「自分はやらなくてもできる」と勘違いしているイタい人へ

2015年11月18日

先週・今週と中1中2生は定期テスト勉強期間でしたが、今回のテスト期間は「自分はやらなくてもできる」とイタい勘違いをしている生徒が多すぎて困ります。

たとえば英語の教科書テストをしてみても間違いだらけ。とてもじゃないけれど、きちんと勉強してきたとは思えないほどの仕上がりでした。理科の確認テストだって、問題集に掲載されている基本的な問題すら覚えていない。問題集をチェックしてみたところ、やってあるページもあればやっていないページもあったりで、非常に適当な勉強をしていました。

こういう適当な勉強で切り抜けようとする子たちの大半が、意外にも「中の上」または「上の下」くらいの成績をとっているような、「ある程度はできる子」たちです。それよりも成績が低い子、あるいは逆に「上の上」クラスの本当のトップ層は、このようないい加減な勉強はほとんどしません。

「ある程度はできる子」が最も陥りやすいのが、「自分はできている」「自分はできるハズ」と思い込んでいることです。
要は新種のYDKですね。「Y=やらないのに D=できると思い込んでいる K=子」です。
newydk

新種YDKの特徴

自己分析が非常に甘い

勉強の原点は、「自分自身に対しての正しい評価」です。自分を冷静に分析し、能力不足だと感じると、人は学ぼうとします。もっと正確に自己分析をできる人は、自分自身の性格や能力に合った方法論を考えます(例:太郎くん)。

しかし新種YDKのように、「自分はできている」と考えてしまうと、人は学ぼうとしません。自分はできていると思い込んでいるので、課題意識も薄く、正確な自己分析もしない。当然、勉強ができるようになるはずもない。結果、「自分はできている」と思い込んでいるのは自分だけ、蓋を空けてみれば自意識だけが過剰で「何もできない人」という、非常に残念な人になります。

「ある程度勉強ができる子」は、あまりたいした努力をしなくても、そこそこの成績が取れてしまってきたのでしょう。周りからも、「賢いね、偉いね」とチヤホヤされて育っています。勉強に対して壁にぶつかった経験もほとんどないので、挫折した経験やそれを乗り越えようと試行錯誤をしたこともありません。そのような生温い環境にずっと浸かってきた結果、自己を正確に分析する能力が養われず、いつまでも「自分はできている」「自分はできる子」という幻想を抱いているのだと思います。

できない理由を自分以外のせいにする

新種YDKは、基本的に自分に対して甘々なので、できない理由を自分以外の要因のせいにします。テストであまりよくない点数をとったとしても、「学校の先生の授業がわかりにくい」、「時間がなかった」、「問題が難しすぎた」などと、主語を自分以外の3人称とした言い訳をします。決して、自分(=I)を主語にした言い訳をしません。学校成績にしても「先生が正当に評価をしてくれない」と言い、テストのミスの原因も「(本当はできるのだけれど)ケアレスミスをしました」と言い、自分の能力や努力の仕方に非があることを認めようとしません。

このように、新種YDKにはできない理由を自分以外のせいにしてしまう癖がついているので、自分自身を省みることがほとんどなく、失敗やミスから学ぶことができません。これが、「ある程度勉強ができる子」が、周囲からは「やればできるのにね」と言われ続けながらも、それ以上能力や学力が上がることのない一番の原因です。

勉強がとにかく雑になる

新種YDKは、「やらなくてもできる」と思い込んでいるので、教科書や問題集を軽視する傾向にあります。教科書を読み込まなくても「ある程度覚えているから大丈夫」と安心し、問題集でも「全部解かなくてもなんとかなるだろう」と、勝手に自分で判断をしてしまいます。結果的に、勉強自体が非常に雑になってしまうので、中の上や上の下などの成績からワンランク上になることはありません。

自分の能力を誤解している生徒に対して、現実を教えることはとても難しい問題です。

本当にできる子は、新種YDKと真逆であるという事実

成績が上の上程度の本当にできる子(HDK)は、新種YDKとは真逆の行動や考え方をします。私の今までの経験から言うと、本当にできる子というのは自分自身に対して高いプライドを持っています。高いプライドがあるゆえに、自分自身に厳しいのです。新種YDKがバカにして真剣に取り合わないようなちょっとしたテストでも、HDKは手を抜くことをしません。どんな些細なテストや勉強に関しても、自分がミスをしたり点数が低くなってしまうような事態を嫌います。新種YDKもプライドは高いのですが、HDKとの違いは、そのプライドが努力や経験に裏付けされたものではないということです。

本当にできる子の多くは、「自分はまだまだだ」と思っています。知れば知るほど、自分が知らないことを知ると言いますが、HDKはまさにこの状態です。人よりもたくさん勉強してきたので、自分がまだまだだということを知っているのです。だから、決して傲り高ぶることなく、丁寧に自己分析を重ねて自己改善に努め、勉強の仕方も非常に丁寧になるのです。

うちの塾で言えば、偏差値70を超えているような生徒ほど、教科書や問題集にある本当に些細な問題を大切にし、ちょっとしたミスでも「ケアレスミスだ」と一蹴することなくその原因を突き止め、間違い直しノートにきちんと記録します。「お前くらいのレベルになれば、そんな簡単な問題なんてちょっとくらい手を抜いてもいいんだよ」と、こちらが逆にアドバイスするほど完璧にこなそうとするのです。

まとめと新種YDKへのアドバイス

「やればできる」と自信を持つことは、決して悪いことではありません。しかし、「やればできる」という自信が「やらなくても自分はできる」という方向に曲がってしまった瞬間から、「プライドだけ高くて結果が出せないただのイタい人」になってしまいます。

人は傲慢になった瞬間から成長が止まってしまいます。「自分が新種YDKかも・・・」と思う人(本当に新種YDKはこのブログを読んでもそんなことは思わないとは思いますが)に一言アドバイスをします。

自分より下を見るより、上を見なさい。

うぬぼれの強い人ほど、どう逆立ちしても決してうぬぼれていられない人と付き合いなさい。その人を目標にしなさい。意識して、「自分が下の方にくる」というようなコミュニティーに身を置きなさい。そうすることで、新種YDKからHDKに変身できるかもしれません。