公立高校を目指す受験生のための過去問活用術

2017年10月5日

10月を過ぎてくると、いよいよ世間は受験を意識し始めるためか、過去問についての質問が多くなってきます。その中でもよく聞かれるのが、「過去問はいつから取り組めば良いのか」「何年分取り組むべきか」「入試までに何回繰り返せば良いか」という質問です。

今日は公立高校受験生のための過去問活用法について記事にしてみたいと思います。

過去問を解く意味

高校受験だけでなく、あらゆる受験で必須アイテムとなる過去問。まずは過去問を解く意味について整理していきましょう。

  • 出題傾向や難易度を把握する。
  • 出題形式に慣れる。
  • 戦略を組み立てる。

過去問の役割は、主にこの3つに分類されます。

過去問を解く適切な時期は?

大学受験や中学受験などでは、過去問を解く時期は早ければ早いにこしたことはありません。よく、「過去問は最初に解け」と言われますが、最初に過去問を解いておかないと、志望校の出題傾向や形式、あるいは難易度が分からないため、受験勉強のしようがありません。

しかし、公立高校の場合は大学受験や中学受験とは事情がかなり異なります。公立高校入試の場合に限って言えば、過去問は最初に解かない方が良いでしょう。2月中旬に入試がある神奈川県の公立高校を目指す受験生の場合、過去問を解く適切な時期は12月〜1月くらい、つまり受験勉強の終盤で活用するのがベストだと思います。

その理由は次の2つです。

全範囲を履修し終える時期が遅すぎる問題

神奈川県公立入試の場合、入試問題の半分以上は中3内容から出題されています。それにもかかわらず、学校で中3内容を全て履修し終わるのは入試直前です。塾に通っている場合は学校よりも早めに中3内容を勉強し終えますが、それでも早くて10月くらいでしょう。意外に思われるかもしれませんが、うちの塾は結構遅めな方で、毎年11月〜12月にようやく全科目の中3内容を履修し終えます。

過去問を解く一番の理由は、前述した通り出題傾向や形式、難易度の把握です。高校受験の場合、まだ中3内容を習い終えていないうちに解いたところで、これが難しいのか難しくないのかの判断もつきません。習っていないところが多すぎるうちに解いても、傾向を分析することもできず、ほとんど効果がありません。非効率すぎるのです。

そもそも出題傾向の把握は模試で十分

大学受験や中学受験のように、学校ごとに入試問題が異なる場合は過去問分析をきちんとしなければいけませんが、高校入試の場合、一部の自校作成校や特色検査などの特異な場合を除き、公立高校は基本的に皆同じ問題を受験します。受験する高校が変わったとしても、入試問題は変わりません。

その場合、わざわざ過去問を解かなくても、出題形式を知りたければ入試模試を受験すればよいのです。入試模試なら、出題傾向や難易度は実際の入試とある程度似せた上で、学校で履修し終えている範囲から出題されるので、無理なく無駄なく出題傾向や難易度を知ることができます。

公立高校入試のための過去問活用法

公立高校入試の場合、過去問は「出題傾向を分析し対策を練るため」に活用するものではありません。「実戦的な実力をつけるための問題集として」「最終的な戦術確認として」活用するものなのです。

実戦的な実力をつけるための問題集として

過去問は、どの問題集よりも良質で最強の問題集です。公立高校入試の場合、出題傾向を把握するためでも、戦略を練るためでもなく、実戦的な実力をつけるためにこそ過去問を活用するべきでしょう。

過去問を年度ごとにテスト形式で解いていく必要はありません。そんなことは模試でやればいい。どうしてもやりたかったら入試直前に確認の意味でやりましょう。

過去問は、分野別に解いてこそ力がつきます。これは数学で例えるとわかりやすいでしょう。
同じ5年分解くのでも、2017年度、2016年度・・・と順番に解くのではなく、関数のみを5年分、確率・統計のみを5年分、空間図形のみを5年分・・・と分野別に解いていく方が確実に力になります。

分野ごとに集中的に過去問を解くことで、その分野の理解がより深まるとともに、その分野で出題されている出題パターンがよりくっきりと見えてくるようになります。

英語や国語なら大問別です。英語なら文法分野、英作文分野、読解問題分野をそれぞれ大問別に解いていきましょう。

最終的な戦術確認として

2017年度、2016年度・・・と問1〜最後まで時間を測って解くのは、入試の直前で十分です。神奈川の場合、それこそ1月下旬〜2月上旬で良いでしょう。

「一度分野別にやっているから・・・」と躊躇する人もいるかもしれませんが、答えなんてどうせほとんど忘れています。入試前の最終確認として、直近3年分くらいを時間通りに解きながら、最終調整をしていくとよいでしょう。

ただし、これは何も必ずしも過去問でなければいけないということはありません。これも意外に思われるのですが、うちの塾では神奈川の公立高校の過去問集を生徒に配りません。もちろん、分野別の実力養成のため、過去問の一部を授業で扱うことはあります。

そして入試前の最終確認は、やはり模試で最終調整を行います。なぜなら、過去問で出題された問題は、もう出題されることはないからです。出題されないと分かりきっているものを、入試前の貴重な時間にわざわざやりません。それなら、各模試会社が英知を結集して入試を予想し、作成したであろう模試の方が、出題される可能性が少しでも高いだろうと思うからです。

まとめ

ネットで「過去問の使い方」「過去問 時期」と検索すれば、いくらでも情報が手に入りますが、それらのほとんどが中学受験や大学受験などの、学校ごとに問題が異なる受験の場合の活用法です。公立高校受験には、それらとはまた違う、公立高校受験なりの過去問の活用法があります。

塾に通っている人は必ず分野別問題集がありますが、塾に通っていない人にとっては、過去問は最強で最良の分野別問題集です。分野別に何度もやり込んで、問題集として力をつけていきましょう。

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