宿題では解けても、テストでは解けないという不思議。

2015年5月26日

うちの塾の2年生のことです。毎回授業でやったことの復習内容を宿題にしていますが、この宿題の正答率はビックリするほど素晴らしいものがあります。授業ではほとんど手が挙がらない(うちの塾は、正解できたかどうかを挙手にて確認しています)のにもかかわらず、同じ内容の宿題になると、授業中の手の挙がらなさ加減がウソのように、ほぼ正解できているのです。思わず、「やっぱりオレの授業中の解説は素晴らしいのではないか」と自惚れてしまうレベルです。

ところが、毎回授業の最初にやる確認テスト(ウチの塾では『10問テスト』と呼んでいます)では、宿題とほぼ同じような内容の問題を出題しているのにもかかわらず、綺麗サッパリできないという、何とも摩訶不思議な現象が起こります。他の学年でも同じような摩訶不思議現象が起こることはありますが、中2はこの現象が最も頻繁に起こります。

摩訶不思議な現象がなぜ起こるかの考察

今日はこの現象について、読み解いてみたいと思います。
宿題では解けて、数日後のテストになったら解けないという現象が起こる理由は、次の3つが考えられます。

・そもそも答えを見ながら不正に宿題をしている。
・宿題では解けても、数日経てば忘れてしまう。

そもそも答えを見ながら不正に宿題をしている

もしこれが原因であれば、そりゃできないですよね。摩訶不思議でも何でもなく、自力で解いていないのだからできるはずがありません。

数日前のエントリー「テストの受け方1つで、トップ校に合格する素質があるかどうかが見えてくる。」でも書いたように、答えを見ながら不正に宿題をするということは、立派なカンニング行為です。カンニング行為は、“再犯率”がほぼ100%です。不謹慎ですが、麻薬や覚せい剤よりも、カンニングの方が強い依存性があるのです。特に誰の監視下にもない自宅学習では、非常に軽い気持ちで不正なカンニング行為を繰り返してしまいます。

中2生が中1だった頃、授業中にカンニングを摘発された子や、不正に宿題をしている事実を指摘された子が数人います。この子たちが再び自宅学習でのカンニングを繰り返しているかどうかは分からないですが、もしもそうであれば、残念ながらトップ校に行けないどころか、毎月の塾代をドブに捨てているのと同じです。

宿題では解けても、数日経てば忘れてしまう

これはつまり、定着できていないということになります。定着させるために出している宿題をしても、定着しないのはなぜか。

それは、“短期記憶”に頼って宿題を済ませているからでしょう。自分の頭で理解できたから解けたのではなく、授業でやったパターンを覚えていて、それをそのまま当てはめたから解けたのです。パターンを当てはめただけなので、問題そのものの理解は伴っていません。なぜこの式になるのか、この問題を解く時にどこに注意を払うべきなのかを考えることなく、ただ記憶に頼って、あるいはノートを見ながら数字を変えるだけで解いています。

しかも、“短期記憶”なので、次の授業(といっても2日〜5日後くらいですが・・・)になると、そのパターンは綺麗サッパリ忘れてしまいます。だから、宿題では解けたのに、テストになると解けないという摩訶不思議な現象になるのでしょう。

前者は論外ですが、前者にせよ後者にせよ、「宿題ではできているのに、テストになるとできない子」というのは、自宅での勉強がヤッツケでその場しのぎでしかないので、当然ですがトップ校からは遠ざかっていきます。

授業を頭の中で再現できるかどうか

授業で教わった時というのは、自分の頭で考えてできるようになったわけではありません。解き方を実際に考えたのは、自分ではなく先生です。一部の天才を除いて、授業をただ受けただけで、全て自分で解けるようになることはありません。

自分で解けるようにするには、先生が考えた解き方を、自分のものとして定着させることが必要です。定着させるためには、宿題の際、ただの短期記憶でパターン化して解くのではなく、授業中に教わったように「なぜこの式になるのか」「この問題を解く上での注意点は何か」を考える必要があります。要は、自分の頭の中で授業を再現するのです。それが復習です。

まずは授業を再現してみる。そして、自分で解けるかどうか確認する。まだあやふやな状態であれば、確信を持って解けるようになるまで2度3度同じ問題を解いてみれば良いのです。そうすれば、「宿題ではできているのに、テストになるとできない子」にはまずならないでしょう。