偏差値別入試得点から見る、トップ校合格のための勝ちパターン

2015年3月19日

全県模試の実施会社である伸学工房調べの2015年度公立入試偏差値別平均点(中間報告)が発表されました。伸学工房は県内の某大手塾のグループ会社で、その大手塾に所属している塾生さんたちはもちろん、公開模試会場も多く、県内でもかなり受験数の多い規模の入試模試なので、この数字には信憑性はあると思います。

まだ中間報告ということで、6月くらいに最終報告の数値が出るのですが、最終報告を待たなくとも、中間報告の数値でも十分今の入試制度の傾向とこれからの対策法が見えてきます。

ということで、今日は偏差値別入試得点から見る、トップ校合格のための勝ちパターンを書いてみたいと思います。

2015年度神奈川県公立入試偏差値別平均点

偏差値 英語 数学 国語 理科 社会 合計
65〜 84.6 76.5 84.9 58.9 78.7 381.5
60〜 74.1 70.7 79.3 51.2 70.1 342.8
55〜 63.8 64.3 73.5 44.1 61.5 304.4
50〜 53.7 57.3 67.6 37.7 53.1 266.4
45〜 43.7 49.6 61.6 32.1 44.8 228.6
40〜 34.0 41.3 55.4 27.1 36.6 191.1

●偏差値65〜の主な高校:
横浜翠嵐・湘南・柏陽・厚木・横浜サイエンスフロンティア・希望ヶ丘・平塚江南・小田原など

●偏差値60〜の主な高校:
茅ヶ崎北陵・横浜平沼・大和・神奈川総合・相模原・横浜国際・秦野・海老名など

●偏差値55〜の主な高校:
大船・市ケ尾・座間・松陽・新城・大磯・西湘・伊志田・湘南台など

●偏差値50〜の主な高校:
大和西・藤沢西・瀬谷・元石川・厚木東・茅ヶ崎など

●偏差値45〜の主な高校:
有馬・秦野曽屋・厚木西・旭・足柄・大和南など

●偏差値40〜の主な高校:
藤沢総合・山北・伊勢原・平塚商業など

最も差が付く科目は英語:英語を何としても攻略せよ

偏差値帯別の平均点を見てみると、最も差が付く科目が英語だということが分かります。偏差値65のグループの平均点が84.6点で、偏差値が5ずつ下がっていくにつれ、約10点ずつ点数が開いていきます。偏差値65のグループと40のグループの平均点の差は約50点。この点差は5教科の中で最大です。

なぜ英語は点数差が大きく開くのか

なぜ、英語の点数差がこれだけ開いてしまうのかの原因について。一番の原因は、どれだけ入試が難しくなろうとも、数学や理科とは違い、公立入試の英語は“難しくなりようがない”からです。難関私立の入試であれば、高校で習う仮定法や分詞構文などの文法がお構いなく出てきたり、イディオムだってセンター試験レベルまで出題してくるところもありますが、公立高校入試では、指導要領外からの出題をしてはいけない決まりです。なので、中学3年間で習う基本的な文法事項や単語・イディオムからしか出題できないのです。

英語を難しく“見せかける”ために、たくさんの問題数を出題したり、資料読み取り問題を出題したり、条件作文を加えたりなど、作問者も一生懸命頑張っているのは分かるのですが、それでも元々の内容が難しくないので、英語が得意な生徒や偏差値65を超える学力層の生徒には、そのような見せかけの難しさは通用しません。

一方で、中3内容の基本的な英文法をきちんと積み上げてこなかったり、単語やイディオムにコツコツ取り組んでこなかったりした場合、英語は恐ろしいほど壊滅的になります。英語の基礎の部分である中1中2(特に中1)内容が全くできていない生徒の場合、もはや中3の一年間だけではどうにも手が付けられないレベルになってしまいます。基礎の文法、つまり英語の成り立ちが理解できていないので、リスニングは何を言っているのか分からない、文法問題ももちろん解けない、正しい英作文なんて書けるわけがない、長文読解も全部読み切れないという事態になってしまい、悲惨な点数になってしまうということです。

つまり、英語の基礎がきちんと身についている人にとっては、英語は5科の中で最も点数がとりやすく、基礎が壊滅的な人にとっては最も点数が取りにくい(今は理科の方が取りにくいですが)科目になることから、点数差がどうしても大きく開いてしまうということです。

英語は中2までが勝負

上でも述べたように、英語は中2までが勝負です。中1中2の英文法と単語・イディオムがきちんと身についていれば、入試英語で悲惨な点数になることはありません。

中1中2の間は、まだ長文読解などに手を出す必要はないので、最初からピリオドまで正しい英文を書ける練習をとにかく積んでおきましょう。その際、一文全部丸暗記は絶対にダメです。丸暗記ではなく、文の構造を理解しながら書けるようにしておくことが大切です。

理科で差をつけろ

偏差値65でも理科の平均点が58.9点という事実

正直今回の伸学工房の発表を聞いて私が一番ビックリしたのは、偏差値65のトップ層でも理科の平均が58.9点だということです。もちろん、ここ2年間の理科は劇的に難しくなっているのは分かります。でも、それでもトップ層で平均が6割を切ってしまうというのは、ちょっと低すぎる気がします。それほど理科の問題が難しすぎるということではなく、今の理科の問題の質に、受験生が追いついていないことです(説明会でもこの辺はかなり時間をさいてお話をしました)。

今年卒業した中3生たちに入試当日の話を聞いてみると、「理科はみんな取れないからできなくても良いよね。」「理科はできなくて当然の科目だから。」という声をかなり聞いたとか。ちなみにこれも、偏差値65の層の小田原高校や湘南高校での話です。

「理科はみんなどうせ取れないから、自分も取れなくて大丈夫。」という風潮になってきている気がします。事実、色々な塾の先生方とお話をしていても、理科は点数が取れないから、他の科目で点数を取らせるかが勝負だという話をよく聞きます。

だからこそ私は、「理科で差を付けろ」と言います。

理科もきちんと点数がとれます。全国入試をやりきれば。

他の人が理科を“捨て科目”にするのであれば、自分はその分理科で点数を取れば入試においてかなり有利になります。トップ校受験生は、英語や国語はみんな高得点なので点数差はあまり付きませんが、平均点が58.9点の理科でたとえば80点取ることができれば、1教科で20点以上の差をつけることができるワケです。平均点が84.6点の英語であれば、たとえ100点満点をとっても20点も差がつきません。皆が捨て問にする理科だからこそ、逆にチャンスなのです。間違っても、皆と同じように「理科はみんなどうせとれないから大丈夫」と思っていてはいけません。皆ができないことをするのです(この辺も説明会でお話しました)。

理科でもきちんと点数がとれます。皆が難しい難しいと言っているのは、表面的な勉強だけで終わっていて、難しい問題に思考が慣れていないから難しいのです。

この記事「2015年度の入試が難化したとか騒がれていますが、そんなに難しいですか?<理科編>」でも触れましたが、理科は簡単な問題ができて満足していては絶対にダメです。算数の計算ができるからと、文章問題までできると勘違いしているような小学生と同じと言ったら分かりやすいでしょうか。

今の入試の理科に対応できるようにするためには、必ず難しい問題まで解きましょう。全国入試問題集の47都道府県+中堅どころの私立高校を解いておくと、今の神奈川の理科の難易度レベルの問題を嫌ほど解くことになります。もちろん47都道府県を制覇するのは大変です。大変だから、ほとんどの受験生はやりたがらないでしょう。大手塾に通っている子でも、47都道府県制覇している人なんてほとんどいません。だからこそ、理科で差を付けられるのです。

トップ校合格のための勝ちパターン

トップ校合格のためには、英国でとにかく点数を稼ぎまくり(国語が苦手な子は英社でも良い)、理科で他の人よりぶっちぎる。数学は、いくら数学が得意な子でも本番でしくじることがあるので、平均点レベルを目指す。

これで勝てます。間違いなく勝てます。