昨日の中1生へのメッセージに引き続き、今日は定期テストを控えた中2生に向けてアドバイスをしてみます。
内申点とは、入試当日のスタート位置と同じである
中2生が中1生と異なる大きな点は一つ。それは、学校成績が高校入試の内申点に反映されるということです。これは皆さんもよく知っていることだと思いますが、今日は内申点についての考え方を説明してみます。
これから約1年半も経てば、皆さんもどこかの高校を受験することになります。入試では、点数の合計で合格者と不合格者に振り分けられるので、ある意味では運動会のかけっこのような競争と同じです。しかし、同じ競争でも、かけっこと高校入試では大きな違いがあります。それは、かけっこでは必ず皆同じ位置からスタートするのに対して、高校入試ではスタート位置は皆同じではありません。ゴールに近い前の方からスタートする人もいれば、ゴールから遠く離れた後ろの方からスタートする人もいます。
このスタート位置の違いが、内申点の違いです。内申点が高い人は前の方からスタートを切りますが、内申点が低い人は、ずっと後ろの方からのスタートになります。どの位置からスタートするにしても、ゴールテープを切る位置は同じなので、前の方からスタートできる人の方が、断然有利であることは間違いありません。
定期テストにおける中2生の最も重要な使命は、入試当日、できる限り前の位置からスタートできるようにすることです。そのために、英数国理社の5科目だけでなく、技能教科も手を抜いてはいけません。手を抜けば抜くほど、入試当日のスタート位置はどんどん後方に下がっていき、それだけ不利になっていくということを覚えておきましょう。
1年生の自分の基準を破りなさい
中2生は、中学校生活を1年間経験してきた分、良い意味でも悪い意味でも「定期テスト慣れ」してきた時期です。皆さんも、テストではどのような問題が出題されるのか、どのような勉強をしておけば点数が取れるのかがだいたい分かってきたのではないでしょうか。定期テスト慣れしている分、1年生の時よりも効率的に、無駄なく勉強を進めることができると思います。これは、「定期テスト慣れ」することの良い面ですね。
一方で、定期テストにおける自分の点数や完成度にも慣れが生じる時期でもあります。例えば、中1生のころの定期テストで、平均して8割くらいの点数を取ってきた人は、8割くらいの勉強方法に慣れてしまっています。8割くらいの点数が自分の中の当たり前になっていて、8割くらい取れるような感触がつかめたら、「これくらいでいいや」という気持ちになってしまい、それ以上勉強しなくなります。これが、「定期テスト慣れ」することの悪い面です。
中1生の時に築き上げてきた自分の中の基準を破りなさい。「これくらいでいいや」と小さくまとまってはいけません。小さくまとまるということは、自分の上限を勝手に自分で設定するということです。中2生の初期の段階で、自分の上限を決めてしまうと、今後確実に伸びません。
中1生の頃に定期テスト8割くらいが当たり前だった人は、中2では9割以上を目指しましょう。9割が当たり前だった人は、満点を目指すのです。いつも満点を取っていた人は、満点の数を増やしましょう。このように、中2生では、自分の中の当たり前の基準を1段階上げる努力をするのです。
基準を上げるためは、勉強の完成度も上げる
中1の時に固定してしまった自分の基準を上げるためには、当然中1の時と同じような勉強をしていてはいけません。今までの勉強法そのものをガラリと変えるというよりも、今までの勉強法の完成度をさらに上げていくのです。
中1の頃、「どうせこんなのは出ないや」と、教科書の隅っこの方に書かれたものを読み飛ばしていなかったでしょうか。「こんな難しいのは解けなくてもいいや」と、応用問題を解くことを放棄していなかったでしょうか。間違えた問題は、復習できるようにノートに書き留めておきましたか。一問一答や間違い直しノートを、頻繁に見返してみたでしょうか。
自分の中の基準を上げるということは、自分がこれまで勝手に思い込んできた「どうせ出ない」「難しい問題は解けなくてもいい」「やってもムダ」という壁を取っ払う必要があります。「どうせ出ない」→「出たら困るからやる」、「難しい問題は解けなくてもいい」→「難しい問題を解けると成績が上がる」、「やってもムダ」→「やってムダな勉強はない」と考え方をシフトできるかどうか。これにかかっています。
自分なりの勝ちパターンの勉強法を築き上げる
中2生は、そろそろ自分なりの勝ちパターンの勉強法を築いていきましょう。勝ちパターンの勉強法とは、「自分はこの勉強法で高得点が取れる」と確信できるものです。
先生が中学生のときの話をします。私も中2生くらいで、定期テストの勝ちパターンを築き上げました。私の勝ちパターンはこうです。
まず英語は、テスト範囲の教科書全文を、日本語から英語に完璧に直せるようにしました。自分でテストを繰り返し、途中でaやtheなどの冠詞が一つでも抜けていると、もう一度始めから全て完璧にかけるまでやり直すことを繰り返していました。
数学は、テスト前に勉強したことはありません。普段の勉強だけで十分でした。国語は、教科書の範囲のページを全てコピーしたものに、学校の授業で習ったことを全て書き込んでいきました。さらに、指示語を全て拾って、指示語が指す部分に傍線を引いていきました。
理科は、問題集を解いた後、一問一答集を作るのが定番でした。私の作った一問一答集は友人にもなかなか好評で、テスト前になると私の一問一答集をねだりにくる友人もいたほどです。
社会が最大の苦手科目だったので、テスト前のほとんどの時間を社会に割きました。多くの勉強法を試した結果、一番点数がとれたのは、試験範囲の教科書を全てコピーし、助詞や助動詞以外を全部修正液で消してから、教科書の文と全く同じようになるように書き込むという荒行でした。また、書き込んだ後には、「なぜこの事件が起こったのか」などの説明を余白に書き入れました。
私がやった勉強法を皆さんに真似して欲しいということではありません。むしろ、今から思えば社会の勉強法などは効率が悪すぎます。ただ、中2の皆さんにも、自分なりの勝てる勉強法をいち早く確立して欲しいのです。これまでの卒塾生でも、トップ校に合格した子たちは皆、自分なりの勝ちパターンが確立されていました。ある子は、もの凄く精度の高い一問一答集を毎回作っていたり、またある子は、間違い直しノートを完璧にしていました。他にも、ワークを何度も解いたり、何種類もの問題集を解いていた子もいます。皆それぞれの勝ちパターンを知っていたので、勉強法に迷いがありませんでした。
中2のうちに、自分なりの勝ちパターンを築き上げておくと、来年の受験勉強でもそれを応用することができます。また、無事に志望校に合格して高校生になった後も、自分の勝ちパターンを基盤として、さらにそれに磨きをかけていくことができるのです。つまり、これから先の自分の勉強の基盤となるものを、中2のうちに作り上げておいて欲しいのです。
まとめ
今回は、あえて具体的な勉強方法を詳しく書きませんでした。その理由は、自分の頭を使って、どのように勉強すればよいかをよく考えて欲しいからです。人にああやりなさいこうやりなさいと指示されないと動けない年齢ではないはずです。どうやればいいのか、自分で考えようと思えばいくらでも考えられるはずです。具体的に指示をされないと分からないという人は、本当は、自分で考えるのが面倒くさい、あるいは考えても行動するのが面倒くさいから、指示されるのを待っている状態なのでしょう。
先生も、こうしなさいああしなさいというのは簡単です。きっとそのように具体的に指示した方が、皆さんの定期テストの点数は伸びていくと思います。でも、それではいけないと思っています。その理由は分かりますね?分からない人は、なぜダメなのか自分で考えてみましょう。
とにかく、中2生は中1の時に築き上げた自分の基準を一段階引き上げましょう。そのためには、第1回目の定期テスト、つまり今回の定期テストが勝負です。1回目の定期テストの結果がまた、2年生での自分の「基準」となるからです。
「このくらいでいいや」と自分を封じ込めることなく、とことんやり抜きましょう。遊びや友達付き合いは、定期テストが終わればいくらでもできます。中2は、ただでさえ3年間で最もゆとりと時間のある学年です。戦うべきときは、後で悔いることのないようにとことん戦う。そして、結果をしっかりと残すのです。そうすることで、自分の勝ちパターンを作ることも、基準を一段階上げることもできるようになります。