定期テスト対策期間まっただ中です。
うちの塾では、開校から一貫して定期テスト対策は自学自習方式を取り入れていますが、毎年特に第1回の定期テスト期間は生徒の自学自習の進め方を厳しくチェックしています。初めて定期テストを迎える中1生や入塾して間もない新入塾生に、うちの塾の自学自習のやり方を徹底させるためです。
ちなみに自学自習とは言えども、生徒の自主性に完全に任せているわけではありません。実際のところ、生徒の自主性に任せる部分よりもこちらが介入する部分の方がはるかに多いと思います。今日の記事では、生徒の自学自習の力を向上させるために、うちの塾が意図的に「やっていない」ことを書いてみます。
特に、他塾の先生方に参考にしていただければ幸いです。
自由にやらせない
自学自習というと「自分の自由に勉強する」と勘違いしている人をたくさん見かけます。自学自習とは、自分の好きなことを好きな時間に好きなように勉強することではありません。定年後に趣味で勉強を始めるおじいちゃんおばあちゃんなら、それでも良いでしょう。しかし、学習した内容をきちんと身につけることを求められている小中学生や高校生にとって、好きなことを好きなように勉強することが自学自習であるならば、いっそのこと自学自習なんてやめて、誰かのもとで強制的に勉強した方が余程マシです。
自学自習を子どもに身につけさせる第一歩は、教師なり親なりまわりの大人が、自学自習のための「環境」と「方法」を用意してあげることです。自学自習とは何をどうやるべきなのかを、まずはこと細かに方法を教え、自学自習に適した環境を準備してあげるのです。
「そんなのは真の自学自習ではない。ただの受け身でやらされている勉強だ。」と反論される方もいらっしゃるでしょう。確かにそうです。これは本当の自学自習とは呼べません。本当の自学自習とは、生徒自身が、何を、どのような方法で勉強するかを自ら考え行動し、その責任も結果も全て生徒自身が背負うことでしょう。しかし、そんなことを最初から中学生に求めるのは無茶です。いくら公立トップ校に合格できる実力がある子でも、最初から自分で全てを考えて自学自習ができる子はほとんどいません。
だから最初は指導者側が環境を与え、そして方法を説きます。そして自学自習の「型」を身につける。スポーツでも武道でも、最初に「型」となる動きをしっかりと身につけるからこそ、自由な動きができるのです。勉強でも同じです。最初は誰かに強制された自学自習でも良いので、「型」をしっかりと身につける。やがて自立心が芽生え、目標ができると、身に付けた「型」を活かして自由に真の自学自習ができるようになります。
教えたレベル以上のことをやらせない
人が自学自習で学べるのは、基本的に自分のキャパシティを越えない範囲のみです。自分のレベルを大きく越えたものに対しては、絶対的に指導者が必要です。自学自習はできません。たとえば普通の小学生に、中学数学の教科書を自学自習させるのはほぼ不可能です。
自学自習をさせるのならば、自学自習させたい内容以上のものをまずは徹底的に教え込まないといけません。高いレベルでの自学自習を生徒に要求するのなら、それ以上のレベルの問題を自学自習の前に徹底的に身につけさせます。
うちの塾の定期テスト対策は基本的に自学自習方式です。それでも塾生が高い点数を取ってくるのは、自学自習方式に秘密があるからではなく、自学自習に入る以前の段階で、自学自習で求めるレベルを遥かに越えた内容を教え込んでいるからです。つまり、自学自習で成果を上げたいのならば、自学自習そのものよりも、その前の「仕込み」の段階で力を入れておく必要があります。
進捗具合を生徒任せにしない
一生懸命自学自習を頑張っている生徒を眺めて悦に入っている指導者をよく見かけますが、生徒が一生懸命やっている=自学自習ができているという方程式は成り立ちません。一生懸命やっていようがやっていまいが、大切なのは自学自習によってどれだけ身に付いているかということ。身に付いているかというチェックなしに、特に中学生にとっての自学自習は完成しません。
自学自習で勉強することは、中学生にとっても不安でいっぱいです。本当に身に付いているのだろうか、このやり方で大丈夫なのだろうかと、不安に思いながら勉強を進めています。完成度をチェックするテストをすることで、自学自習の方向性を修正できたり、客観的に自分の勉強のやり方を見直すことにも繋がります。また、我々指導者側にとっても、生徒の自学自習の完成度を把握することができます。
うちの塾の定期テスト対策では、各教科かなりの枚数のチェックテストを用意しています。講師、生徒自身の両方が、それぞれの自学自習の完成度をチェックし、軌道修正できるようにするためです。