毎年のことながら、今年の夏期講習もうちの中3生はよく勉強したと思います。なかにはお昼と夕食の2食分のお弁当を作ってもらって、本当に1日中塾で過ごしている強者もいました。
そんな生徒もいたので、ちょっと気になって夏期講習中(7/23〜8/25)の中3生の塾の滞在時間の合計を調査してみました。
うちは学書さんの「kazasu」という入退室管理システムを導入しているので、各生徒の滞在時間などを簡単に調べられるんです。便利な時代になりましたね。
調査してみた結果、夏期講習中19日間での中3生平均滞在時間は140時間と1分でした。
ちなみに滞在時間が長い順トップ3は、
1位…170時間52分
2位…166時間22分
3位…155時間48分
という結果で、一番短い生徒でも111時間34分でした。
うちの中3生の夏期講習は、13:10〜17:40の1日4時間30分×19日間(20日間の予定だったが台風で1日休講)で、合計85時間30分あります。この85時間30分の拘束時間に対し、平均滞在時間が140時間ということなので、平均して授業以外で約3時間程度、塾で自習をしていたということになります。
長時間勉強で成果が出るのは最初のうちだけ
いつも言っているように勉強=時間ではないし、特に上位層の中学生にとっては「長時間勉強することイコール正義」とは考えて欲しくない。それでもやっぱり受験勉強はどうしても時間がかかる。勉強=時間ではないが、時間をかけないとできないこともある。
それが、この夏体感できたなら大きな収穫。
— りんごくん@慧真館 (@keishinkan) 2018年8月31日
今日ツイッターでもつぶやきましたが、「長時間勉強すること=正義」ということではありません。そもそも、勉強は時間では測ることができません。
確かに、勉強量は多いことに越したことはないし、勉強時間も長いに越したことはありません。たくさん勉強すればするほど、成績だって上がりやすくはなるでしょう。
しかし、たくさん勉強すればするほど成績が上がるのは、最初のうちだけです。ある程度のレベルまで到達したら、勉強時間と成績の上昇は完全に比例しなくなります。
というよりも、ある程度のレベルにまで達したら、勉強内容自体が高度になり、1つのことを勉強するのにどうしても時間がかかるようになってきます。
例えば受験勉強にしても、初期のうちは基本的なテキストに取り組んでいるだけで良かったのが、ある程度のレベルに達すると、それ以降は難解な入試問題と格闘することになります。基本的なテキストなら時間もかからずスラスラと解けるでしょう。やり直しをしたり理解することにそんなに時間もかかりません。しかし、入試問題となると、解くにもやり直しをして理解するのにも、非常に時間がかかってしまうのです。
つまり、勉強が高度になればなるほど、勉強は「どうしても時間がかかってしまうもの」になるのです。ツイッターで上位層ほど「長時間勉強=正義」と考えて欲しくはないと言ったのも、これが理由です。
夏期講習で中3生たちが平均140時間勉強したのも、だんだんと勉強内容が高度になり、1つのことを習得するのに時間がかかるようになってきたから、というのも要因の一つだと思います。(もちろん意識が高くなってきたから、という理由もありますが。)
受験勉強で大切なのは「勉強スピード」
上位層やある程度のレベルのまで達した生徒にとって大切なのは、時間をかけることではありません。
むしろその逆です。時間をかけないこと。つまり「勉強スピード」を意識することこそ、最も大切にするべきことなのです。
問題を10問解くのであれば、長い時間かけて解くよりも短い時間で解いた方が、絶対的な勉強量は増えます。他の人が1時間で10問を解くところを、もしその半分の30分で解けたら、もう30分で他の10問を解けることになり、同じ勉強時間でも勉強量は2倍になります。
「勉強スピード」とは、なにも問題を解くスピードだけではありません。
机に向かってから1問目を解き始めるまでのスピード、
テキストやノートを開くスピード、
書くスピード、
読むスピード、
計算するスピード、
理解するスピード、
宿題を片付けるスピード、
そもそも勉強に取り組むまでのスピード
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このような、勉強に関わるありとあらゆるスピードを上げることを意識するこそ、上位を目指す受験生にとっては、勉強時間をかけること以上に大切になります。
勉強時間は長いのにあまり成果が出ていない生徒は、ほぼこの勉強スピードを意識していません。「1秒でも速く解くにはどうしたらいいか」なんて考えていないし、チンタラ勉強しています。だから伸びないし結果が出ないのです。
まとめ
入試には制限時間があります。50分なら50分の時間内で、どれだけたくさん正解できるかの勝負をしているのです。問題を開くスピード、解くスピード、読むスピード、書くスピード、理解するスピード、計算するスピード、あらゆるスピードが速い人の方が、時間に余裕が生まれるし、余裕が出た分難しい問題を思考するのに人より多くの時間を費やせるし、なんなら見直しだってする余裕も生まれるかもしれません。
つまり、受験勉強においては、「長時間勉強=正義」なのではなく、「短時間でできること=正義」なのです。
であるならば、普段の勉強からありとあらゆるスピードを意識しながら勉強しましょう。「時間をかけたらできる」まで仕上がったのなら、そこで満足せずに「時間をかけなくてもできる」状態を目指すのです。
そうした勉強スピードに対する徹底的な意識が、思考を鍛え、計算力や読解力を鍛え、学力を伸ばしていきます。
どれだけ長く勉強したかよりも、どれだけ速くできるようになったか、という部分を徹底していきましょう。