中3生に頼まれた本を探しに今日の午前中に本屋さんに行ったら、平田オリザの「幕が上がる (講談社文庫)」
が平積みされてありました。なんでも、ももクロの5人主演によって映画化されたみたいですね。
ももクロのメンバーの名前を誰一人として知らないレベルの私ですが、何気なく平積みされていた本を一冊手に取ってページをパラパラと捲ってみると、どこかで読んだことのあるシチュエーションと、どこかで見たような本の題名・・・。そうです。思い出しました。「幕が上がる」は、去年の2014年度の神奈川県の国語の入試で出題された物語文(問3)の出典図書です。ちなみにこの「幕が上がる」は、神奈川県だけでなく、同じ年に和歌山県や私立の北鎌倉女子学園の入試問題でも使用されたそうです。そういう意味では、この本は今の高1生に最も多く読まれている本と言えるかもしれません。
入試本番では問題を解くのに必死で、小説の文章まで楽しむ余裕なんてないかもしれませんが、入試問題で出題される出典図書って、実は面白い本や役に立つ本が多いのです。中学受験の世界では、入試に頻繁に出題される出典図書を読んでおくのは常識とされているのですが、高校受験ではあまりそういうことは言われません。でも、高校受験においても、出典図書は読まないよりも読んでおいた方が断然良いと思います。出典図書を読むことで、実際の入試問題で扱われる文章のレベルが分かり、かつそのレベルに慣れることができるからです。
ということで、神奈川県の公立高校入試で、新入試制度になってからの過去3年間に出題された出典図書をまとめてみたいと思います。
過去3年間の入試国語出典図書まとめ
小説
論説
・「いまを生きるための教室 死を想え」養老孟司他(2013年度 問4)
国語ができる子は読書家が多いという事実
国語ができる子は本が好きな子が多いです。昨日のエントリーで、2015年の入試の国語の塾生平均点が96点と報告しました。もちろん、2015年度の国語の問題が簡単だったということもありますが、公立を受験した塾生は全員かなりの本好きで、普段から相当な冊数の本を読んでいたことが、これだけの高得点の要因の一つになったように思います。ちなみに受験が終わって時間に余裕がある今も、皆読書に没頭しているようです(事実、そのうちの1人に頼まれて、オススメの本を6冊買いに行ったくらいです)。
読書家が全員国語ができるということはありませんが、それでも国語ができる子は読書家であることは多いのは事実です。逆に、普段全く本を読まない子で、国語ができる子をほとんど見たことがありません。このブログでもインプットとアウトプットの重要性を常々書いていますが、国語でも同じことが言えます。本を読むということは、すなわち様々な文体や文章、語彙の使われ方や情報をインプットしていることになります。インプットの量が少ないのに、上手にアウトプットできる子は一部の天才くらいです。
英語に例えると分かりやすいと思います。入試英語の長文読解を得意にするためには、英文の「多読」が必要不可欠です。多読によって多くの正しい英文に触れている(=インプット)と、文法の力も英作文の力(=アウトプット)も比例して向上していきます。
春は時間があるのだから、本でも読んでおけ
学生にとって、春は一年のうちで一番時間の余裕がある時期だと思います。定期テストも終わったし、春休みは部活動の試合もそれほどたて込まない。どうせ暇しているのであれば、スマホばかりいじっていないで、本でも読みましょう。毎日スマホを2時間いじるより、毎日2時間本を読んだ方が確実に人生が豊かになり、国語の力だってついていきます。そういう意味では、スマホは人生をムダに消費してしまう道具でしかないです。
どうせだったら上で紹介した出典図書を読んでみましょう。2014年度の出典図書である、ももクロ主演映画の「幕が上がる」が最も読みやすいかもしれません。「入試にはこんな文章が出題されるのか」ということが分かり、入試問題がぐっと身近に感じられるでしょう。