以前、プロの塾講師が選ぶ、マジで子どもに通わせたいおすすめ個人経営塾7選でも紹介した、西東京市にある進学塾キャラベルのブログの「自分たちのサッカーを目指して負ける日本代表と自分のペースで勉強して点数を落とす中学生」が非常に興味深いので紹介してみたい。
「自分たちのサッカー」とは大変耳障りの良い言葉で、そもそも世界の舞台では「自分たちのサッカー」など出来ない方が多いからこそ問題なのに、それを無視しているからマズいのです。
世界各国の代表チームのどこもが「自分たちのサッカー」を目指したら、その中で実力的に劣る日本代表が「自分たちのサッカー」を達成出来る可能性は相対的に低くなります。つまり、「自分たちのサッカー」を成立させるためには、1つの大前提があって、それは「実力的に相手よりも勝(まさ)っている」ということです。実力不足のチームが「自分たちのサッカー」といくら言っても、本番では実現できない可能性の方が遙かに高く、結果手も足も出ずに玉砕してしまうことがほとんどです。
サッカーにあまり詳しくない私が言うのもなんだが、インタビューで選手達が「自分たちのサッカーができなかった」ことを敗因として答えているのを聞いて、いつも違和感を感じていた。
「自分たちのスタイル」を貫くことは否定しない。しかし、「自分たち」の向こうには必ず「相手」が存在することを理解しなけいけない。キャラベルのブログの言葉を借りるならば、
「自分たちのサッカー」という台詞は、「相手がいる」という視点が欠けており、客観的に自分たちの実力を見ることからも目を背けているように感じます。
ということだ。
「自分たちの○○」にこだわるのは、何もサッカーだけでなく日本の古い企業にも通じる部分である。自分達の強みを押し出して商品開発をしたのはいいが、商売の「相手」であるエンドユーザー、つまり顧客視点に立てていなかったため、高性能であるにも関わらず魅力のない製品を世の中に大量排出してきた結果、日本企業の低迷が続いた。一時家電メーカーが力を入れて宣伝しまくった結果、失敗に終わった3Dテレビなんかが良い例である。
キャラベルのブログにもあるように、これはサッカー、企業だけでなく、勉強にもあてはまる。結果が出ていないのにもかかわらず「オレの、私の勉強法」を貫き続けている人がいかに多いことか。もしこれが受験生ならば、ザックジャパンのようにここ一番で全敗してしまう前に、「自分たちの勉強法」にこだわり続けることが危険だということに気付いて欲しいと思う。
自分たちの強みを最大限に発揮するためには、まず「相手」を分析しなければいけない。相手の特徴を分析した上で、自分たちの強みをどう生かすかを考えていく。これが勉強ならば、自分の向こう側にいる「相手」とは定期テストや入試のことになる。必ず「相手」を意識し、「相手のレベル」で戦えるような戦法を考える。相手のレベル、つまり定期テストや入試のレベルに対して「自分たちの勉強法」でレベルが追い付いていけないのならば、そんな陳腐な勉強法に固執してはいけない。自分の勉強法を、相手に通用するような勉強に変えることが必要だ。その上で、自分の強みを生かした戦い方、例えば苦手な科目の失点を得意な科目で補うなどということを考えていく。それこそが、相手を意識した自分のスタイルの貫き方なのだ。
中学生が「自分のペース」を追求すると、今回の日本代表のようになってしまうことがほとんどです。正直言って、ろくなことがありません。
自分たちの強みをどう生かすかは「相手次第」であり、相手を意識した戦い方こそが必要だということをサッカーでも勉強でも忘れてはいけない。