塾に行かずに公立トップ校へ合格する方法を、塾講師がアドバイスしてみる。

2015年5月16日

塾生以外のブログ読者から質問や相談を受けることがよくありますが、その中で一番多いのは、「塾に行かずに公立トップ校を目指しているが、どのように勉強すればよいか」というご質問です。1ヶ月に1〜2件は同じような質問をいただきます。

正直に言ってしまえば、公立トップ校を目指しているのなら、実績のある塾に行くのが手っ取り早いです。塾に行く最大のメリットは、受験までのスケジュール(何を、いつ、どのタイミングで勉強すればよいか)をトップ校受験を熟知した塾が組んでくれるということです。独学で勉強している人と塾に通っている人との最大の違いは、プロが考えたカリキュラム通りに勉強できるかどうかだと思います。

ただ、「塾に行かずに公立トップ校を・・・」と相談してこられる人に、「いや、そんなことを言わずに塾に行ってください」とアドバイスしても何の解決にもなりませんので、今日は独学でトップ校に合格するために必要なことを、アドバイスしてみたいと思います。

独学でトップ校に合格するために、クリアしなければいけない大きな問題は次の3つです。

・取組む問題集の質
・スケジュール管理
・受験情報の入手

独学者が、この3つの問題をクリアするために必要なこと、アドバイスを書いていきます。

取組む問題集の質

トップ校を目指す中学生にオススメの市販問題集

だいぶ昔の記事「塾用教材に比べると市販教材はクソすぎる件」にも書いたように(振り返ってみるとだいぶ言葉遣いが悪いですね・・・)、そこら辺の書店で売られている多くの市販の問題集は、塾用教材に比べてかなり質が落ちてしまいます。塾に行っている人であれば、問題集の質で困ることはそんなにありませんが、塾に行かないでトップ校となると、まず問題集選びが第一関門になります。

公立トップ校にも対応できるような市販の問題集となると、私の知っている限りでは次の2つに絞られます。

ハイクラス徹底問題集シリーズ

最高水準問題集シリーズ

ハイクラスも最高水準もどちらとも高校受験用の問題集(※注:学校の予習復習や定期テスト用ではありません)で、5科目すべて揃っています。偏差値70程度くらいの高校受験までであれば十分対応できるレベルなので、公立トップ校や難関私立校を目指している人には合うと思います。塾用の問題集に載っているレベルの問題のほとんどはカバーされています。

ハイクラスと最高水準のどちらがいいか

たまに、「ハイクラスか最高水準かどちらを選べばいいか」という質問があるのですが、基本的にどちらでもいいです。好みの問題になってくると思います。しいて言えば、ハイクラス問題集の方が、最高水準問題集よりも問題レベルの段階設定が細かく、無理なくステップアップできる仕組みになっています。ただ、独学するのに一番重要な解説部分はというと、最高水準問題集の方がハイクラスよりも丁寧です。ちなみに、私が学生時代に家庭教師をしていた頃、トップ校を目指す生徒には最高水準問題集を使って教えていました。

ただし、ハイクラスでも最高水準でも、これを独学で使いこなすとなると、現時点で相当な学力が必要です。説明部分を自分で読んで理解し、問題を解き、間違えた問題は解答・解説を読み込んで確実に理解できる学力ないと身につかないからです。特に国語力が乏しい子は、このような問題集を使って独学でトップ校を目指すのはキツいと思います。

分からない問題に遭遇したとき

塾に行かずにトップ校を目指す生徒にとって一番厄介な問題は、解説を読んでも自分で理解できないときにどうするかということです。多くの独学生が、この問題でつまずいてしまいます。塾に通っている人はすぐに先生に質問できたり、そもそも生徒が理解するのが難しそうな問題は解説や演習を豊富にしたりなどの工夫がありますが、独学の場合はそうはいきません。

独学の場合、分からない問題に遭遇したときに誰に質問するか。それを明確に決めておく必要があります。一番良いのは、やはり学校の教科の先生でしょう。「自分は塾なしで、こういう問題集を使って独学で勉強している。だから、分からない問題があったら質問に来ていいですか?」と、事前に相談しておくと、話は早いと思います。ほとんどの学校の先生は、喜んで質問に応じてくれるはずです。もしも嫌がる先生がいたとすれば、それは教師失格です。

学校の先生以外だと、親や兄弟という選択肢もありますが、親や兄弟は必ずしも「教えることのプロ」ではないので、避けた方が良いです。教えることのプロではない人が教えると、何につまずいているのか、どこが分かっていないのかのポイントを外してしまうことが多いので、余計に「???」という状態になってしまいます。

独学でトップ校を目指す人は、学校の先生をフル活用してください。それができないと、独学は難しいと思います。

スケジュール管理

独学で一番難しいのが、受験までのスケジュール管理です。何を、いつ、どのタイミングで勉強すれば良いのかということが、イマイチ掴めないことです。中1中2までは、学校の進度に合わせて、ハイクラスや最高水準などで勉強していけば良いですが、受験生である中3は、学校の進度に合わせて勉強してはいけません。特にトップ校を目指しているのならなおさらです。

トップ校受験生は、学校内容を先取りして勉強すること

学校で中3内容を全て習い終えるのは、だいたい入試直前の1月や、最悪の場合は2月です。入試は中3内容からの出題が半数以上を占めるので、中3の内容を習い終えないと本格的な入試対策はできません。学校の進度に合わせて勉強をしていると、入試対策に割ける期間が1ヶ月〜2ヶ月程度になってしまい、そんな短期間では十分な入試対策はできないでしょう。

独学でトップ校を目指す中3生は、必ず学校よりも早く中3内容を終えられるように、自分で教科書や問題集で先取りして勉強しましょう。遅くとも11月〜12月初旬くらいまでには、中3内容を全て勉強しておくようにスケジュール管理をすることです。独学で学校よりも先に中3内容を勉強するとなるとかなりハードですが、独学でやると決めた以上、これを乗り越えなければいけません。

各科目の超ザックリとしたアドバイス

英語は文法だけに絞って効率的に勉強すると、中3内容をすべて習得するのにそんなに時間はかかりません。まずは中3内容の文法を全てマスターしてしまい、夏くらいから入試演習に取りかかると良いです。社会も、国語力と暗記力さえあれば独学は可能です。どんどん教科書を読み、問題集を解きながら知識を定着させていきましょう。

数学・理科は、独学で先取りするのが厳しい科目ですが、この2科目に関しては12月くらいまで時間をかけても良いので、しっかりと内容を理解し、ハイクラスや最高水準などの問題が解ける状態を目指しましょう。その代わり、中3の早いうちから中1中2内容の復習を平行して勉強することも必要です。

受験情報の入手

独学の場合、受験情報の入手もなかなか困難です。ここで言う受験情報とは、ズバリ自分が志望校に合格する可能性はどのくらいかということです。塾だと、たとえばこの学校に合格するためには、偏差値があとどれくらい足りないとか、去年の合格ボーダーがこの辺だから、あと何点くらい取れば大丈夫という情報をもとに、進路や勉強のアドバイスをしてくれますが、残念ながら学校はそこまでの情報は持ち合わせていません。ネット上に溢れている情報だって、玉石混淆、正しい情報もあれば内容が怪しいものあり、全て鵜呑みにするのは危険です。

独学で勉強している人が、正確な情報を入手するためにできることは2つあります。

1つ目は、模試を積極的に受験すること。模試を受けると、いろいろなデータがついてきます。志望校判定だってしてもらえるし、サラッとですが学習のアドバイスも記載されています。模試を定期的に受けながら、今の自分の立ち位置はどの辺か、合格可能性はどれくらいかということを常にチェックしておきましょう。

2つ目は、塾の力を借りることです。塾に通っていなくても、勇気を出して相談してみれば、相談に乗ってくれる塾は結構あります。特にもうけ主義ではない個人塾が良いです。大手塾はもうけ主義なので、相談に行くと確実に入塾の方向に勧誘されてしまいます。

私のところにも、毎年のように塾生以外の受験生から受験や学習の相談メールが来ます。メールだけでなく、わざわざ遠方から直接相談に来られる方もいらっしゃいます。私もさすがにボランティアでやっているわけではないので、直接面談による相談は有料(1時間4000円いただいています)にしていますが、メール相談や面談などを活用して、独学でトップ校に合格される方を大勢見てきています。たとえば、去年だと横浜緑ヶ丘、一昨年は厚木に独学で合格した方に、いろいろアドバイスさせていただきました。今年もすでに多くのご相談メールや有料面談があります。

うちの塾だけでなくても、基本的に個人塾をやっている塾長というのはお人好しが多いです。思い切ってコンタクトを取ると、貴重な情報がもらえたり、アドバイスをしてくれるところは確実にあります。

まとめ

独学で公立トップ校を目指す人は、圧倒的に少数派です。多くの受験生は塾に通います。なぜなら、学校の授業と独学だけで勉強しながら、塾に行っている人と同じレベルのことをこなすのはやはり厳しいものがあるからです。

そんな中でも独学でトップ校に合格する人もいるので、決して不可能なことではありません。ただし、それなりの資質は必要です。独学でトップ校に合格するために必要な資質とは次の5つです。

・自己管理能力があること(自分でスケジュール管理をしっかりとできる)
・国語力があること(参考書を読み理解できる力がある)
・覚悟があること(厳しい受験に立ち向かっていける覚悟ができている)
・基礎力があること(学校の勉強でつまずかないくらいの力がある)
・自分を厳しく律することができること(独学の場合、自分しか自分を律する人はいません)

この5つの資質がない人は、悪いことは言わないから塾に行った方がトップ校に合格できる確率は上がります。逆に、この5つの資質があれば、塾に通わずにトップ校合格は可能だと思います。

本当に独学だけでトップ校に合格した人は、その先の大学受験にも対応できる力を持っているので強いです。是非、頑張ってください。