【2016年度版】神奈川県入試数学で狙われやすいところと注意点のまとめ

2016年1月15日

昨年度、確率の変わりに中1の資料の整理が出題されて話題になった神奈川県の入試数学。今更言うのも何ですが、私、ちょうど1年前のこの記事で、「資料の整理が出るかもよ、勉強しておいた方がいいよ。」という内容を書いていました。問5で出題されるかと思っていたのですが、結局問4からの出題でしたが。

理科の記事でもそうでしたが、他塾に通わせていらっしゃる保護者の方から「あの記事を読んで、子どもに資料の整理を勉強しておきなさいと言ったところ、本当に出題されて驚きました」という声を多く頂きました。お役に立てたようで何よりです。でもしつこいようですが、うちの塾に通わせていただければもっと何よりでした。

くだらない前置きはこれくらいにして、今年も入試数学で狙われやすいところ、勉強しておきたいところをまとめてみます。
※これからの内容はあくまでも私個人の予想です。真に受けすぎないようにしてください。

過去3年間の入試数学から見えたこと

新しい入試になってからの3年間分の過去問を分析すると、数学の問題の構成が以下のようになっていることが見えてきます。

問1:計算(12点)
問2:小問集合(32点)
問3:関数(12点)
問4:統計(12点)
問5:方程式or式の証明(10点)
問6:空間図形(12点)
問7:図形の証明(10点)

問4は統計

去年までは問4を「確率」と書いていましたが、去年の入試で問4に資料の整理が出題されたことを考えると、問4を「統計」の大問と認識できそうです。ちなみに「統計」とは、中1の「資料の整理」、中2の「確率」、中3の「標本調査」の3つを指します。この3つの中で、中3の「標本調査」は、神奈川県の全国一早い入試時期から考えて、大問に持ってくることはあまり現実的ではありません(教科書の一番後ろにあるので、学校の授業スピードが追いつかない)。とすると、「資料の整理」と「確率」の2つのうちいずれかが出題されるという見方ができます。

昨年は問4が「資料の整理」だった変わりに、確率が問2の小問集合に加わりました。このように、今年の入試以降も、問4の大問から漏れたものは、問2の小問に加わることが十分考えられます。中3の「標本調査」も、小問集合と親和性は非常に高いので、問2で出題されてもおかしくはありません。つまり、統計は問2の小問集合、問4の大問のどちらで出題されても良いように、しっかりとした準備をしておかなければいけません。

まだまだ不透明な問5は規則性が怪しい

問5は2年連続方程式が出題されていますが、3年前は式の証明だったので、まだまだ「問5は方程式!」と断定することはできません。ただ1つ共通点を挙げると、問5は途中式や考え方が必要な記述形式の問題が出題されているということです。

以上のことと、全国入試問題集からの全国的な流れを考えて、問5に出題される可能性があるものをリストアップしてみます。

  • 規則性(2次方程式)
  • 式の証明(規則性絡みの証明or整数の証明など)
  • 連立方程式
  • 2次方程式

ざっとこんなもんでしょうか。あくまで私個人的な見解ですが、規則性がそろそろ来るんじゃないかなと思っています(去年も同じことを言いましたが、結局出題されませんでした)。特に、去年の入試から、問5がアとイの2問構成になりました。規則性は、この2問構成の出題形式にも非常に親和性が高いのです。アで、具体的な数値を問い、イで規則から方程式を導き出し、答えを求めさせるということが可能です。

もちろん、連立方程式・規則性以外の2次方程式がまた出題される可能性も十分考えられます。ただ、普通の連立方程式や2次方程式とは違い、規則性はある程度練習を積まないと対応できません。全国入試を持っている人は、規則性の問題をしっかりと解いておいた方が良いでしょう。全国的には、規則性の問題は最近のトレンドで、そこら辺にゴロゴロと転がっています。

去年の記事でも書きましたが、特にトップ校を受験する人にとって、問5こそ最も差が出る問題です。ちなみに去年の問5の2次方程式の正答率は県全体で5.6%、2年前の問5の連立方程式では3.7%と低迷しています。しかも問5の配点は8点(2年前は10点!)と非常に高い。トップ校受験生は、出る出ないに関わらず、あらゆる事態を想定して問5対策を万全にしておくべきです。

関数・空間図形・図形の証明は?

旧入試からほとんど変化がないのが問3の関数・問6の空間図形・問7の図形の証明の3つです。新しい入試になってからは問7の図形の証明が全証明になりましたが、旧入試の穴埋めの頃よりも問題設定自体は簡単になりました。

関数・空間図形は問題設定自体に変化はあまり見られないものの、両方のウの問題の難易度が難しくなっています。特に空間図形のウの問題。去年の正答率は0.7%と、正解できた人はほとんどいません。関数のウも、以前は面積比・線分比・等積変形など簡単な問題が主流だったのですが、去年は平行四辺形の2等分線と、やや難易度が高め(解法を知っている人にとっては簡単ですが・・・)の問題が出題されています。

関数のウは注意

空間図形のウは捨て問でも正直構わないでしょう。配点も4点です。ただ、関数は是が非でも全問正解を目指したい問題です。ここで1つ、私が危惧していることは、関数のウに2次方程式と関数の融合問題が出題される可能性です。

よく勉強している人なら分かると思いますが、座標を文字で置き、方程式に持ち込んで解く問題を意味しています。解き方自体は基本的で、どこにでもあるオーソドックスな問題なのですが、神奈川県はこれまで独自入試を除いて関数と方程式の融合問題を出題したことがありません。よって、大半の受験生は、このような問題をきちんと勉強していないと思います。似たような問題しか対策しないのが、神奈川県の受験生・塾・学校の悲しい特徴なのです(参照:いつまで“神奈川病”にかかっているの?)。

もしも、関数のウに2次方程式絡みの問題が出題されたら、問5に方程式ではなく式の証明問題を出題することも可能になります。もしかしたら私が考え過ぎなのかもしれませんが、色々なことを想定して準備しておくことは重要です。

ちなみに、この関数と方程式の融合問題、全国入試では普通に色々なところで出題されていますし、そこまで難しくはなく短期間で習得可能です。トップ校を目指している人なら、習得しておくべきでしょう。

記述問題は空欄にするな!

問7の図形の証明と問5の問題は記述問題ですが、たとえ最後まで答えが出なくても、空欄にはせずに何か書きましょう。なぜなら、この2問は細かく途中点が設定されているからです。問5だと、式だけ書いて答えが出ていなくても途中点はもらえますし、問7の図形の証明も、全て証明しきれていなくても途中点がもらえます。この2つは1問につき8点もしくは10点。空欄にすると、その分の失点は全体に大きな影響を及ぼします。たとえ2点でも3点でも、確実に得点できるように、分かるところまでしっかりと記述しましょう。

まとめ

この時期はみな理社の勉強に勤しんでいるとは思いますが、数学だって、短期間の勉強でも十分伸びが期待できる科目です。少なくとも、英語や国語よりは遥かに短期間での勉強効率は高いです。

神奈川県の入試数学の鉄則は、簡単なところで失点しないこと。問1の全部、問2の8問中7問(図形が難しい場合もあるので)、問3の全部、問4の3問中2問(ただし問4が資料の整理の場合、余裕で全問正解できます)、問5のア、問6のアとイ、問7と、基本的な部分を全て解くだけで、70点後半は余裕です。これらの問題をきちんと正解できる力を付けた上で、トップ校を狙っている人は、プラスアルファとして問5対策や、問3の関数のウが難しくなったときのための対策などの勉強をすると良いと思います。