかったというが、天声人語等の社説というのは、小学生の国語の学習には非常に良い素材になる。「今年の夏休みも是非取り組んでみてください。今年は書き写しだけでなく、是非要約をさせてみてください。字の汚さの解消にはなりませんが、要約することで国語力の底上げが期待できます」とアドバイス。
最近は天声人語の書き写しノートというものまで登場し(これが結構売れているという)、天声人語の書き写しが老若男女の間で密かなブームを呼んでいる。なんでも、老人にはボケ防止の効果が期待でき、小学生には中学受験に対する国語力のアップと時事問題に強くなる効果が期待されるという。社説の中でも特に天声人語がここまでもてはやされているのは、全てのコラムが602字キッカリで書かれていることで、書き写しをするのにはもってこいの長さだからだろう。それにしても、毎日毎日句読点も含めて602字キッカリって、ある意味凄いと思いません?
しかし実際、この書き写しには賛否両論がある。賛否両論の賛の人は、「書き写しながら毎日時事ネタに触れることで、世の中の情勢が分かる」とか、「大人が書いている文章に触れることで、漢字や語彙力のアップに繋がる」とか言っている。一方賛否両論の否の人は、「書き写しは単純作業。頭に入っていないのなら時間の無駄」とか、「日本人が意味不明のロシア語を書き写しても、全く何の勉強にもならないのと同じ」とか言っています。どちらの意見もすごく納得できる。
で、自分がおススメするのは、昨日の保護者の方にアドバイスをしたように、単に書き写しをするだけでなく、その文章を例えば200字以内とかという制限をつけて要約してみることです。天声人語なら、ただでさえも602字キッカリに簡潔にまとめられた文章をさらに短く簡潔に要約するとなると、書かれている内容をちゃんと理解しておかなければいけないうえに、文字数制限付きの文章を書くにはかなりの記述力が求められる。小学生で200字以内で要約が難しい場合、筆者が言いたかったこととそれに対しての自分の意見を、それぞれ1文ずつで書くことからスタートしてもいいかもしれない。
コレ、結構力が付きますよ。最近の高校受験では「記述力」を求められる問題が多くなっているが、正直記述力って一朝一夕では身に付くものではない。小学生の頃からコレをやっておくのとやっておかないのでは、その後の記述力に大きな差が開くのは言わずもがなです。
ということで、小学生の夏休みの家庭学習にはうってつけだと思います。