意外と知らない私立併願入試制度をズバッと解説2024

公立高校・私立高校ともに、文化祭や体育祭が始まったり、学校説明会のスケジュールが発表される時期になりました。そろそろ志望校を意識し始める中3生も多くなる頃だろうと思います。

この時期、公立高校の志望校は何となく決まっているけれど、併願私立はどこを選んでいいのか分からないという相談を多く受けます。そもそも、併願私立の選び方以前に、併願私立の入試制度をよくわかっていない人も少なくありません。

そこで今回は、神奈川県の併願私立校の入試システムについて、学校の選び方を含めて解説してみようと思います。これからの志望校選びに、是非お役立てください。

併願私立校の入試システム

これから解説する私立高校の併願入試とは、公立高校など別の高校を第一志望にしている生徒が、おさえとして受験するものです。私立高校の専願入試や推薦入試の制度は、併願入試とは少し異なるので、今回は併願入試に的を絞ってお話しします。

まず、神奈川県内の私立高校の一般入試は、大きく分けて2つの制度が存在することをおさえておきましょう。

  • 併願確約
  • オープン入試

1.併願確約

まずは併願確約を利用した制度で、各高校が定める「出願資格(打診基準)」の内申点を満たしていれば、基本的に不合格になることはないという制度です。神奈川県内の場合、上位校を除く多くの高校がこの制度を利用しています。

例えば、2024年度入試の山手学院の進学コースの場合、下記の①〜③のいずれかを満たせば、合格がほぼ確約されます。

2024年山手学院進学コース打診値

①130/135(2年生9教科45+3年生9教科45×2)
②49/50(2年生5教科25+3年生5教科25)
③44/45(3年生9教科)または25/25(3年生5教科)
上記①〜③のいずれかを満たすこと

逆に言うと、これらの打診値に1ポイントでも足りない場合、併願確約での合格はほぼなくなりますので、志望校を変更するか、どうしてもその私立にこだわる場合はオープン入試での受験をするかどちらかになります。

この出願資格(打診基準)は、高校側がホームページなどで公表している場合と非公表の場合がありますが、公表されていない場合でも基本的には学校説明会にいけば教えてくれます。学校説明会に行く前に打診基準が知りたいという場合、カナガクのサイトで各高校の打診基準がまとめれています。(カナガクは情報源として信頼できるサイトなので、受験生の方はブックマークしておくことをお勧めします)

神奈川県公立高校入試など、県内の教育・受験に関連した情報等を発信します。
kanagaku.com

併願確約制度を利用したものの中には、筆記試験を課さない「書類選考」と、筆記試験を課す一般入試がありますが、筆記試験を課すものであっても、内申点の打診基準を満たしていれば、基本的に不合格になることはありません

ただ、法政国際や法政第二、中央大学附属横浜、日本女子大学附属の場合、打診基準において一定の内申点を定めず、実際に出願した受検生によって合格となる内申基準が変わるので注意が必要です。

2.オープン入試

オープン入試は、内申点などの出願資格がなく、入試当日の筆記試験の点数次第で合否が決まる入試のことです。公立高校はもちろん、他の国私立高校とも併願が可能です。

多くの高校でオープン入試が採用されていますが、一部、オープン入試を実施していない私立高校もあります。

オープン入試の採用がなかった私立高校(2024)

向上、湘南学院、相洋、立花学園、平塚学園

オープン入試は併願確約と異なり、当日の筆記試験で点数がとれなければ不合格になってしまいます。高校にもよりますが、一般的にオープン入試の難易度は併願確約入試よりも格段と上がります。ですが、過去問等できちんと準備をすれば合格できる可能性も十分ありますので、希望する高校の併願確約に内申点が足りない場合、オープン入試にチャレンジするのも一つの選択肢だと思います。

ただ、確実に合格するという保証のないオープン入試を併願入試として選択するのであれば、もう一つ、併願確約で確実に合格できる併願私立とのダブル受験をすることをおすすめします。併願確約がなく、オープン入試の制度のみの難関私立高校(慶應義塾、桐光学園など)にチャレンジする場合も同じです。

英検などの資格があると有利

現在の神奈川県の県立入試制度では、英検などの各種検定が評価されたり、生徒会やクラブ活動の部長などの役職やクラブ活動の実績が評価されることはありません。しかし、私立入試では、各種検定や役職、クラブ活動の実績が評価され、併願確約の基準内申点が優遇される場合があります。

例えば先ほど例を挙げた山手学院では、上で述べた①〜③の基準内申点の他に、英検または数検取得者の優遇内申点が存在します。

2024年山手学院進学コース打診値

◎英検または数検準2級取得の場合
①128/135(2年生9教科45+3年生9教科45×2)
②48/50(2年生5教科25+3年生5教科25)
③42/45(3年生9教科)または24/25(3年生5教科)
上記①〜③のいずれかを満たすこと

◎英検または数検2級取得の場合
①126/135(2年生9教科45+3年生9教科45×2)
②47/50(2年生5教科25+3年生5教科25)
③40/45(3年生9教科)または23/25(3年生5教科)
上記①〜③のいずれかを満たすこと

特に検定類は多くの私立高校で加点されますので、中3の時点で何が1つ準2級以上を持っておくことをおすすめします。

併願私立高校の選び方

入試システムを把握したところで、次は併願私立高校の選び方についてです。神奈川県の併願可能な私立高校には、大きく次の3つのパターンに分けられます。

まずはこの3パターンの中から自分に合うカテゴリーを考え、その中から細かく学校を決めていくという方法を塾生にはお勧めしています。

1.大学附属系

法政大学附属、中央大学附属、日本大学附属、東海大学附属、日本女子大学附属、麻布大学附属、湘南工科大学附属などの大学附属の私立高校です。

やはり最大のメリットとしては、併設大へ内部進学しやすいことです。その他にも、高校と大学で連携したカリキュラムが存在し、高校生でも大学での特別授業が受けられたり、中には大学の単位を先取りして取得できる学校もあります。

一方デメリットとしては、併設大に縛られやすいことが挙げられます。併設大に希望する学部がない場合、もしくは希望する学部の推薦をとれなかった場合、他大学を受験する必要があります。特に他大学の一般受験を目指す場合、そのようなカリキュラムになっていないことが多いので、不利になってしまう可能性があります。

2.地域の私立高校

自宅の近くにある、地域に根差した私立高校です。弊塾がある小田原市の場合、相洋、平塚学園、立花学園、向上高校などが挙げられます。

メリットは近いこと。通学に負担がかからないので、その分勉強や部活に時間を回すことができます。また、このような地域に根差した私立高校では、ほとんどの場合たくさんのコースに分かれているので、自分の学力や内申点に見合ったコースが見つかりやすいのもメリットの1つと言えます。

一方でデメリットとしては、コースに縛られてしまうということです。例えば特進コースを選んだ場合、部活動に制限がかかったり、進路選択時に指定校推薦が受けられなかったりする場合があるので注意が必要です。

3.上位私立進学校

もう一つは、上位私立進学校です。山手学院、桐蔭学園、鎌倉学園、桐光学園などです。

メリットは、県内各地から一定以上のレベルの生徒が集まっていることです。ほとんどが公立トップ校の併願校となるため、公立トップ校と同等レベルの生徒が集まります。地域の私立高校と比べて進学にも力を入れており、国公立や難関私立大の進学実績も豊富で、公立トップ校に比べても遜色ありません。

デメリットは、小田原市内から通うとなるとどこも遠いということ。また、上位私立進学校と言ってもやはり国公立大や難関私立大に進学するには高校だけでは難しく、塾や予備校が必要になります。私立高校とと塾や予備校の両方を考えると、やはり費用かかってしまいます。

主な公立高校の主要併願私立校一覧

最後に、弊塾塾生が主に志望する公立高校の主要併願私立校一覧をまとめておきます。

1. 湘南高校

山手学院(進学・特別進学)、桐蔭学園(プログレス)、中央大附横浜、鎌倉学園、桐光学園

2. 厚木高校

桐蔭学園(プログレス)、桐光学園、桐蔭学園(アドバンス)、山手学院(進学)、横浜隼人(特別進学)、向上(進学)、桜美林(国公立)

3. 小田原高校

相洋(特進)、平塚学園(特進選抜)、向上(特進)、山手学院(進学)、日大藤沢(特進・総合進学)

4. 平塚江南高校

平塚学園(特進・特進選抜)、向上(特進)、日大藤沢(総合進学)、平塚学園(進学)、日大藤沢(特進)、鎌倉学園

5. 秦野高校

向上(特進・選抜)、相洋(特進)、平塚学園(特進)、立花学園(特進)、平塚学園(進学)、相洋(選抜)

以上、併願私立高校選択の指針として、お役に立てれば幸いです。