塾講師が、この子は伸びると確信するときの3つの条件

2012年7月24日

塾で生徒を教えていると、「この子は爆発的に伸びるだろうな」と思う子と、「この子はあんまり伸びないだろうな」と思う子がいる。あんまり伸びないだろうなって思う子でも、塾は成績を上げることが商売ですから、いろんな手法を使って「それなりに」は伸ばせるのだけれども、やっぱり早いうちに限界が来てしまうのは確か。

塾講師が「この子は伸びる」と確信するのための条件は3つある。今日はそのことについてのエントリー。

1.ポテンシャルが高いこと

ポテンシャルが高いは必ずしも現在の成績が良いということとイコールにはならない。今現在の学校の成績が悪くても、ポテンシャルが高い子ならば確実に伸びる。逆に、現在の学校の成績が良くても、ポテンシャルが低い子ならば伸びしろは期待できない。適切ではないかもしれないけれど、ポテンシャルをパソコンに例えたら分かりやすい。

自分もあまりパソコンに詳しい方ではないということを前置きしておいて・・・。パソコンの性能を測るには、CPUのコア数やHDDの要領なんかが大きく関わってくる。人のポテンシャルもこれと同じで、パソコンのCPUにあたる部分が「地頭」とか「頭の回転」とかと言われる部分にあたり、HDDの要領が「記憶力」にあたる。同じことを同じように教えても、人によって理解度や定着具合が異なるのは、パソコンのスペックに違いがあるのと同様に、人のポテンシャルにも違いがあるからである。

ポテンシャルは高いけれど成績が良くないっていう子は、高性能なパソコンを持っているけれど、メモリーがほとんど空っぽだという状態。こういう子は、HDDにガンガン知識を詰め込んでいけばすぐに成績は上がる。逆に、成績は高いけれどポテンシャルが低い子は、すでにHDDの中に空き容量がほとんどないくらいに知識が詰め込まれている。印象では、小さい頃からずーっと塾漬けの日々を送ってきたにも関わらず、成績が伸びなくて転塾してくる場合、こういうパターンの子が多い。

2.学ぶことが好きだということ

「勉強が大好き」って豪語する子どもはほとんどいない。子どもは大概にして勉強が嫌いなのだが、実は嫌いの中にも2種類あって、知識を吸収することに喜びを感じられる子と感じられない子がいるということ。例えば、勉強することは嫌いだけれども、色んなことに興味津々で、何かと物知りな子というのは、実は学ぶことに喜びを感じられるタイプ。勉強は嫌いなんだけれど、パズルやクイズなんかにはムキになって解けるまで取り組む子も同じ。こういう子は伸びやすい。逆に、学ぶこと自体に喜びを感じられない子にとっては、勉強は拷問とほぼ同じこと。苦しみに耐えるので精一杯で、なかなか成績が上がるまではいかない。

3.努力ができること

いくらポテンシャルが高くても、いくら学ぶことが好きでも、ポテンシャルだけで何でも乗り切ることができるくらいずば抜けて優秀な人は少ない。1の条件で、人の能力をパソコンに例えたけれども、人とパソコンとで違うことは、人がいくら優れた能力を持っていても、優れた性能を余すところなく使いこなすには相応な努力を必要とするってこと。また、その努力次第では、HDDやCPUのスペックを上げることも可能だってこと。

よく「うちの子はやればできると思うんです」という保護者の方がいらっしゃるのが、やればできる能力をもっていても、その能力を使いこなせる努力ができないのなら、それは能力をもっていないのと同じ。そういう意味では、努力だって大切なポテンシャルの一つです。

 塾に新しい子が来たときは、この3つの能力に注目して見ている。自分くらいのスキルだと、だいたい2週間くらいあればその子が塾で伸びる子かどうかが分かる。だから、うちの塾の体験授業は2週間としています。

ちなみに、1〜3のうち一番ないとキツいのは、実は2の条件だったりする。1や3は、私に預けてくれれば何とかしてみせるんだけれど、2の条件がないと何やってもまさに「暖簾に腕押し」状態になってしまうから。