平均点30点台の神奈川の理科で、最低70点以上を取るための勉強法

2015年12月16日

神奈川の公立入試までちょうどあと2ヶ月となりました。うちの塾でも中3生全員の進路面談が終了し、ようやく尻に火がついたのか、全国入試問題集と一生懸命格闘する姿が目立ち始めました。

さて、神奈川県公立入試の中で、最も難易度が高く、受験生を苦しめているのが理科です。過去2年間の神奈川県全体の平均点は30点そこそこ。昨年度の入試でも、100点は0%、90点台も0%、80点台になってようやく0.7%、70点台でも2.8%という悲惨な結果になっています。

参考:平成27年度の公立入試5科目平均点から見る今年の入試総括②

もしも今年も同じような難易度であるのなら、理科で70点以上を取ることができればそれだけで上位4%以内に入ることができ、大きなアドバンテージになると言えます。そこで今日は、神奈川の理科で最低70点以上取るための勉強方法について具体的に書いてみたいと思います。

理科の間違った勉強法

まずは正しい勉強法を紹介する前に、よくありがちな間違った勉強法を紹介してみようと思います。最初に断っておきますが、特に理科が苦手な人は絶対に真似しないでください。確実に入試で平均点そこそこの点数しか取れなくなってしまいます。

暗記中心の勉強に終始する

後ほど詳しく述べますが、理科を暗記科目だと思って暗記中心の勉強ばかりを繰り返していても、入試問題は解けるようになりません。社会のように暗記カードを作って覚えるとか、チラシの裏に重要語句を何度も書きなぐりながら覚えるとか、綺麗にノートをまとめるなどの勉強方法は、理科においてはあまり役に立たないと考えてください。

神奈川県の過去問しか解かない

神奈川県の過去問を何年分も解いてそれで満足している人もいるでしょうが、基本的に過去問で出たような問題が、本番の入試で出題されることはないと思ってください。過去問は、あくまでも神奈川県の出題傾向に慣れるために解くのが目的であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

しかも、神奈川の入試は3年前に出題傾向が大きく変わっています。また、2年前からはこれまでより極端に難易度が上がりました。過去問を解くならば、過去2年間分もしくは解いても3年間分を1通り解き、出題傾向や解き方、時間配分を確認するだけで十分です。

基本的な問題集中心に勉強する

この時期になれば、本屋に行けばいろいろな入試対策と名のつく問題集が販売されていますが、それらの大半は、ただ基礎を確認するだけだったり、やさしめの問題が各単元ごとに数問ついているだけの、量・質ともに薄っぺらい問題集だったりします。内容を見てみると、実際の入試よりも随分簡単な問題だったり、今どきこんな問題入試で出題されないだろうと思うような、一昔前の暗記中心の定番問題だったりします。

これでは、とてもじゃないけれど今の神奈川県の理科の入試に太刀打ちできません。もちろん、基礎を確認するためのものとして1冊持っておく分にはいいでしょう。しかし、それだけ解いてハイ終わり、もしくは基本問題と過去問だけ解いて終了では、入試本番で痛い目を見ます。

点数の取れる入試理科の勉強方法とは

では、ここから点数の取れる入試理科の正しい勉強方法について説明していきます。ここで推奨する勉強方法は、あくまでも公立トップ校や2番手校のような上位層の高校を目指している人向けです。平均点が30点代の今の神奈川県の理科の入試で、最低70点以上を目指している人は是非参考にしてください。

暗記しようとするな。理解しろ。

理社は暗記科目と言われますが、厳密に言えば、理科は暗記科目ではありません。特に理科の中でも物理分野は、完璧に暗記科目ではなく理解科目です。もし、物理を暗記科目だと思ってひたすら覚えることに徹している人がいれば、入試で面白いほど理科の点数が取れなくなってしまいます。

たしかに暗記しておかなければいけない最低限の内容はあります。化学や生物・地学は、最低限の知識がない状態で入試で得点できるはずもありません。しかし、特に物理にいたっては、暗記しておくべき内容が極端に少ない。たとえば苦手な人が多い中1物理の光の反射では、反射の法則である「入射角=反射角」くらいしか暗記しておくべき重要事項がありません。

じゃあ、それさえ暗記したら反射の問題が全部解けるようになるかというと、そうはいかない。定期テストでは暗記だけで何とかなるかもしれませんが、入試レベルになれば、「これどうやって解くの?」という問題がゴロゴロ出てきます。

数学なら、たとえば2次方程式の解の公式を覚えたからって、2次方程式の文章題が全て解けるようにならないことは誰でも分かります。しかしなぜか理科になると、「理科=暗記」というイメージが先行するためか、重要事項を暗記さえすれば問題は解けるようになると勘違いしてしまいます。そこが、入試で木っ端微塵にやられてしまう一番の落とし穴なのです。

理科も数学と同様です。暗記科目ではなく、理解する科目なのです。特に物理全般や化学の計算、中3天体全般、中2地学の飽和水蒸気量、中1地学の地層と地震などの単元では、パターン別に類題演習を繰り返し、問題の解き方や基礎基本をどのように活用するかを学ばなければいけないのです。

原理原則の使い方を学ぶうちに、原理原則が理解できるようになる

理科が苦手な人に対して、「基本を学ぶときに原理原則を理解しましょう」といっても、まずできません。先ほどの反射の法則の例を用いると、「入射角=反射角ってのは分かった。理解できた。でも、だから何なの?」という状態になります。

基本をしっかりと身につけた後は、数学と同じようにパターン別に問題を解きましょう。「光」というカテゴリーで解くのではなく、「鏡の反射」「屈折」「凸レンズ」というようにさらにパターンを細分化して問題を解くのです。特に物理単元の多くは、原理原則がきちんと理解していないと解けないような問題設定になっています。原理原則を理解していないうちは、どうやって解いたらいいかさっぱり分からない問題も多いでしょう。しかし、問題を解き、解法を考えていくなかで、そのパターンで用いる原理原則や基本の使い方がようやく見えてくるようになります。見えてこないのならば、見えてくるまで同じパターンの問題を解き続けましょう。

うちの塾生には、「1つの単元を勉強したら、似たようなパターン演習を最低10題は解け」と指導しています。10題以上こなしてはじめて、その問題を解くためのコツ、頭の使い方、その単元の原理原則が見えてくるようになります。

疑問に思ったことは絶対に放置しない

このようにして入試問題を解いていくと、模範解答を読んでもいまいちピンとこないような問題に必ずぶち当たります。理科ができなくなる人の多くは、そういう問題に出会ったとしても無理やり自分を納得させるか、分かったフリをして適当にやり過ごしてしまいます。それが、理科ができなくなる大きな原因の一つであるということを分かっていません。

模範解答を読んでもいまいちピンとこないということは、そこには必ず何らかの理解不足があります。物理は暗記ではなく理解の科目だと言いました。つまり、理解不足のまま放置していては絶対にいけないのです。ピンとこない問題は放置せず、疑問が解消されるまで調べまくるか、先生に質問しましょう。

些細なことにも疑問を持て

何度も言いますが、理科は暗記科目ではなく理解科目です。しかも物理や化学などの難しい問題を解くためには、付け焼き刃ではなく完全な理解を伴った深い思考が必要になってきます。

深く理解するために、些細なことでも疑問を持つ癖をつけましょう。疑問を持たなければ知ろうとも思いません。知ろうとも思わなければ理解することもできません。なぜこのような現象になるのか。なぜこの解き方になるのか。なぜこのようなグラフになるのか。面倒くさいほどいちいち疑問を持ち、疑問を解消するために理科の資料集や参考書を手元に置き、それでも分からないことはネットで調べるなり質問するなりしていくうちに、深く理解できるようになります。

基本的問題集+全国入試問題集正解で十分

このブログでも何度も書いていますが、受験対策用の理科の問題集としては、学校の教科書+基本的な問題集(学校ワークや塾の問題集)と2016年受験用 全国高校入試問題正解 理科で十分です。もしあと一つプラスするならば、疑問点をすぐに調べられるように参考書が1つあれば鬼に金棒です。

全国入試問題集を解いたことがある人なら分かると思いますが、同じ単元であればどの都道府県でも出題されるところはほぼ決まっています。全国入試問題集を解いていくことで、自然に「入試でよく出題される問題」の演習量が多くなっていきます。また、最新の入試問題を解くことで、きちんと「トレンド」を押さえた入試演習ができるというのも大きな魅力の一つです。

これを、間違えたところは教科書や基本の問題集に戻って復習し、また全国入試で演習することを繰り返していけば、今の神奈川県の入試問題レベルであれば間違いなく70点以上の点数が取れる。そして最後に、神奈川の過去問を2年間分くらい仕上げとして解くので十分です。