「中学から高校まで6年間、大学まで入れると10年間近く学校で毎日のように英語を学習しているのに、英語がちっとも話せるようにならない。だから日本の英語教育は間違っている!」という批判はよく耳にする。こういう超短絡的すぎる英語教育批判に対して、実は言いたいことはいーーーーーっぱいあるのだけれど(じゃあどういう教育が間違っていないのかとかね)、今日はそもそも日本人って本当に英語ができない民族なのかを考えてみることにする。
「日本人は英語ができない」と批判している人は、TOEICの日本の国際的なスコアが諸外国と比べるととても低いことを根拠にしていることが多い。ということで、実際にTOEICのスコアの国際的な比較を見てみました。ちょっと資料は古くなるけれど、ココに2005年の国際比較データがありました(全部英語なので英語ができない人は開かない方がいいです)。
このデータを表にしてみたが、なるほど、日本は27ヵ国中の下から3番目の25位で、お世辞にも褒められた順位とは言えない。何かとライバルになっているお隣韓国は平均スコアが535で順位が22位で、日本が完敗状態。こうやって比べてみると、日本のスコアの低さが際立って見える。なるほどなるほど。これでは日本人は英語ができないって批判されてもしかたないわな。
・・・って、そんなことは全くありませんから!!
いいですか?順位だけを見れば、確かに日本人の得点はびっくりするほど低い。だから、順位だけを見てる人は、短絡的にこのデータを持ち出して日本人が英語ができない民族だというレッテルを貼りたがる。
でもね、表の受検者数に注目しましょう。日本の受検者数は821,510人ですよ!?これは各国中ダントツのトップ!受検者数が2位の韓国に対してだって5倍以上の差をつけている。1位のドイツでもたった3,000人レベルの受検者だし6位のスペインにいたってはたった515人!日本の受検者、スペインのなんと1595倍!これで、日本のスコアが低いって言われてもねぇ・・・。
諸外国では、仕事や留学なんかでTOEICのスコアが本当に必要な人しかTOEICを受験しない。つまり、本当に英語ができる一部の優秀な人しかTOEICを受けていないということ。それに比べ、日本は仕事で必要に迫られていなくても、留学なんかする予定がなくても、「いっちょ腕試しにTOEICでも受けてみるか」ってな感じで老若男女が広く受験している。つまり、諸外国と日本とでは、TOEICの母体数がそもそも違うということ。だから、受検者数を全く考慮することなく、順位だけのデータをもとに「これだから日本人は・・・」と批判するのがそもそもの間違いということだ。
日本人は英語ができないどころか、本当は世界でも稀に見ぬほど、幅広い世代が英語に慣れ親しみ、熱心に英語を学習する民族だということである。日本人が英語を上手く話せないのだって、学校教育だけでたった10年英語を勉強したくらいで、ネイティブ並みに話せるようにならないのは当たり前なことでは?もっと言うと、ネイティブ並みに話せることイコール英語ができるということでもないと思うのですが。
学生時代に留学経験がある自分からみても、日本人は英語ができない民族だとはコレっぽっちも思っていない。それどころか日本人の英語レベルは、世界でも誇れるほど優秀だとも思っている。これについては、またいつか詳しく書こうと思います。