小6生の算数の授業では、12月の冬期講習から今までずっと小学算数の内容を復習していました。今日はそのまとめとして、小学算数内容の総復習のテストを実施しました。今日のテストの原紙をPDFファイルにてリンクを貼っておきます。中学進学前に、小学内容がきちんと身に付いているかどうかのチェックとしてご利用ください。
また、春期講習体験をご予約頂いている方も、春期までに解いて復習しておいてください(ちなみに塾生平均が78点です)。
ダウンロード:小6算数 中学への準備単元テスト
解答:中学への準備模範解答
今日は、うちの塾が12月に小6カリキュラムを終えてから、中学数学の内容に進まず、3ヶ月間も小学算数の復習を繰り返してきた理由を書いてみます。
算数の計算力がないと、中学数学で確実に心が折れる
数学の土台になるもの。それはまずは計算です。数学は、「数字がだいたい合っていればいい」という教科ではなく、完全に一致していなければ正解にはなりません。中学生を教えていると、小学生の算数レベルの計算力が乏しい子は、せっかく内容が理解できていても計算でミスをしてしまうか、複雑な計算を解き切る力が不足しているため、正解まで辿り着けないケースが多いのです。理解できる力があるのにもかかわらず、計算で心が折れてしまって、結局数学嫌いになってしまいます。
「小学算数の計算なんて簡単でしょ」「やり方が分かっているのだから十分でしょ」と思われる方がたくさんいらっしゃることでしょう。しかし、やり方がただ分かっているだけでは不十分です。計算力の乏しい子だって、小数や分数の計算のやり方くらい知っています。知っているけれども、正解できないのです。
算数や数学が他の科目と大きく異なる点は、「理解できている」ことと「解ける」ことがそのままイコールにならないことです。そういう意味では、数学や算数はどちらかと言うと体育と同じです。初めてクロールの泳ぎ方を習い、頭では理解したつもりでも、いざプールに飛び込んでクロールしてみると全く泳げない。そういう経験は誰にでもあるでしょう。算数数学もスポーツも、「頭で理解できている」だけではできるようにならないのです。理解するのではなく慣れること、つまり『体得』することが重要です。
高校受験の数学で、小学算数が盲点となる
先月行われた2016年度の神奈川県の公立入試で、km/時で表された速さをm/分に換算しなければ解けない問題が出題されました。また、2年前の同じく神奈川の公立入試では、210の約数が全て完璧に求めなければ解けない確率の問題も出題されています。速さの単位の変換、そして約数の求め方はどちらも小学校算数の内容です。中学数学の内容ではありません。
ところが、このような純粋な算数の内容と絡めた問題が入試で出題されると、途端に正答率は下がるのです。2次関数の式を難なく解くことができる中学生でも、210の約数を求めるには苦労します。端から見るととても不思議な現象ですが、我々塾講師はちっとも驚くことはありません。
中学受験を経験していない小学生のほとんどは、小学算数をサラッとしか勉強していません。基礎というよりも、表面上の基礎ができているだけで満足し、そのまま中学に進学します。そして高校受験を控え、必死で中学数学を深く勉強します。そのかいがあってか、中学数学の内容であれば、ある程度滞りなく理解できるでしょう。しかし、小学算数の内容が薄い分、そこが盲点になってしまいます。
原理原則が身に付かず、思考力も養われない
小学算数で習う内容は、中学数学でもう一度習います。例えば小6で習う比例反比例や比は中1数学で、場合の数は中2数学で、速さや割合などは方程式の文章題で、柱体の体積表面積は中1数学で学習します。
しかし、小学算数と中学数学では、同じ内容でもそのアプローチの仕方が全く違います。保護者の方が小学生の算数の勉強を見るとき、xやyを使った方程式を駆使して解こうとしますが、方程式を勉強していない子どもにその解法が通用することなく、「方程式を使わないでどうやって解くの?」と大人の方がお手上げ状態になってしまうケースは、そもそもアプローチの仕方が異なるからです。
算数と数学のアプローチの違いは、数学は「公式重視」である一方、算数は「原理原則重視」だということです。中学数学は、公式や解法にバンバンあてはめていけば解けるのですが、公式や方程式などの解法を教えられていない小学算数では、意味をきちんと理解し、四則演算を駆使して解くようになっています。例えば速さの問題でも、小学生は「単位量あたりの大きさ」の原理原則から導き出すのです。
「そんなの公式を使った方が速いじゃん!」と思われるかもしれません。しかし、それだと原理原則が分かるようにはなりません。原理原則が分からないまま公式や解法などの『型』だけ中学数学で習得しても、ある程度のレベルにまでしか到達できません。そして何より、『型』だけに頼った解き方では、思考力が養われないのです。
中学受験が良い例です。中学受験では、高校入試とほとんど同じようなレベルや内容の問題が多く登場します。そしてそれを、公式や方程式等のテクニックを使わずに、原理原則を基盤とした思考力一本で解くのです。そのような勉強を小学生の時に重ねてきたからこそ、算数から数学に変わっても公立中学よりはるかに難易度の高い数学の授業についていくことができるのでしょう。
まとめ
小学校で算数が得意だった人は、「できるからいいや」と算数の内容をバカにせず、少しレベルの高い算数の問題集などで小学校の復習をしてみてください。中学数学を1ヶ月〜2ヶ月やそこら早く始めるよりも、レベルの高い算数の問題集をこなした方が余程中学数学につながります。
逆に、小学校で算数が苦手だった人は、基本的な問題集でもう一度総復習しておきましょう。特に計算練習には力を入れてください。計算ドリルを毎日継続してとき、中学入学までに計算力を養っておきましょう。うちの塾生の場合は、毎日1枚の10問テストを継続してください。必ず力がつきます。