トップ校を目指せるのに2番手以降に甘んじる子ども。このままでいい?

2018年11月30日

質問箱に相談メールが寄せられました。140文字のTwitterでは回答しにくい内容だったので、ブログで取り上げます。

以下が質問内容です。

志望校に関するツイートと「親にできること」の記事をスマホにあながあきそうなほど繰り返し拝読しています。

親の見栄のつもりはなかったのですが、都立トップ校に行けたらいいなあと思ってきました。娘は仕事とそのために行きたい大学がすでにあり、高校受験には興味なし、どこでもそれなりにやっていけるからね、と言ったスタンスで高校見学にも熱心でなく、ムリなく受かりそうな2番手と3番手の間くらいの高校を希望しています。

勉強じたいは嫌いでないしテストで点数をあげていくことにも前向きなので、都立トップ校も圏内に入ってきました。せっかくだからトップ校志望に切り換えては?と勧めてみたのですが、お母さんが勧めるからやだ!と言われてしまいました。志望大学はトップ校からでなくても目指せるのですが、学校の雰囲気は合うと思うし、世界を広げるにはいまの志望校よりもさらによいのではと思うのです。

トップ校には文化祭にも説明会にも行っていないので、このまま現在の志望校を受けることになると思うのですが、私が彼女の選択肢を狭めてしまったのかなあ、トップ校に行け行け言ったつもりもないのになあ、とくよくよしています。熱望校ならもちろん応援するのですが、特に希望がないなら、成績に合わせて志望校を決めたほうがよくはないのか、もちろんトップ校が余裕な訳ではないのですが、あと3か月、ちょっと高いところを目指したほうがよいのではないか。

このままでよいのでしょうか。

質問者である親御さんが悶々とした気持ちを抱くのはとてもよく分かります。もし、お嬢さんがうちの塾の塾生であれば、きっと私も悶々だろうからです。「もっと上を目指せるのにもったいない」「あなたの居場所はその高校じゃない」と思ってしまうのは、私も同じです。

一方で、お嬢さんの勉強に対する姿勢は素晴らしいと思います。多くの中学生は、勉強は「志望校に合格するためにやるもの」だと思っています。だから、推薦入試や自分のレベルよりもかなりランクが低い高校を志望している場合など、確実に入れるとほぼ決定している場合は、ほとんどの中学生は勉強をやめてしまうか、本腰を入れて勉強しなくなります。

でも、お嬢さんの場合は、志望校のランクに関わらずに一生懸命勉強し、トップ校を狙えるようにもなってきた。お嬢さんは、多くの中学生と違って、決して目先の合格のためだけに勉強しているのではなくて、自分を高めるため、自分の夢に近づくために勉強しているのでしょう。それがまさに勉強の本質です。

基本的に私は塾生の志望校に対して反対はしませんが、唯一反対するケースは、本人が「逃げ」の受験をしようとしているときです。例えば、上を目指していたのに勉強が辛くなってきたからと、楽をするために志望校を下げる場合です。そういう受験では、たとえ合格したところで、何も生まれません。何も生まれないどころか、思春期で味わう下手な成功体験は、これからの人生の弊害にすらなり得るからです。

お嬢さんは、その反対ですよね。楽に合格する高校を志望しているのに、それでも楽をせずに一生懸命勉強している。それって凄いことですよ。私の塾生なら、親御さんと同じく悶々とするでしょうが、本人の思うように受験をさせるでしょう。受験に逃げているわけではないから、それどころか中学生なりにでもきちんと将来を考えているから、です。

ただ、もし本当にそのトップ校が本人の性格にあっていて、良い高校だと自信を持って言えるのなら、一応私もトップ校を勧めてみると思います。ただし、「トップ校だから」ではなく、その高校を勧める理由を丁寧に説明するでしょう。勧めてみた上で、最終判断は本人に任せます。私にとって良い高校が、本人にとって良い高校とは限らないので。

もしかしたらお嬢さんは、「お母さんは私にトップ校に行って欲しいんだ」と思っているのかもしれませんね。思春期真っ盛りの高校受験生には、丁寧によく話をしてあげないと、誤解や軋轢が生じやすいので注意が必要です。もう一度ちゃんと話してあげてください。「トップ校だから勧めているんじゃない」と。

しっかりとしたお嬢さんです。信じてあげても良いと思います。きっと、トップ校を目指しても目指さなくても、お嬢さんはきちんと夢に向かって勉強するはずです。

それが一番じゃないですか。