数学はヒラメキ力じゃない。数学が苦手な人に贈る勉強法。

2014年6月26日

ワールドカップの日本戦も終わったことだし、そろそろ受験の話でもしようか。
先日、夏から受験勉強始めようでは遅すぎる。受験生が夏前にやるべきこと。で、高校受験生がこれからやるべきことを超ざっくり書いておいたが、今日は「数学」に特化した勉強の仕方を書いてみたい。特に、数学に苦手意識がある人に読んでもらいたいと思う。

※過去記事も参考にどうぞ:「数学ができないと嘆く人へ。数学は経験値で決まる。

受験数学は暗記科目

数学が苦手な人がよく口にするのは、「私にはヒラメキがない」ということ。数学が苦手な人は、突然解法がパッと頭にひらめくような、何か天性の才能のようなものが数学には必要だと思っている。「数学=ヒラメキ」と考えている限り、数学に対する苦手意識はなくならない。
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ハッキリと言おう。高校入試レベルの数学に、天性の才能などほとんど必要がない。受験数学に必要なのはヒラメキではなく、むしろ暗記だ。もちろん、一部の国私立超難関校の入試問題には、ヒラメキというか才能が必要な問題も一部含まれていることがある。ただ、それでもごく一部の話だ。普通に難しいレベルの問題なら、暗記数学で誰もが解けるようになっている。問題を作問する側にとっても、才能が必要なレベルの問題というのはなかなか作りづらいのが現実だ。

解法パターン習得

では、どのように数学を「暗記」すればいいのだろうか。数学を暗記すると言えば、公式なんかを暗記して終わりという人もよく見かけるが、公式を暗記したくらいでほとんどの問題が解けるような人は、それこそ一部の才能がある人だけだ。
公式を暗記するのは絶対的に必要だが、数学に必要なのは公式暗記よりもむしろ「解法パターンの習得」。標準問題の解法パターンを徹底的に暗記し、標準問題の類題を同じ解法で自分で解けるようにする。それを繰り返していくと、解法パターンのストック量が増えていき、問題を読んだ瞬間に「ああ、この問題はあのパターンで解けるな」というようになるワケ。

「基本的な問題は解けるけれど、応用問題になるとちょっと・・・」という相談もよく受けるのだが、一見すると難しそうに見える応用問題であっても、標準的な問題の解法パターンをいくつか組み合わせるだけで解けてしまうものが大半なのである。「応用問題が解けない」という人は、標準的な解法パターンがしっかりと身についていないか、どのパターンを組み合せると解けるかが分かっていないかのどちらかだ。前者であれば、解法パターンをとにかく暗記・実践を繰り返していくと良い。後者は、解法パターンがしっかりと身についているという前提であれば、応用問題を数多く解いていきながら、どのパターンとどのパターンの組み合わせで解けるかを意識してひも解いていくことで、パターンの組み合わせ問題に慣れることができる。

解法パターンの定着

数学の解法パターンを習得しても、それが自分の頭の中にしっかりと定着しないと数学の苦手は克服できない。パターンを定着させるためには、繰り返し類題を解いていくことが大切。先ほども書いたが、問題を見た瞬間に、「ああ、これはあのパターンだな」と思えるくらいになるまでには、問題量を定期的に、たくさんこなしていくことが必要だ。
10問テスト
ちなみに私は塾で全ての学年の数学・算数を担当しているが、どの学年でも授業の始めに必ず「10問テスト」というテストをする。このテストをする意図は、塾生に解法パターンの定着をさせるために他ならない。塾生が間違いやすい問題や理解が薄い問題、入試数学や定期テストで出題されやすい典型的な標準問題、パターンの組み合わせが必要な応用問題などを織り交ぜながら、テストを作成している。このテストを毎回の授業で、しかも一人ひとりが全部自力で出来るまで解いていくことで、知らず知らずのうちに解法パターンを定着させているというカラクリだ。

私の10問テストがなくても、標準的な問題集を2〜3回繰り返すことで解法パターンを定着させることが可能。要は、1回問題集を解いただけでは、解法パターンの習得はできても、定着は難しいということ。定着できていないものは、いつか必ず忘れる時がやってくる。そうすると、「あれ、この問題解いたことあるんだけど、何だっけな〜」となってしまうのだ。

それでも計算力は必要

数学は解法パターンの暗記によって克服できるとは言え、確かな計算力があるのが絶対条件。計算力がない人が、解法パターンだけ暗記していても一向に数学ができるようにはならない。トップ校を狙えるような頭の良い子で、解法パターンの暗記くらいできるような優れた暗記力を持った子でも数学が苦手な子のほとんどが、計算力がないということ。高校入試数学であれば、正負の数、一次・二次・連立方程式、平方根、展開因数分解の計算を、分数・小数が混ざったものも含めて滞りなくできないと、数学の苦手からは脱却できない。計算力が弱い人は、まずはこれらの単元の計算練習から始めるとよいだろう。

まとめ

高校受験レベルの数学であれば、解法パターンの習得と定着、プラス確かな計算力で、偏差値65までは余裕でクリアできる。それより上の65以上となると、もしかしたらある程度の「センス」や「国語力」など、数学の勉強以外の要素が必要になるかもしれないが、どれだけ数学が苦手な人でも、努力次第で偏差値65程度までは上げることができるということだ。

これだけ数学についていろいろ語っていて、塾で偉そうに数学を教えている私は、何を隠そう超文系!学生時代、「先生は解法がヒラメくから解けるんだ!オレにはヒラメキがないから無理だ」って本気で思っていました。だからこそ、数学が苦手な子の気持ちは痛いほど分かる。だから、騙されたと思って上記の方法を実践してみて欲しい。受験数学なら努力次第でなんとかなる。