新聞記事書写とニュース作文に取り組んできた結果。

2015年10月2日

夏休みに小学生新聞の新聞記事の書写に取り組んできた小学生たちの、ニュース作文コンクールへ応募するための作文がようやく仕上がりました。夏休みにほぼ毎日新聞を読み、9月の1ヶ月間で作文のための記事の選定、構成、下書き、仕上げまで進め、あとは締切までに発送するのみです。賞をとれるかどうかはさておき、この2ヶ月間、新聞の書写と作文に取り組むことで、少しずつ変化の兆しが見え始めています。

新聞書写による変化の兆し

中学生にも負けない教養が身に付いてきた

夏休み中に取り組んだことは、新聞記事を切り抜き、気になったものを書写するという課題です。その中で、知らない言葉を調べたり、感想を一言述べたりするコーナーも設けられていました。週に3回以上の書き写しを目標に続けてきましたが、中には毎日欠かさず書写し続けた意識の高い生徒もいました。

「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、たったそれだけです。しかし、それだけのことでも続けているうちに、小学生に変化が見られるようになりました。講習中、中学生の授業で反応が悪かった時事ネタに対して、新聞に取り組んでいる小6生の授業では、中学生よりもしっかりと話についてきてくれることができたのです。たった1ヶ月間でも、毎日新聞に目を通すことで身に付く教養の大きさをまざまざと感じさせられた瞬間でした。

ニュースについての自分の意見を持てるようになってきた

新聞を読むことで、小学生が持つ「家庭・学校」という狭い世界から、「日本や世界」という大きなスケールで物事を捉えることができるようになります。さらに、たった一言でも記事の感想を書くことで、そのニュースについて深く考えるキッカケにもなります。

最初のうちは、「すごいと思いました」「よかったです」という非常に小学生的な幼稚な感想が目立っていたのですが、それも回数を重ねることで、「なぜ〜なのか不思議に思った」や「私は〜だと思う」などの具体的な意見を持つようになりました。加えて、原稿用紙1〜2枚程度のニュース作文に取り組むことで、1つの記事に対して深く調べてみたり、保護者の方など自分以外の他人の意見も聞いたりしながら、見識を深めているようでした。

ニュース作文コンクール提出作品の一部紹介!

うちの塾生が1ヶ月間で書き上げたニュース作文の一部を紹介してみます。使っている漢字や言葉遣いなど、すべて原文そのままです。

『完全自動!“レタス栽培”』(小4生)

 野菜工場事業を展開する会社「スプレッド」が、レタス栽培完全自動の向上を、京都府に建設する。同社はすでにレタス製造工場を持っているが、新工場では、栽培に専用のLED照明や、独自の空調システムを取り入れ、1個あたりにかかるエネルギーを減らす。
 ぼくはこの記事を読んで、温度が調整できるなら、コマツナやほうれん草、キャベツを作れると思った。なぜレタスなのか、不思議に思った。レタスは、ほかの野菜に比べて育つ時間が短い。だから安く売れるが、ほかの野菜はむずかしいらしい。ぼくはこのレタスを食べてみたいと思った。でも、どこに売っているのだろう。
 お父さんは、「ふつうのスーパーでは見かけないから大量生産する弁当工場とか、パン工場で使われているんだろう。」と言っていた。調べてみると、あまり量が無いため、関西のスーパー約2000店で売られているそうだ。でも、1日に2万個も関西だけで売れてしまうのがふし議に思うが、日本全体で1日に300万個売れているらしい。ぼくはそれにとてもおどろいた。ということは、あと約150か所工場ができれば、日本人全員が工場産のレタスを食べれるということだ。
 もしこんなにたくさんの工場を作るなら、太陽光を使ったほうがいいと思う。なぜなら、太陽光は無料だからだ。でも、太陽光だと天気が安定しないため、スーパーなどで売れる値段も安定しないので、雨の日が続いている日などは、あまり売れない。工場には、いいことと悪いことがあると思った。

『長寿の秘訣』(小6生)

2014年の日本人女性の平均寿命は86.83歳、男性は80.50歳だった。女性は3年連続で世界一、男性は前年の世界4位から3位に上がった。また、表から読みとると、香港の女性の平均寿命は86.75歳で、1位の日本とあまり差がないことが分かる。男性は81.17歳で、香港が1位である。
 日本人の女性が3年連続長寿世界一であることにおどろいた。私も長生きしたいので、なぜ日本人や香港人は長生きするのか、共通点を考えた。
 まず一つ目は、小さい国(地域)であることだ。小さい国(地域)は大勢の人が、せまい土地に住むことになるので、周りの人との助け合いが多くなるからだと思う。そして坂道が多い。歩道も狭いため、人をよけながら歩くことは、かなりの反射神経の鍛錬になる。だから意識をしなくても、日ごろから運動になっているのだと思う。そういう無理をしない適度な運動が、健康な体をつくり、長寿に結びつくのではないかと思う。二つ目は、栄養バランスがとれた食事だと思う。和食や中華料理は、肉よりも魚や野菜が多く、いろいろな栄養を一度の食事でとることができるからだ。
 私の父は、身近な医りょうが長寿につながるのではないか、と言っていた。香港は、漢方薬の店が多くあるそうだ。日本の病院では、いつも患者が多く、混雑している。このように、体の調子をすぐ専門家に相談できることが、長寿につながるのではないか、と言っていた。私もカゼをひくと、すぐ病院へ行くので元気でいられるのだと思う。
 長寿には秘訣がある。私もこの国にいる限り、長生きできるのではないかと思った。

まとめ

小学生の発想は、ときどき大人がハッとさせられるほどユニークですね。長寿の秘訣がまさか坂道にあるなんてこと、私は考えたこともありませんでした。

昨日の特色検査の記事とリンクするところがありますが、特色検査を解くのに必要な力って、実はこういう力なのだと思います。新聞を読んで教養を増やしていくこと。一つの事象について深く考え、自分の意見を持つこと。疑問に思ったことを納得するまで調べてみること。このようなことを繰り返していく中で身に付く教養の深さや思考が、特色検査だけでなく、文科省が目指している新しい学力なのだと思います。

最優秀賞や優秀賞とは言わないので、佳作くらいとってくれることを祈って、発送します。