高得点をとる子の問題用紙ほど汚く、点数が悪い子の問題用紙ほどきれいな件。

2015年1月14日

問題用紙が汚れている子ほど点数が良い。逆に問題用紙がきれいなままの子ほど点数が悪い。

最近中3生によく言っていることだ。受験まであと約1ヶ月となった今、中3生は全国入試問題や入試模試などの実践的な問題演習を行っているが、問題を解き終わった時の問題用紙の汚れ加減を見るだけで、解答用紙を採点しなくてもその子のテストの出来具合がだいたい読み取れる。

問題文に線やマークがついていたり、選択問題に消去法で考えた後の痕跡が残っていたり、図やメモが残っていたりと、テスト後の問題用紙が自分のマークや線などで汚れている子ほど、テストの点数は良い。逆に、問題に全く線が引かれていなかったり、選択問題ですら考えた後の痕跡が残っていなかったりする子ほど、テストの点数は悪い。

なぜそんなことが起こるのか。今回は、なぜ問題文に線を引きながら読むべきなのか、その理由を書いてみたい。

問題文に線を引きながら読むのがなぜ効果的か

テストの問題を読むときは、どんな科目でも問題文に線を引きながら読んでいこう。国語や英語の読解問題は、本文の重要となる箇所や問題の答えの根拠となる箇所に線を引きながら読んでいくのは鉄則中の鉄則だが、国語や英語以外の科目でも、問題文を読むときに重要となるところ、気をつけなければいけないところに線を引きながら問題文を読むことが大切。

試験とは作問者と解答者との対話である

よく言われるのが、「どんな試験でも、試験は作問者と解答者との対話である」ということ。

入試であろうが定期テストであろうが資格試験であろうが、試験と名のつく問題には、必ず1通りの解答が用意されていて、解答者が試験問題を読んで、必ずその1通りの解答に辿り着けるように作られている。作問者は答えまでの誘導を問題文の中でしか解答者に伝えることができないため、問題文の中には解答者がきちんと解答に辿り着けるように必要な情報が書かれている。つまり、試験における問題文とは、ただの作問者からの出題だけでなく、その問題を解くための情報源そのものなのだ。そのため、問題文に書かれている1つのキーワードも見逃してはいけない。

そこで、作問者からのメッセージを1つたりとも漏らすことなく問題文から拾い集めるため、全神経を集中させて作問者の声を聞かなければいけない。大切なところに線を引きながら問題文を読むということは、ただの文字の羅列の中から「なにが重要なのか」「どこかにヒントに隠れてはいないか」と探し出そうとする意識がはたらく。意識的に問題を読まずにただ問題文の文字の字面を目で追っているだけでは、重要なメッセージは全く頭に入ってこない。これは、テレビをつけていてもそこに意識が向いていないと、全く話が頭に入ってこないと同じことだ。

つまり、文字の羅列の中からその問題を解く鍵を見つけ出すのに全意識を集中させるために、問題文に線を引きながら読むのだ。

指示を正しく把握する

「〜について答えなさい」「〜を50字以内で説明しなさい」「あてはまるものを記号で選びなさい」など、試験とは作問者からの指示のオンパレードである。作問者から何らかの指示がなければ、解答者はどうすることもできない。つまり、問題を解くということは、まず何を指示されているかを正確に理解するということから始まるのだ。

この指示を甘く考えている人が多すぎる。たとえば「あてはまらないものを選べ」と指示されているのにあてはまるものを選んだり、「2つ選びなさい」と書いてあるのに1つしか選んでなかったり、「漢字で書きなさい」とあるのにひらがなで答えたりという「指示の把握ミス」をしてしまう人が多い。これは、最初はきちんと指示を読んではいるが、問題を解くことに夢中になり、ようやく問題が解けて解答するときにはスッカリ指示を忘れてしまうというケースでよく起こる。特に、問題を読んでから解答を考える時間が長ければ長いほど、こういうミスをする。

問題は指示なくては始まらないということを肝に命じ、全ての問題で指示に線を引く癖をつけよう。そして、解答用紙に解答を書く前に、もう一度線を引いた指示の箇所をチェックすることにより、こうしたミスは劇的に減らすことができる。

重要な数値、仮定、条件を見逃さない

理科・数学の問題や、社会の資料読み取りの問題など、問題文に登場する数値、仮定、条件にチェックを入れ、見落とさないように、また必要なときにすぐに目につくようにしておこう。試験問題に数値や仮定、条件が登場するのは、それらが問題を解く上で必要になってくるから書いてあるのであり、意味のない数字は少ない。つまり、数値1つ見逃してしまうだけで問題が解けなくなる。数値は全て丸で囲むことで、見逃しを防ぎ、また目立たせることで必要なときにすぐに目に入るようにすることができて時間の短縮にもなる。

メモをしたり図や絵に表してみる

問題文に線を引く他にも、問題文から読み取ったことを図や箇条書きのメモに書き起こすことも大切だ。というのも、入試問題の問題文はやたら長い。国語や英語ならともかく、数学や理科など本来あまりことばを使わないはずの科目でも、やたらと問題文が長い。ヒドい場合だと、問題文だけで1ページが埋め尽くされている。

長い文章をかみ砕くために必要なのは、文章の情報をビジュアル化してみることだ。たとえば2014年度の神奈川県数学の連立方程式の文章題は、問題文が非常に長く、文章を読んでいるだけでは何が何やらサッパリ分からなかったハズだ。ところが、図に書起してビジュアル化してみれば、意外と簡単に解けたハズ。

図やメモ書きを書くという作業も、問題文を深く読み込み、作問者が言いたいことを根こそぎ把握しなければできないことだ。つまり、問題文に線やチェックをするのと同様に、ビジュアル化するときも、文字の羅列の中からその問題を解く鍵を見つけ出すのに全意識を集中させているというワケだ。

まとめ

うちの塾生を見ていても、入試模試や定期テストで高得点を取っている子の問題用紙は、いつもメモや図、線やマークでいっぱいになっている。もし、その子たちに「問題用紙に何も書いてはいけない」という指示を与えてテストをさせてみたとしたら、きっと普段と同じような高得点は取れないハズだ。

一方で、いくら問題文にチェックを入れろ、線を引きながら読めと注意しても、いつも問題用紙をきれいなままにしてしまう生徒もいる。もちろん、指示の読み間違いや、ケアレスミスが多く、問題文を深く理解していないために点数が悪い。そういう問題の読み方をしている限り、作問者のメッセージを問題文を通じて理解することができず、どんなに頭が良くてもいくらよく暗記をしていても高得点を取れることはない。

入試本番だけでなく、普段どんな問題を解くときでも問題文に線やマークをつけながら読むことを癖づけておくと、イージーなミスは確実に減っていき、字面を追っているだけで問題が頭に入らない現象も改善されていくだろう。是非今日からでも実践してみて欲しい。