義務教育こそ英文法を教えるべきだろうという意見。

2012年9月8日

学校の英数国理社の5教科の成績は抜群でも、いざ蓋を開けてみると英語が全くできないという生徒は少なくない。特に塾に通っていない中学生の英文法は、ほとんどの場合壊滅している。be動詞と一般動詞の肯定文・否定文・疑問文の区別すらつかなかったり、時制の概念が抜け落ちていたり、3人称単数現在のSや冠詞ってナンデスカってほど、英文法を全くと言っていいほど理解していない。

その理由は明白で、今の中学英語ではコミュニケーション英語や教科書の和訳を重視し、英文法を体系的に教え込まないのが原因だ。私が中学生の頃、学校の英語の授業と言えば英文法オンリーと言っていいほど、品詞の区別や冠詞の使い方から5文型まで徹底的に叩き込まれた記憶はあるが、今は「文法を教えるから英語が嫌いになる生徒が増える」という理由で、極力英文法を避けたコミュニケーション重視の指導要領になっている。要は、「英文法なんてつまらないことをやるんじゃなくて、皆で楽しくコミュニケーションしましょう!ほら、こんなに英語って楽しいでしょ!?」というお花畑教育が行われているのが、今の中学英語の実態だ。

コミュニケーション英語なんて言うと聞こえは良いが、要するに「パターンで覚えましょう!」という暗記英語に過ぎない。「こういう場面の時は、こういう言い回しをする」というパターンを、個々にひたすら覚えていく。教えられたことをキチンと暗記していけば、挨拶や簡単な会話くらいは少しはできるようになるかもしれないが、これだけで中身のある英文が書けたり、色々な場面でも通用する会話ができるようになるとは到底思えない。「英語は暗記科目だ」と思い込んでしまっている中学生が多いのも、「コミュニケーション英語」という耳障りの良い名目のもとに行われている暗記英語の大きな弊害の一つだ。

英語を母国語としない人間にとって、英語を習得するための最も効率的な方法は英語のルールを学ぶことである。英語のルールとは紛れもなく英文法。英語のルールを理解し、ルールを利用することで、無限の英文を作ることができるのだ。いちいち英語のフレーズを暗記するだけでは、暗記したこと以上の英文は作ることはできない。

また、英語のルールを学ぶことで、日本語と英語の言語の違いからその国の文化の違いを知ることができる。日本語にはない感覚の冠詞のaやtheの区別や複数形だとか、三人称単数だとかの英語独特のルールを学ぶことで、英語を母国語とする人たちは何を気にするのか、どんな思考をするのかの一端を感じ取ることができ、それが英語圏の文化を理解することに繋がるのではないか。この異文化理解は、将来中学生が本当にグローバルで活躍する際には必ず役に立つことだ。

中学校は義務教育だからこそ、英文法を徹底的にやるべきだ。昔のように英文法を徹底的に叩き込み、英語のルールから英語圏の人の文化や思考法までをしっかりと教えることで、中学生の可能性が無限に広がる。コミュニケーション英語がやりたい人は、それこそ英会話にでも通えばいい。