「親にできることはありますか」という質問についての私の回答。

2017年11月30日

12月は中3の進路面談と小学生から中2生までの保護者面談月間です。うちの塾の面談は、中3生は必須、小学生から中2生は希望制にしていますが、毎回たくさんの希望をいただき、12月は連日面談の予定でいっぱいです。

以前、面談期間にこのような記事を書きました。特に小学生から中2生までの学習面談をご希望の保護者の方は、面談前に是非ご一読ください。
参照:保護者面談でよく相談される質問3つに、先に答えておこうと思います。

「親にできることはありますか」

保護者面談で、受験生・非受験生を問わずよく訊ねられることです。うちの塾は(特に中学生の場合)、基本的には「勉強のことは塾にお任せください」というスタンスです。特別な場合を除いて、親御さんに何か勉強をみてもらうことはありませんし、むしろ子どもの勉強に関わらないでくださいとお願いすることの方が多いです。

いくらそうお願いしても、いざ子どもの成績が下がってきたり、志望校(誰の志望校?親の子どもに対する志望校?)に届かなさそうだったりすると、心配になるのが親心なのでしょう。「私にできることはありませんか?」とやっぱり聞かれます。

正直に言うと、勉強以外の部分で親御さんにお願いしたいことは山ほどあります。今日はそのうちのいくつかについて、記事にしてみたいと思います。

誰かと比較するのをやめてください

「〇〇ちゃんはあんなに勉強ができるのに」と、同じ塾に通っている生徒との比較。
「〇〇さんは塾に行っていないのに成績がいいんだって。それに比べてあなたは塾に行っているのにね。」と、塾に行っていない知り合いとの比較。
「お兄ちゃんはもっと要領が良かったのに」と、兄弟間での比較。
「お母さんが中学生の頃はもっとやってたわよ」と、ご自分の輝かしい過去との比較。


誰かと比較することで、何クソ精神を引き出して、勉強魂に火を付けたい気持ちも分からないではないですが、親がコレをやってしまうと、何クソ精神を引き出すどころか、逆に子どもの気持ちが腐ってしまうので本当にやめてください。

もしピンとこないのであれば、親御さん自身も誰かに比較された場合を想像してみてください。

「〇〇君のママはあんなに美人で若々しいのに、それに比べてうちのお母さんときたら…」
「おばさんは料理が上手なのに、 うちの親はなんでこんなクソまずい料理しか作れないんだ。」
「〇〇さんのお父さんはもう部長さんなんだってすごいね。うちのパパなんかまだ係長なのに何をやっているのやら。」

どうですか?何クソ頑張るぞと思いますか?家族に、他の人と比較されてしまうと、自分は否定されたと感じるのではないでしょうか。

勉強の向き不向きから目を背けないでください

テストの成績が良くないと、すぐに「勉強法が分かっていないのではないか」「やる気がないからだ」「勉強時間が少ないからだ」と子どもを叱る親御さんがいます。これを言い換えると、正しい勉強法さえ分かったら、やる気さえ出たら、勉強時間さえ長ければ、誰でもテストの点数は良くなるはずだということになります。

本当にそうでしょうか。

確かに、勉強の仕方がダメだから、そもそも本人にやる気がないから、勉強時間が足りなさすぎたからという理由で結果が出ない場合もあります。しかし、全部が全部そうではありません。

運動にも向き不向きがあるのと同様に、勉強にも向き不向きがあります。

勉強ができる子は、真面目だから、勉強法が分かっているから、やる気にみなぎっているから、長時間勉強しているから、勉強ができるというわけではありません。もちろんそういう場合もありますが、最も大きな原因は勉強に向いているからです。運動神経がいい子はあまり練習をしなくても走るのが速いのと同様に、勉強に向いている子はあまり勉強をしていなくても勉強ができる場合がほとんどです。

ここから目を背けてしまうと、「勉強に向いていない」のを「勉強法が分かっていない」「努力が足りない」という話にすり替え、ありもしない「正しい勉強法」を永遠に探し続け、十分に頑張っている子どもを「お前は努力が足りない」と否定し続けることになります。そうすると、親も子も、どんどん苦しくなってしまう。

勉強に向いていないことを認めるということは、それ自体悲劇でもなんでもありません。向いていないから勉強は諦めてくださいと言っているんじゃありません。勉強に向いていないなら、向いていないなりの戦い方があるのです。向いていないなりの進路の考え方があるからです。

参考:「太郎くん」の話

勉強の向き不向きに目を背け、「誰だってやればできる神話」を追いかけ続けることの方が、子どもにとって何倍も不幸であり、決して良い結果を生みません。

親御さんも勉強をしてください

小中学生は、まだまだ親御さんから最も影響を受けます。

親御さんが楽しそうに勉強をしていると、子どもも勉強に興味を持つでしょう。逆に、親御さんがスマホばっかりいじっていると、子どももスマホをいじりたくなるでしょう。本を読む子になって欲しいのであれば、まずは親御さんが進んで本を読んでください。

「ママは昔勉強したから、今はしなくてもいいの」「お父さんがお前くらいの頃はめちゃくちゃ勉強したんだぞ」なんて言いながら、今はビール片手にテレビに釘付け、あるいはLINEでママ友との会話に夢中では、子どもが勉強しなくなるのは当然です。子どもは、昔の親の姿ではなく、今の親の姿に影響を受けるのです。

仕事で疲れているのに、育児と家事で大変なのに、勉強なんてできるわけがないと思われるかもしれません。しかし、それは子どもだって同じです。朝から学校に行き、放課後は部活、それが終わったら塾に行く毎日を送っています。その上で、さらに家でもっと勉強しろと強いているのです。

まとめ

随分と辛辣なことを書きました。これくらいにしておきます。

いくら子どもでもやはり他人です。他人を変えるのにはものすごくエネルギーがいる。そもそも、エネルギーをかけたからと、変わるかどうかすら分かりませんし、もしかしたら「他人を変える」なんて発想自体、おこがましいのかもしれません。

であるならば、子どもを変えようとせず、まず自分を変えることに意識を向けた方が、結果的に子どもが変わることにつながるかもしれません。

親が子どものためにできることは、そういうことだと思います。

偉そうにすみませんでした。

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