そろそろ「勉強法」という科目を追加した方が良いのではという提案

2014年5月7日

久しぶりに塾の日常についてを書こう。
昨日今日とゴールデンウィーク中の宿題の仕方がマズい生徒が目立ったので、立腹しながらもう一度勉強の仕方を確認した。
宿題

「問題集を解く→答え合わせをする→間違えた問題をやり直しながら、間違えた原因を考える→理解が薄くて間違えた部分を復習する」

これがうちの塾で中学生に徹底的に指導している勉強の仕方だが、別にうちの塾だけの特別なやり方だとは思わない。定期テスト・高校受験・大学受験・検定試験などのどんな勉強にも通用する、まさに王道で当たり前の勉強法だ。しかし、このような正しい勉強法できちんと勉強している中学生は、実はほんのわずかしかいない。今までどこの塾にも通っていなかったり、他の塾に通っていた生徒がうちの塾に入塾してきたとき、すでに正しい勉強法が身に付いている生徒なんてほとんどいないのが現実だ。

学校教育はおろか、勉強を習う場所であるはずの学習塾でも、正しい勉強の仕方はほとんど教えられていないように思う。「○○中学に完全対応!定期テスト対策授業」や「これで合格!英検対策授業」など、最近の塾のサービスはどんどん子どもに手厚くなってきているが、手厚いサービスを提供すればするほど、皮肉にも子どもは「正しい勉強法」を学ぶ機会を失ってしまう。教科ごとの知識が効率的に与えられ、本来は子ども自身が自分で考えるべき対策法まで考えてもらえる。とても効率的に手っ取り早く勉強ができる一方で、なぜこれを学び、なぜこの問題集を解き、どう勉強するかということはほとんど教えてもらえない。

「学校で学ぶ勉強なんて、社会に出ればほとんど役には立たない」と多くの人が言う。たしかに、方程式が解けなくても、江戸幕府が何年に作られたかなんて知らなくても、何不自由なく日常生活が送れるわけで、そういう意味では学校で学ぶ勉強は役に立たないのかもしれない。しかし、勉強の“内容”そのものは役に立たなくても、新しいことをいかに学ぶかという勉強の“プロセス”は社会で最も必要とされることの一つだ。

先ほどの
「問題集を解く→答え合わせをする→間違えた問題をやり直しながら、間違えた原因を考える→理解が薄くて間違えた部分を復習する」を言い換えれば、
「実践する→成果をチェックする→検証する→成果の出ていない事象を改善する」
ということになる。ここに自分で勉強計画を立てるということを最初に付け加えれば、まさに事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法のPDCAサイクルそのものだ。

・・・もうそろそろ「勉強法」という科目を作った方がいいのではないか。人により勉強の仕方は様々だということは百も承知だが、勉強のプロセスを学ぶことは、英数国理社の知識を理解するよりもはるかに子どもの未来に重要なことに思えてならない。

また、塾業界全体への提案だが、子どもに対しての手厚すぎるサービスをそろそろやめにしませんか。手厚いサービスは即効性があり、効率よく生徒の成績を上げることができるのは分かるが、子どもが自分で試行錯誤する機会を奪っていることになる。老子の言葉にもあるように、「魚を与えるのではなく、魚のつり方を教える」教育こそ、今の日本の子どもに最も必要なことだと思うのですが。